地球外生命体探査で今、一番アツいのが赤色矮星です。
そんな中、宇宙に数多く存在する赤色矮星のひとつが今注目されており、その理由は赤色矮星の方角から地球外知的生命体が発信して来ているのでは?と思われる謎で不自然な信号が受信された事にあるようなんです。
果たして、それは本当に地球外知的生命体からのモノなのでしょうか?
それとも、やっぱり何かの間違いなのか?少し気になるところではあります。

Sponsored Link

不思議な電波を観測!その正体は?

冒頭で、地球外生命体探査でアツいのは赤色矮星と述べましたが、正確に言うと、赤色矮星が従える惑星や衛星に地球外生命体が存在する可能性があるのでは?という期待があり、今、赤色矮星に多くの観測の目が向いていることは確かです。
そんな期待度の高い赤色矮星を観測している中、プエルトリコのアレシボ天文台が地球から約11光年離れた赤色矮星「Ross128」の方角から、自然現象で届く電波とは違った不自然な電波が観測されたと発表があった事で、天文ファンを中心に話題になっているようです。

ちなみに、アレシボ天文台は窪地を利用した直径305メートルの球面反射面が設置された世界最大級の電波望遠鏡です。

「Image Credit:アレシボ天文台の外観(AFP BB Newsより)」
アレシボ天文台は1963年に建設されて以降、太陽系外惑星の発見や中性子星の発見など様々な宇宙観測に貢献して来ていますが、そんなアレシボ天文台の電波望遠鏡が受信した不自然な信号は、約10分間で周期的に脈動する電波で、これが人工的な交信であれば、もしかしたら「Ross128」の惑星系の1つに人類と同等もしくはそれ以上の科学文明を持つ知的生命体が居て、彼らから地球に向けて発信された電波ではないか?という可能性が浮上して来たということらしいのです。

電波発信源のRoss128とは?

Ross128という恒星は、地球から「おとめ座」方向に約11光年離れた場所にある赤色矮星です。
11光年と比較的近い場所にある恒星ですが、大きさは太陽の5分の1ほどで質量も6分の1。明るさに至っては太陽の0.035倍しかないため、肉眼はおろか市販の天体望遠鏡でも観測が難しい暗い天体です。

「Image Credit:大きさ比較「太陽(左)Ross128(右)(Wikipediaより)」
最近の観測で暗く温度の低い赤色矮星にいくつもの地球型惑星系が発見されていますが、Ross128については現在のところそのような惑星系は発見されておらず、さらにこの恒星は爆発型変光星であることも確認されています。
爆発型変光星は活動が活発で頻繁にフレアも起きて増光が激しく電磁波も吹き荒れ、もし地球型の惑星が存在しても生命が育まれる可能性は低いと考えられている事もあり、Ross128がこのような恒星の性質であれば、惑星に進化した知的生命が存在する確率は極めて低く、科学者たちは人工的な交信である可能性を否定しており、またその他にも次のような否定理由があるそうです。
Sponsored Link

科学者が地球外知的生命体からの電波を否定する理由

「Ross128」から届いた不自然な電波の現象。
科学者たちはこれを地球外知的生命体のモノとは決めつけず当初から可能性は他にあると推測しており、Ross128と同じ方角に別の天体がありそこからの電波ではないかとの可能性を示唆した上で、地上からの電波の反射や人工衛星からの電波干渉ではないか?とも考えられると推測しています。

やっぱり異星人からの信号ではなかった!その正体

一部、ネット等を中心に騒がれた謎の電波でしたが、程なくしてその正体が判明!
やはり、科学者たちが推測したとおり、人工衛星(静止衛星)からの電波干渉が原因でした。

でも気になるのは、何故Ross128の方角から電波が届いたのでしょうか?
その理由は、Ross128が多くの静止衛星が集まっている天の赤道の近くに位置していることだといい、偶然にもそれが重なって誤解を生んだと考えられています。
なお、静止衛星は高い高度を周回しており(約3万6,000キロ上空)、これにより電波干渉も起こりやすいと言われています。

ガッカリするのは早い?異星人からの通信を受信する可能性はある?!

今回の騒動では残念な結果となりましたが、実はこれまでに遠い宇宙の彼方からの電波を受信してまだその正体が判明していない事例があります。
その事例とは「Wow!シグナル」と呼ばれるモノ。
「Wow!シグナル」は1977年。
アメリカのオハイオ州立大学の電波望遠鏡が捉えた、いて座方向から届いた72秒間の謎の強い電波の事で、実はこの72秒間という時間が大きな意味を持ち、電波を受信した望遠鏡は地上に固定されている方式のモノで、地球の自転と一緒に移動し天体を観測しています。
つまり、天体から発信された電波を受信できる時間は地球の自転速度と合致し、もし今回のRoss128のように、人工衛星からの電波や地上からの電波だと72秒間の電波受信時間は説明がつかず、ある特定の天体から届いた以外考えられられないと言います。

この電波を観測した研究者は興奮し、そのときの記録用紙に「Wow!」と書き込んだことから「Wow!シグナル」と呼ばれるようになりました。

「Image Credit:赤い丸で囲んだ72秒間の信号にWow!と書き込んだ(Wikipediaより)」
また、この「Wow!シグナル」の特徴は狭い周波数である1つのチャンネルで送られて来ており、もし、他の天体が発信する自然現象的な電波であれば広い範囲の周波数で届くのが通常なのですがそうではなかったとの事。こういった理由から地上や人工衛星からの電波干渉でもなく、天体からの自然の電波でもなければ地球外知的生命体が発信する電波なのか?と期待され、再度の受信を試みましたが、それ以来まったく受信は出来ておらず現在においても謎のままです。

ちなみに、「Wow!シグナル」が届いたのはこの↓↓方角からだそうです。

「Image Credit:Wow!シグナルの発信源(Yahoo!キッズ図鑑参照)」

このWow!シグナルについては科学者たちも興味深いシグナルと考え、今後も最新の電波望遠鏡を使って観測を試みる計画もあり、いずれはその正体が判明するモノと思われます。
果たして、人類以外にも電波を操ることが出来る知的生命体が存在するのか?今後の観測が楽しみなところです。
Sponsored Link