何年か前に「地球に一番良く似た惑星」が見つかったと話題になった太陽系外惑星「ケプラー1649c」。
同時にこの系外惑星は、人間が住める条件が揃っている星ではないか?とも期待され、詳しい調査結果が待たれていましたが、その後はどうなったのでしょうか?
本当にケプラー1649cは地球に似ているのか?そして将来的に人類が移住出来るような星なのか?現時点(2024年初頭)での最新情報を調べてみました。

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役目を終えたケプラー宇宙望遠鏡のデータ見直しで見つかった「ケプラー1649c」

2018年10月末、約9年間の運用を終え(燃料切れ)2,500個以上にも及ぶ太陽系外惑星を発見するという大きな功績を残したNASAのケプラー宇宙望遠鏡。

「Image Credit:ケプラー宇宙望遠鏡イメージ図(NASAより)」
運用終了後もケプラー宇宙望遠鏡が残した膨大な観測データの分析は続き、その中から発見されたのが太陽系外惑星「ケプラー1649c」でした。
ケプラー1649cは、地球から「はくちょう座」方向約300光年離れた恒星ケプラー1649を公転する惑星の一つで、直径は地球の1.06倍、質量は地球の1.21倍(推定)と、ほぼ地球サイズである事が判明。
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さらに主星(太陽)ケプラー1649と惑星ケプラー1649cの位置関係は、主星に近過ぎもせず遠過ぎもせず、もしこの位置にある惑星に水が存在した場合、水は液体の状態で維持する事が出来るハビタブルゾーン圏内にある事も判明しており、この事から「これまで発見された太陽系外惑星の中でも最も地球に似ている惑星」として話題になったのでした。

「Image Credit:NASA」

ケプラー1649c以外にも地球に似た星は見つかっている

ケプラー1649cは「地球に一番良く似た惑星」と言われていますが、それ以外にも、これまでの太陽系外惑星探査でいくつもの”地球似”の惑星が発見されて来ました。
その中でも、大きさや環境が地球に似ているとされる惑星をいくつか挙げると。
まず、地球に最も近い場所で見つかったプロキシマb(地球から約4.2光年)

「Image Credit:惑星プロキシマbの想像図(Wikipediaより)」
地球から12.5光年の位置にある惑星ティーガーデン星b。

「Image Credit:ティーガーデン星系惑星の想像図(University of Göttingen, Institute for Astrophysicsより)」
地球から約40光年の位置に3つも見つかった地球似の惑星トラピスト-1e,トラピスト-1f,トラピスト-1g。


「Copyright ©:NASA Goddard All rights reserved.」
その他にも、地球に似ているとされる系外惑星はいくつか見つかっているのですが、ケプラー1649cが何故、これらの惑星よりも地球に似ていると言われるのでしょうか?

ケプラー1649cは何故地球に一番似ている惑星と言えるのか?

ケプラー宇宙望遠鏡が残した観測データの分析によると、ケプラー1649cが主星(ケプラー1649)から受ける光量は、地球が太陽から受ける光の75%とやや少なめで、もしケプラー1649cに地球に似たような大気と水が存在したのならば、地球で例えるところの高緯度地域に該当する(惑星内の場所による)のではないか?と推定されるそうです。
こういった環境の条件は、これまで見つかった同様の地球似のどの惑星よりも地球に近い条件を持っている可能性が高いとの事で、その事からケプラー1649cが地球に一番似ていると考えられるようになったとの事です。

「Image Credit:ケプラー1649c地表の想像図(NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter via Gizmodo USより)」

ケプラー1649cは地球に似ていないかも知れない

いくらケプラー1649cが地球に一番似ている惑星だと言っても、そもそも300光年も離れているのですから、とてもそこまで行けるハズもないワケで、将来の人類の移住先候補としてはあり得ない事なのですが、そうは言ってもそこに十分な大気と水が存在すれば地球と似ているかも知れません。
しかし、そこは「奇跡の星」と言われる地球です。かなりの条件が当てはまらないと、本当にケプラー1649cが地球に似ているとは言えないでしょう。
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そんな”地球似”には、現時点で判明している事以外でも最低限でも以下の条件が必要となるでしょう。
  • 主星から受ける光や熱量が安定している
    地球の公転軌道は真円に近い軌道で太陽を周っています。これにより太陽から受ける光や熱量にあまり変化はなく、生命が存続出来る条件に当てはまっています。
  • 自転速度は遅過ぎもせず早過ぎもせず
    生命が育まれる惑星の条件に自転の速度は非常に重要です。自転速度が遅過ぎれば、大気の循環が悪くなり、逆に早過ぎると大気を留めて置く事が難しくなり、どちらにしても生命が生きていくには難しい環境になってしまいます。
  • 生命にとって必要な元素が揃っている
    地球の生命が生きるのに必要な元素は水素・酸素・窒素・炭素の4つです。惑星に水があれば水素と酸素は確保出来ますが、生命を構成するには窒素と炭素も必要となって来ます。しかし、これはあくまでも地球に住む生命にとって必要な元素であり、”地球似”を度外視するのであれば、もしかしたらこれらではない他の元素で生きる生命があってもおかしくないのかも知れません。
  • 巨大衛星を従えている
    地球には月という巨大な衛星があります。生命が生きていくにはこの月の存在は大きく、月の巨大な重力(潮汐力)で大気や水の循環に影響を与えたり、また月は地球の自転軸を固定してくれる役目も担ってくれています。
と言ったように、ケプラー1649cに地球に似た条件を当てはめるのであれば上記のような事が必要となって来るのですが、赤色矮星(ケプラー1649)を公転するケプラー1649cは、根本的に地球とは異なる可能性があり、それは、公転周期が19.5日のケプラー1649cにとって主星との距離があまりにも近過ぎ、これにより主星の重力の影響を強く受け潮汐ロックが掛かっていたり、主星からの強力な放射線を浴び続け、地球のような生命維持には適さない可能性があるかも知れません。
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