私たちの住む太陽系は誕生してから約46億年が経過しているとされていますが、同時にそれは太陽が誕生して経過した時間の事を意味しており、現在の太陽は主系列星の状態にあります。

今の主系列星の太陽の状態。それを人間に置き換えると働き盛りの中年といった感じだと言えます。
そんな太陽のような星(恒星)の一生はどのようなモノなのでしょうか?
そして太陽はこれからどうなって行くのでしょうか?
ここでは、星の一生を誕生から主系列星。そして寿命を終える最期の時までを簡単に追ってみたいと思います。

Sponsored Link

星の誕生は暗黒星雲から始まる

太陽のような天体(恒星)は、ガスや塵が集まった星間物質であり、それらの物質が多く集まる事で星を生み出す素となる分子雲となり、その塵やガスの密度は後ろにある星の光を遮ってしまうほど密度が濃くなってしまい、まるで黒い雲のように見える事から暗黒星雲とも呼ばれています。

「Image Credit:暗黒星雲として有名な馬頭星雲(せんだい宇宙館より)」

暗黒星雲の中に星の赤ん坊~原始星が誕生

このような分子雲の中でさらに密度の濃い領域に重力が集中し、重力によりガスや塵等の物質が集まり円盤状に星の原型(原始星)が形成されて行きます。

「Image Credit:原始星の想像図(国立天文台より)
重力で集まった物質は中心に集まって行き、次第に高い圧力と温度になって行きます。
ちなみに、原始星の両極からは勢い良く噴き出すガス・ジェットが見られ、このジェットの勢いは秒速100キロにも達しており、形成される星の規模にもよりますが数光年先まで噴き出しているモノもあるという事です。

星の中心で起こる熱核融合反応で輝く若い星

原始星が成長し高圧な状態になると中心部の温度が1,000万度を超え、そこではとてつもない圧力により通常では結びつかない水素原子核が融合し始め、水素原子核4個より少し軽い1個のヘリウム原子核が生成されます。この軽くなった質量が熱や光といったエネルギーに変換され一気に開放され、融合反応を水素核融合反応と言い太陽のような恒星が誕生し、その周りを残ったガスや塵が取り囲む「原始惑星系円盤」も形成されて行きます。

「Image Credit:原始惑星系円盤(Wikipediaより)
なお、東洋でも昴(すばる)として有名なプレアデス星団は、まさに生まれたばかりの若い星々の集まりであり、プレアデス星団の星々の年齢は1億歳前後とす推定され、青白く輝く星は太陽より温度の高い星ばかりです。

「Image Credit:プレアデス星団(Wikipediaより)」
高温の原因由は、質量が大きく核融合反応の速度も速いため寿命はそれほど長くないと考えられています。

星として成熟~働き盛りの主系列星

星の中心で起きる熱核融合反応が安定して来る事を「主系列星」と呼び、この状態を人間に例えると成人し健康な状態にある働き盛りだと言え、私たちの太陽もその主系列星の状態にあり、地球は言わば「働き盛りの親(太陽)に育ててもらっている」といった例えになるかも知れません。

「Image Credit:SDO/NASA」
主系列星の種類も恒星の質量により様々で、太陽を基準とすると太陽質量の10分の1程度の恒星の明るさは1,000分の1ほどで、逆に太陽の10倍の質量を持つ恒星は1万倍もの明るさで輝いています。
また、”働き盛り”である主系列星の期間も恒星の質量で決まり、太陽が主系列星でいられる期間は100億年前後と考えられていますが、太陽より質量の小さい赤色矮星等はそれよりももっと長い数百億年の間を主系列星を保つ事が出来、太陽の数十倍以上もの質量を持つ恒星の場合は、短いモノで数百万年しか主系列星の期間がない恒星もあります。
Sponsored Link

晩年も様々な運命が待つ星たち~その1:太陽の場合

エネルギーを放つモノには、いずれ寿命が訪れる運命があり、それは星(恒星)も例外ではありません。
太陽もまた同じで、おそらくは後50億年ほどで核融合の燃料である水素が底を尽きると考えられていますが、もしかしたらもっと早い時期かも知れません。

主系列星を維持していた中心部の水素が尽きると、核融合の反応は水素がある外側へ移って来る事で、今度は水素の核融合で生成されヘリウムが核融合反応を起こし出し星自体が膨張を始めることになります。
このような状態になる事を、質量が太陽クラスの恒星は赤色巨星になり、その大きさは地球の公転軌道ほどまで達し、これにより地球は太陽に飲み込まれる運命にあると考えられます。

「Image Credit:赤色巨星になった太陽に飲み込まれる地球の想像図(10 Things That Will Happen Once The Sun Diesより)
膨張し赤色巨星になった星の外層は、やがて宇宙空間に流れ出して行き、このような状態は、太陽の8倍以下の恒星に起こるモノと推定されており、最後には剥き出しになった星の中心核のみが残ってしまいます。
この状態になった星は、言わば”燃えカス”であり核融合反応も停止してしまいます。
この星の最期の姿を白色矮星と呼び、”燃えカス”とは言えその天体は超高温・高圧となり表面温度は数万度にも達し、圧力に至っては1㎠あたりの重さが10t以上の超重力になると考えられています。
そして白色矮星が冷えてしまった形態を黒色矮星と呼びますが、人類はまだ黒色矮星の姿を確認出来ていません。
何故なら、白色矮星から黒色矮星になるには宇宙の年齢よりも長い時間が必要になるとされており、そのため現時点で黒色矮星は存在していないと考えられているからです。

晩年も様々な運命が待つ星たち~その2:太陽より大きな星の場合

太陽質量の8倍以下の恒星は、寿命を終えると白色矮星→黒色矮星になるとされていますが8倍を超える恒星はどうなるのでしょうか?
それは、赤色巨星よりもさらに巨大な赤色超巨星へと変貌を遂げてしまい、赤色超巨星の場合あまりにも重力が大きいため、外層はほとんど剥がれることなく星の状態に留まってしまいます。
しかし、赤色超巨星とは言えいつかは核融合反応が停止してしまいます。
そうなった場合、重力の均衡が崩れ一気に重力が中心に向かって落ち込む暴走を起こしてしまいます。
このときの重力崩壊で起きるのが「超新星爆発」です。

「Image Credit:超新星爆発のイメージ図(iStockより)」
このときの放出されるエネルギーは凄まじく、太陽が一生かけて放つエネルギーを一瞬で放出するほどで、この超新星爆発により周りの星々は壊滅的な打撃を受けてしまうと考えられます。
なお、太陽質量の20倍以上の恒星が超新星爆発を起こした場合、後に残るのは中性子の塊となった中性子星だと考えられ、30倍以上の質量だとブラックホールが形成されると考えられています。

「Image Credit:中性子星(左)とブラックホール(右)(Wikipediaより)」

星の一生を動画で解説

ここまで、星の一生はどうなっているのか?解説してきましたが、記事を書いている中で資料をいくつか見ていたところ、星の一生について非常にわかりやすくアニメーションで解説している動画を見つけましたのでご紹介します。

「Copyright ©:Kurzgesagt – In a Nutshell All rights reserved.」
この動画は、ご覧いただければわかるように英語解説です。
これを簡単に解説すると。「星の運命は質量で決まる」というモノ。
それは、派手に超新星爆発を起こしてしまう星もありますが、あくまでも例外的なモノで、星の97%は最期は白色矮星になって一生を閉じ黒色矮星になって行く。といった内容のようです。
英語がわかる方は大丈夫ですが、動画サイトで和訳表記も出来ますのでご参考にしてみて下さい。
Sponsored Link