2019年2月22日、小惑星・リュウグウに、見事タッチダウンを成功させた日本の小惑星探査機・はやぶさ2。しかし、はやぶさ2のミッションはこれからが本番です。
はやぶさ2の本当の目的は、小惑星内部のサンプルを地球に持ち帰る事。それを成功させるには、タッチダウン以上の難しいミッションが待ち構えています。
はやぶさ2タッチダウン・ミッションは本番に向けた前哨戦?
2019年2月22日。世界中の話題をさらった、はやぶさ2の小惑星・リュウグウ地表へのタッチダウン。
「Image Credit:JAXA/新華社/アフロ」
しかし、実際に訪れたリュウグウの地表は岩塊だらけの凸凹。
この凸凹地形により、タッチダウンを決行する場所が見つからないという、当初の予想とは大きく異なったリュウグウの様子に、計画変更を余儀なくされたJAXA。
入念なタッチダウン場所を検討、シュミレーションした上、ようやくタッチダウンに成功し、日本の宇宙探査の歴史に大きな一歩を記しました。
【はやぶさ2 小惑星・リュウグウへの1回目タッチダウンの模様動画】
↑↑動画でわかるように、このタッチダウン・ミッションではやぶさ2が行った事は、リュウグウ表面に接地した瞬間に、地表に向け弾丸を発射。
舞い上がった地表の物質を採取して、すぐに離脱上昇。という行程です。
このミッションではやぶさ2が成し遂げた事は、大きく分けて4つ。
- 探査機が目標の小惑星に直接触れた(着地)出来た事。
- 遠隔操作と自動制御で誤差1メートルという極めて高い精度で着地に成功。
- 小惑星地表付近の物質を採取成功!?
- 何より、前回の「はやぶさ」のリベンジが出来た事。
前回のはやぶさ初号機では、小惑星の接地に失敗し探査機も大きく損傷。
故障により地球帰還が危ぶまれる事態に陥りましたが、奇跡の帰還を果たした事で、映画化されるほど大きな話題になりました。
つまり、今回のタッチダウン・ミッションが、前回の延長ミッションであれば、既に目的は果たしたワケで、探査機・はやぶさ2は地球帰還となるのですが、実はそうではなく、はやぶさ2にとってこれからが正念場となる本番のミッションになります。
はやぶさ2の本番は小惑星に生命の起源を見つける事
小惑星・リュウグウに見事タッチダウンを成功させた探査機・はやぶさ2。このときのタッチダウンで得られた成果は、正確な確認はまだ出来ていないですが、おそらくは小惑星の表面にある物質を採取した事にあります。
しかし、探査機・はやぶさ2の本当の目的はそれではなく、地球に生命をもたらした起源を探る事にあります。
そのためには、生命誕生の材料となる有機物をリュウグウから採取しなくてはなりません。
もし、1回目のタッチダウンで小惑星表面の物質を採取に成功したとしても、永年、太陽光と宇宙線を浴び続けてきた表面の物質では劣化が激しく、有機物の採取は難しいと思われるため劣化の可能性が低い地下の物質を採取する必要があります。
そこで行われるミッションが地表に穴を開け人工クレーター生成する事。
人工クレーターの生成の行程は、
- 目標地点上空から、衝突装置を分離。
- 人工クレーター生成の様子を撮影する小型カメラ(DCAM3)を分離。
- 人工クレーター生成時の衝撃に巻き込まれないよう本体のはやぶさ2は安全圏に退避。
- はやぶさ2の退避完了後に衝突装置から2キロほどのインパクター(銅の弾丸)が地表に向け発射。
ここで人工クレーターが生成されます。
「Image Credit:日本経済新聞」
地表にインパクターが撃ち込まれた事により、小さな人工クレーターが生成されます。
そしてそこに、前回(2019年2月22日)と同じ要領で、本体のはやぶさ2がタッチダウン。
有機物が含まれているかも知れない、リュウグウ地下のサンプルを採取する事になります。
はやぶさ2の本番は成功するのか?
インパクターにより人工クレーター生成ミッション。1回目は2019年4月上旬に行われますが、これは世界初で非常に難しいミッションだと言われています。
しかし、1回目のタッチダウン・ミッションが成功した事で、本番成功の確率が非常に高まった事は言うまでもありません。
もしこれが成功すれば、地球に生命が誕生した謎解明に一気に近づけると同時に、日本の宇宙探査技術の高さを世界中に知らしめる事も出来ます。
これにより、今後進展して行く宇宙開発事業にも日本は乗り遅れることなく、経済発展にも貢献できる可能性も含まれているのではないでしょうか?
ただ、個人的に気になるのは、タッチダウン・ミッションでかなりの回数に渡りスラスター噴射(上昇・下降・姿勢制御のガス噴射)が行われた事。
この度重なるスラスター使用によって、肝心の本番で燃料が尽きてしまわないか?
「Image Credit:探査機・はやぶさ2に装備された姿勢制御用のスラスター(赤丸箇所)(宇宙科学研究所HPより」
さらには、本機の故障に繋がらないか?少し心配ですが、JAXAの技術者たちはそこも綿密に計算した上で、この画期的なミッションを遂行しているワケですから、外野から無関係な素人が心配する事ではないのかも知れませんね。