X線天文衛星「アストロH」して2016年2月17日に打ち上げられた日本が誇るH2Aロケット。
この衛星は地球周回軌道投入成功後に、名称を「ひとみ」と改められました。
ここのところ日本の宇宙進出は目覚ましく、国際宇宙ステーションの運用参加、金星探査衛星の打ち上げ、そして期待の小惑星探査衛星「はやぶさ2」など様々な宇宙開発・探査を行っています。
そして今回のX線天文衛星「ひとみ」の打ち上げ成功。これでブラックホールの謎や仕組みを解明すると言います。
しかし、日本が打ち上げたX線天文衛星は、この「ひとみ」だけではなく、今回で6回目のX線天文衛星打ち上げとなります。
多額の費用がかかる人工衛星の打ち上げ。何故日本はX線天文衛星にこだわるのでしょうか?
日本のX線天文衛星の歴史
X線天文衛星打ち上げは今回の「ひとみ」で6度目。この打ち上げ回数はあのNASAよりも多く、日本はX線による宇宙の探査にチカラを入れています。最初に打ち上げられたX線天文衛星は1979年の「はくちょう」。
続いて1983年の「てんま」。1989年「ぎんが」。1993年「あすか」。2005年「すざく」。
そして2016年の「ひとみ」と続きます。
これらの観測衛星は、宇宙の謎として解明出来ていない高エネルギーを発する天体を観測するモノであり、高エネルギーを発する天体のほとんどはX線を放出するため、それを宇宙空間で捉えることで宇宙の謎に迫ろうとしています。
最新のX線天文衛星の「ひとみ」の性能
地球上空約580キロの周回軌道に投入されたX線天文衛星6番機「ひとみ」。これは日本だけでなく、NASAをはじめとする世界各国の協力のもと開発された人工衛星で、約400億円の費用を投じて作られています。
そのためこの「ひとみ」には、最先端のテクノロジーによるX線観測装置が搭載されています。
この性能については、これまでの10倍以上という精度でX線観測が出来、宇宙誕生にも迫れるほど、さらに深宇宙を覗き見ることが出来ると言います。
最新のX線装置で何を観測するのか?
「ひとみ」の観測目的のひとつは、約80億光年もの彼方にある高エネルギー天体を詳しく観測する事。80億光年を言い変えれば、光が80億年かけて地球まで届いているので、太陽系が誕生する遥か以前の80億年も過去を見るということになります。
これを観測することによって、宇宙がどのように広がっていって現在の宇宙を形成しているのか?などの謎に迫るとの事で、また、他にもブラックホールの謎に迫るという目的も「ひとみ」に与えられた任務です。
ブラックホールは光を放たない天体。唯一の頼りといっていいのがX線で、ブラックホールに隣接する高エネルギーの天体がX線を放つことで、ブラックホールの位置を確認しその動きや磁場なども観測する。
また、我々の太陽系がある天の川銀河の中心にも巨大なブラックホールが存在するとされていますので、この謎にも迫る予定だと言います。
X線天文衛星「ひとみ」の運用状況と期間
もともとは「アストロH」という名前だったX線天文衛星「ひとみ」。この命名の由来は、熱い深宇宙を観るための”宇宙の瞳”でありたいという願いを込めて名付けられたとか!?
なお「ひとみ」の運用状況についてはJAXAの特設サイトで確認出来ます。
X線天文衛星「ひとみ」で、さらに詳細な宇宙の謎やブラックホールの解明も進むと期待されます。
そして「ひとみ」の運用期間は約3年。任務を終了した「ひとみ」は地球の大気圏に落され焼却処分となる予定です。