以前から、地球以外の太陽系の天体で生命の存在の可能性が期待されている木星の衛星エウロパ
人類はこの天体に向けて探査機を送り込み、いよいよ本格的な生命調査が行われようとしてします。
その探査機の名は「エウロパ・クリッパー(Europa Clipper)」。

アメリカ航空宇宙局 (NASA)が2024年に打ち上げる予定になっているこの探査機は、どのようにしてエウロパを探査し生命を見つけようとするのでしょうか?
今回は、現時点で判明している範囲内でエウロパ・クリッパーの探査方法について調べてみました。

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生命の存在の期待がかかる天体エウロパとは?

エウロパについてはこのサイトでも何度も解説していますのでご存じの方も多いか?と思いますが、今一度、エウロパについて簡単に解説します。

「Image Credit:木星の衛星エウロパ(Wikipediaより)」
エウロパは木星の第2衛星で、あのガリレオ・ガリレイが発見したガリレオ衛星4つのうちの1つとしても有名で、市販の天体望遠鏡や観測条件が良ければ双眼鏡でも観測出来る衛星としては比較的大きな天体です。

「Image Credit:木星と4つのガリレオ衛星(Wikipediaより)」
エウロパの具体的な大きさは、下図でおわかりのとおり地球の衛星・月よりひと回り小さく、表面を固く厚い氷に覆われているとても生命がいるとは思えない超極寒(マイナス170度以下)の世界です。

「Image Credit:地球の大きさと比較した月とエウロパ(Wikipediaより)」
命の恵みを与えてくれる太陽から遠く離れた木星(太陽との距離約7億8,000万キロ)の軌道を周る衛星エウロパには、普通に考えれば環境的には生命など宿るハズもなく、昔から氷の天体としてそれほど注目はされて来ませんでした。
しかし、この天体の観測・探査が進むに連れ注目度ががらりと変わり、現在では、地球外生命体存在の期待が高まる最有力候補の天体として俄然注目を集めるようになって来ました。

では何故、エウロパが注目を集めるようになったのでしょうか?
その理由は、巨大な重力を持つ木星とスグ外側を周る衛星・ガニメデの強い潮汐力の影響を受け摩擦熱により地下の氷が解け、厚さ1~3キロともされる氷の下には液体の水(海)が広がる環境が形成されているのではないか?と推測されるようになっていったからなのです。

「Image Credit:エウロパの厚い氷の下を描いた想像図(NASA/JPL-Caltech)」

エウロパに生命がいるとする根拠とは?

エウロパの厚い氷の下には液体の海が広がっている事は推測されていたのですが、それが事実かどうかはわかっていませんでした。
しかし、地球からの観測と木星探査機ガリレオにより、厚い氷を突き破って噴出する水(水蒸気)の間欠泉らしきものを発見し、この事により、エウロパの地下に広がる海の存在がかなり現実味を帯び、そこには液体もしくはシャーベット状の塩水の海がある可能性が高まって来るようになったのでした。

「Image Credit:spacetelescope
そんな海が存在するかも知れないエウロパですが、豊富な水を湛える海があるのであれば、当然ながらそこには生命がいるかも知れないという期待も出て来ます。
しかし、現時点ではそれを確認する手段がないため、NASAは今後において直接エウロパまで行き、調査を行うための計画(エウロパ・クリッパー)を立てています。
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エウロパ探査機「エウロパ・クリッパー」とは?

エウロパの地下に液体の水を湛える海があるとするなら、地球外生命体存在に大きな期待がかかって来てり、それを確かめるためには、直接エウロパまで行き調査を行う必要が出て来ます。
そんなエウロパの調査に向かうのが、2024年打ち上げ予定のNASA無人探査機「エウロパ・クリッパー」です。

エウロパ・クリッパーに与えられたミッションは、生命活動に必要不可欠とされる3つの要素「液体の水」「有機化学物質」「水素分子等のエネルギー源」がエウロパに存在するかどうかを確認する事にあります。

「Copyright ©:NASA Jet Propulsion Laboratory All rights reserved.」
予定では、2024年に打ち上げられた「エウロパ・クリッパー」は数年で木星軌道に到達し、エウロパを周回する軌道に投入された「エウロパ・クリッパー」は、2週間毎に接近し上空から詳細な探査を行うことになっています。
探査方法は、氷に覆われた地表の高解像度撮影やレーダー、磁場内部探査装置等を使ってエウロパの組成や内部構造、氷の殻を調査しますが、木星に近い距離を公転(木星との平均距離:約67万キロ)するエウロパ付近は、木星からの強い放射に晒されるため非常に危険な宙域でもあり、あまり長い期間の探査は難しく、40~50回程度(初期ミッション)の接近探査で任務を完了する予定ともなっているようです。

「エウロパ・クリッパー」の探査で直接生命発見は出来ないのか?

「エウロパ・クリッパー」の探査方法は、フライバイによりエウロパに接近し上空から調査を行うモノで、レーダー等の観測機器で内部の構造を調査は出来ますが、それで直接生命の有無を確認出来るワケではなく、探査機の任務はあくまでもエウロパに生命が生存出来る環境があるのか?を調査する事であり、おそらくは地球外生命体の直接発見には至らないかと思います。
しかし、この探査で生命存在の可能性がより確実に近づいた場合は、今度はエウロパに着陸し海に潜って探査する計画も実施されるかも知れません。

ただ、エウロパの海に到達するには1キロ以上とも言われる厚い氷を掘削する必要がありますが、残念ながら現在の技術では厚い氷を掘削する術なく、目下のところ氷を溶かしながら掘削するロボットを研究中との事です。

「Image Credit:エウロパの氷を掘削し海に到達した探査ロボットの想像図(Wikipediaより)」
この研究中のロボットは、数十メートルの掘削に成功しているとの事ですが、エウロパの氷は1キロ以上ありますのでまだまだ先は長く開発には時間がかかりそうです。
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