ヘリウムという元素名を聞いた事がある人は多いと思います。
ヘリウムは無味無臭で無毒、そして空気より軽いため風船など浮揚用ガスとして良く利用されており、一般的にヘリウムについてはそんな認識の人が多いのではないでしょうか?
ですが、ヘリウムには同位体元素である「ヘリウム3」が存在し、それは浮揚用ガスなどに使用するモノではなく、今後の人類文明に大きく関わる重要なエネルギー源として注目を浴びているのです。
しかし、未来のエネルギー源であるヘリウム3は、残念ながら地球上には極わずかしか存在していません。
では、これからの人類の生活を賄うエネルギー源であるヘリウム3をどう確保するべきなのか?それは、今後の人類の積極的な宇宙進出、宇宙開発が関わって来るようになってきます。
人類のエネルギー事情
現在、人類は石油や天然ガスなど、いわゆる化石燃料と呼ばれるエネルギーに頼って生活しています。化石燃料は、人類の経済活動の燃料として役立っているのですが、その反面、化石燃料から取り出した排出物が地球環境を汚染し、大きな問題も引き起こしています。
「Image Credit:Wikipedia」
そして、環境を汚染するほど化石燃料に依存し過ぎるがためにエネルギー源は既に枯渇しはじめており、あと半世紀ほどで使い果たしてしまうとの試算も出ているほどです。
つまり、このまま化石燃料を使い続けると近い将来に枯渇し、地球環境も破壊され尽くし取返しのつかないことになる可能性があるため、今後人類はエネルギー利用を大きく転換する必要が出て来ることは確実になると思われます。
未来のエネルギー源「ヘリウム3」とは?
今後、化石燃料に代わるエネルギー源として利用が期待されるひとつが太陽光発電で、既に一般家庭にも浸透し活用されているのですが、この発電方式だと天気に左右されてしまい、また全人類の生活を支え切れるほどの力を持っていないのが現状です。「Image Credit:砂漠に接地された大規模太陽光発電(左)と一般家庭に接地した太陽光発電(右)(Wikipediaより)」
そんな中、人類の生活を支える次世代のエネルギー源として注目されているのが今回話題の中心になる「ヘリウム3」です。
ヘリウム3は、太陽の熱核融合で生成される元素とされ、太陽の中心では水素が熱核融合反応を起こしヘリウムを生成していますが、生成されたヘリウムの中で少し構成が異なる同位体元素のヘリウム3も生成されて、太陽風に乗って地球までやって来ます。
しかし、地球の磁場や大気に邪魔をされ、地上までヘリウム3はほとんど届かず宇宙空間へ四散してしまっています。
ヘリウム3を燃料とした核融合発電
地球上にはあまり存在しないヘリウム3ですが、それでも未来のエネルギー源として注目されており、ヘリウム3を使って核融合反応を起こしそのエネルギーを利用し人類の生活に活用する。ヘリウム3による核融合発電システムを構築する事が目的です。「Image Credit:熱核融合実験炉のイメージ図(oshiba-clip.com」
ご存じのとおり、現在は核融合ではなく核分裂による発電システムが運用されていますが、放射能問題といったリスクも多く危険なエネルギー利用として反発も大きいのが現状です。
しかし、ヘリウム3を使った核融合発電の場合、放出される放射能が少なく生成されるエネルギー量も核分裂に比べると格段に大きいという利点があり、それは核融合でエネルギーを放出する太陽と同じ原理で、ヘリウム3を使って人工的に太陽を創り出すといったイメージになるのかも知れません。
◆ 参考:核融合エネルギー技術がどのようなものでどんな課題を抱えているのかがわかる動画。
ヘリウム3利用のため宇宙開発が必要な理由
ヘリウム3は地球上では少ないのですが、大気に邪魔をされず絶えず太陽風が降り注ぐ月面にはヘリウム3は豊富に存在することが確認されています。しかも月面にあるヘリウム3の採取方法は簡単で、月面のどこにでもある月の砂(レゴリス)にも付着している砂から取り出すだけで済むのです。
その月面でのヘリウム3の埋蔵量は、今後の全人類の電力消費を1,000年以上も賄えるほど豊富にあると考えられていますが、そうは言ってもヘリウム3が眠っている場所は、未だ未開の地・月面ですので、ヘリウム3を採取するためには、まずは宇宙開発を急がなくてはなりません。
現時点(2022年)では、アメリカのアポロ計画以降月面に人類は降り立っていませんが、今後はアメリカを中心として民間も参入した月面開拓を行っていく(アルテミス計画)予定にはなっています。
「Image Credit:今後の月面開拓の一環となるアルテミス計画の想像図(NASA/JPL」
次に人類を月面に送るのは2020年代後半頃とされており、この時点を境に人類は月面基地の建設を行って行き、ゆくゆくはヘリウム3採掘や他の月資源を採掘するプラントの建設も計画されていくと聞きます。
「Image Credit:Wikipedia」
その宇宙開発が化石燃料が枯渇してしまう前に行えるのか?それは今後の課題でもあり、人類が次世代のエネルギー利用に危機感を持っているのなら本当に急ぐべきだと考えます。
ただ、宇宙開発だけではなく核融合発電の技術もまだ確立されていませんが、これについては実現に向けて開発が進んでいるようです。
たしかZガンダムでも木星までヘリウム3を採りに行ってましたね。
でも月面にそれほど大量に存在するとは知らなかったです。
今後の化石燃料に代わるエネルギーは太陽光・メタンハイドレート・ヘリウム3ということになるのでしょうかね。
しかし月面に原子力発電所を造り、その電力をレーザー光で地球まで…となるにしたらまだ40〜50年は先の話でしょうけど
重力に逆らって地球から資材を月面に運搬するのは大変ですが、月面から地球に運搬するのは、具体化に当たっては色々問題があるでしょうが、原理的にはより容易と考えられます。 太陽光線が地球大気を電離してイオン層を作っているように、月からのレーザー光線も地球大気を電離して効率がどの程度落ちるのか、またエネルギーを受信するためアンテナはどの程度の面積をとるのか、環境問題との関係を含めて検討する必要があると思います。 MOMOTA