年々加速度を増して行く宇宙開発。その中でも民間企業が進める宇宙事業の発展には目を見張るモノがあります。
そんな中、アメリカの航空宇宙企業シエラ・スペース社(Sierra Space)が開発を進めているスペース・プレーン「ドリームチェイサー(Dream Chaser)」の初号機が完成し、いよいよ初飛行を迎えようとしています。
そしてこのスペース・プレーンの開発が成功し、運用となったあかつきには我が日本にもやって来るらしいのです。
つまり、日本からも宇宙旅行に行ける時代がやって来るのか?!もしかしたら、私たちも気軽に宇宙行ける時代がすぐそこまでやって来ているのかも知れません。

Sponsored Link

航空宇宙企業シエラ・スペース社とは?

宇宙開発を担う民間企業と言えば、時代の寵児と称されるイーロン・マスク氏率いるスペースX社を思い浮かべる人が多いかも知れません。
確かにスペースXは民間が進める宇宙開発の最先端を進んでいますが、このスペースXに追い付く勢いで事業進出を進めている企業もいくつもあり、今回紹介するシエラ・スペース社もそのひとつです。

「Image Credit:Sierra Space」
しかし、シエラ・スペース社は2021年に設立されたばかりの若い会社。これまでは母体であるシエラ・ネヴァダ・コーポレーションが宇宙関連の事業を推進していましたが、本格的に宇宙事業に乗り出すために新会社を設立。これにより加速度的に同社が目指す宇宙開発が進行する事になります。
シエラ・スペース社が目指す宇宙事業は主に3つ。民間宇宙ステーションの開発運営と人工衛星の開発、そして宇宙船ドリームチェイサーをはじめとする宇宙輸送ビジネスです。

「Image Credit:商業宇宙ステーションのイメージ(Sierra Spaceより)」
特に同社が開発している民間宇宙ステーションは、2030年に運用終了が見込まれる国際宇宙ステーション(ISS)に代わる新たな宇宙ステーションとして開発を進めていて、同時に一般人が滞在出来る商業宇宙ステーションの開発も進め、その商業宇宙ステーションと地球を往復出来る宇宙機としてスペース・プレーンの開発も進められています。
Sponsored Link

シエラ・スペース社のスペース・プレーンとは?

そんなシエラ・スペース社が開発を進め、運用開始間近とされるスペース・プレーン「ドリームチェイサー」についてご紹介します。

ドリームチェイサーは、地上と地球低軌道を結ぶ再利用可能なスペース・プレーンで、スペースシャトルのように翼を備えた形状をしており、地球へ帰還する時は滑走路に着陸出来る仕様になっている機体です。

「Image Credit:Wikipedia」
上画像↑↑でもわかるようにドリームチェイサーはかなりコンパクトな機体で、全長は約9メートル、重量は約1.5トン程。
もちろんこのままで宇宙に行けるワケではなく、打ち上げの際はユナイテッド・ローンチ・アライアンス(United Launch Alliance(ULA))のヴァルカンロケットに積まれて打ち上げられ、宇宙空間では機体後方にシューティングスター(Shooting Star)と呼ばれる全長約4.5メートルの貨物モジュールを結合しており、このシューティングスターは貨物室が搭載され、その他に外部にも3つの非与圧ペイロードを搭載することが可能となっています。

「Copyright ©:Sierra Space All rights reserved.」
完成したドリームチェイサー(無人機)は、既にケネディ宇宙センターに運び込まれており初飛行を待っている状態との事で、予定では2024年後半に打ち上げられるそうです。

ちなみに初飛行のスケジュールは、約3.5トンの物資を搭載して打ち上げられ、操縦性能の技術実証を行った後に、国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアームで把持・結合。ISSに約45日間滞在し、帰還時にシューティングスターを廃棄し、ケネディ宇宙センターの打ち上げ着陸施設へ帰還する予定との事です。
Sponsored Link

スペース・プレーン運用に日本企業も参加~そして大分空港へ

シエラ・スペース社は、自社が開発するドリームチェイサーをはじめとするスペース・プレーンを活用するため、日本の企業(兼松、三菱UFJ銀行、東京海上日動火災保険)がパートナーシップに参加を進めているそうです。
また、スペース・プレーンのアジア拠点宇宙港として大分空港を活用すると発表。

「Image Credit:大分県H.P.
大分空港はスペース・プレーンの水平型宇宙港として活用され、地球に帰還したスペース・プレーンの滑走路として使用される予定ですが、そもそも何故、大分空港なのでしょうか?
その理由として挙げられているのが、企業が国外で宇宙機を着陸させる場合に、アメリカ連邦航空局の厳しい条件をクリアし認可を得る必要があり、大分空港は人口密集地の上空を通過せずに海岸側から直接着陸のアプローチが出来るため、スペース・プレーンの滑走路としては理想的だと言い、また、アメリカ連邦航空局が課す着陸の条件をクリア出来る数少ない空港のひとつが大分空港だそうです。

さらには、日本企業がパートナーシップに参加すれば、ロケットの発射場として種子島宇宙センターも利用できる可能性がある事から、比較的種子島宇宙センターに近くアクセスしやすい地の利がある事も大分空港が選ばれた理由との事のようです。
Sponsored Link