夢の宇宙旅行。
それは現時点ではまさに夢物語で、SF映画の世界でしか存在しないものと思われていましたが、もしかしたら近い将来に民間宇宙船で実現するかも知れません。
しかも、地球軌道周回や月旅行といった宇宙旅行ではなく、別の惑星へ行く火星旅行が実現するかも知れないという事。
そんな夢の宇宙旅行計画を、アメリカの企業が着々と準備を進めているということです。
夢の実現に向けて準備中のスペースX社
アメリカの宇宙ベンチャー企業「SPACEX(スペースX)社」は、夢の火星旅行実現へ向けて本気モードのようで、同社の創業者イーロン・マスク氏も「あなたを火星に連れて行ってあげたいと思っています。」と大真面目に話していますし、何よりスペースX社は民間の宇宙事業において、豊富な資金力と最先端の技術力において世界でもトップクラスの企業という事もあり、この話には信ぴょう性があるのかも知れません。そんなスペースX社は、独自で開発した「ファルコン9」ロケットの第1段ブースターの再利用にはじめて成功し、世界中で注目を集めています。
「Image Credit:spaceX社HPより」
◆動画参照:【スペースXの再利用ロケット打ち上げ成功】
さらに、このファルコン9は回収だけでなく、姿勢制御用のフィンや着陸脚を搭載された着陸能力も備えており、陸地の着陸はもちろん、洋上への着地も成功させています。
◆動画参照①:【ファルコン9の着陸模様】
◆動画参照②:【ファルコン9の洋上着陸】
他、NASAとも商業契約を結び、国際宇宙ステーション (ISS) に物資補給のためのロケットの打ち上げも行っています。
夢の火星旅行の実現は?
スペースX社は2017年に初の有人宇宙船の飛行を行い、その後、月へ向け宇宙船も飛行させ、そして次に火星へと目を向けています。火星旅行にの実現は、2020年代後半から2030年代を予定。
もちろん商業用の宇宙船を飛行させる予定ですので、それに乗るは旅行者~お客様になるとか!?
そんな火星旅行をイメージした動画も公開されています。
火星旅行の費用は安価で誰でも行ける?
スペースX社が行っているのは、宇宙探査や冒険などではありません。それはあくまでもビジネスであり、ビジネスで宇宙を利用するのであれば利益を上げなくてはならないワケで、低コスト化と利用の増大が大きな課題となり、そのためにはより多くの人に宇宙に行ってもらいたい。という事がビジネスのコンセプトになると考えられています。
つまり、「夢の火星旅行なんて一部の大金持ちしか行けない!」ではなく、スペースX社の火星行きのチケットは、誰でも行ける安価?20万ドル(日本円で約2,200万円)ほどで価格設定されているとの事。
ただ、実際に民間人を火星に連れて行くとなると、この金額ではとても無理という意見もあり、火星宇宙船の開発費や、乗客の生命維持などの安全対策費等も莫大に膨れ上がると予想され、やはり1人数億程度の費用はかかるのでは?と言われています。
本当に民間人が火星旅行に行けるのか?
スペースX社は、火星旅行ビジネス実現に向け準備を進めているようですが、専門的な訓練も受けていなく、体力や知識、そして覚悟のない民間人が気軽に火星に行けるのか?非常に疑問思う声も挙がっているのも事実。それらをいくつかの問題点として挙げてみると。
狭い空間に長期間閉じ込められる精神力
火星旅行に行くのに、最低でも片道半年はかかり、火星での滞在期間も含め全行程2年以上はかかり、たぶん宇宙船のは非常に狭く、長期間の飛行では体力的にも精神的にもかなりキツいことが予想されます。また、何もない宇宙空間をどこにも立ち寄ることなく、ひたすら航行する火星便。
いったいどれくらいの人が、その環境に耐えられることか?疑問です。
被ばくの危険性
地球に住む我々は地球の強力な磁場に守られ、太陽から飛んで来る放射線を回避出来ています。火星に行く宇宙船は、そんな地球の磁場の外に出るワケで、容赦なく有害な放射線が飛んで来る過酷な環境に晒されてしまいます。
火星へ行く旅行者は、自分が搭乗する宇宙船は放射線防御対策が万全か?
また、地球のような磁場の存在しない火星で被ばくはしないのか?
宇宙船に乗ってみないとわからない。
火星に行ってみないとわからない。
という危険もあるかも知れません。
その他の健康被害の危険性
火星へ行くために、旅行者は長期間狭い空間に閉じ込められる精神力も試されますが、それ以外に長期間無重力空間に滞在することの危険も考慮しないといけません。これまでの人類の宇宙開発の中で、長期間宇宙に滞在した宇宙飛行士に発症した健康被害は、骨量減少、筋力低下、視力障害、内臓の機能低下などが報告されています。
放射線による被ばくの他に、このような健康被害が出てしまう危険性も火星旅行には含まれています。
何も無い火星の地に立ったときに!?
もし、旅行者が火星の地に立ったとしたら、最初は感動に包まれると思います。しかし、火星には赤茶け荒涼とした何もない風景しか広がっていないと考えられます。
そんな場所にどんな楽しみを見つけるのか?旅行としての醍醐味があるのか?
もしかしたら、スグに地球が恋しくなり、精神的にも異常をきたすかも知れません。
火星旅行に需要はあるのか?
ここまで”夢の火星旅行”に対しての問題点、悲観的な部分を話してきましたが、もちろん旅行者は火星に対してに憧れを元に訪れるとは思います。ただ、火星旅行の実現を計画しているのが、わずか十数年後という期間の短さ。
2017年の現在において、火星はまだ謎だらけ。
どんな危険が潜んでいるのかわかっていない状況ですし、技術的にも有人での火星飛行は確立されていない状態。
そんな短い期間で火星に旅行者を送るということは、少し無謀な気もしますが・・・
また、危険を冒してまでどうしても火星に行きたい!という人はどれくらいいるのか?
それがビジネスとして需要拡大に繋がるのか?は疑問でもありますし、未知数でもあります。