地球外生命体を発見するにあたり、ポイントとなって来るのが水の存在ですが、これまでの太陽系天体の探査において水の存在が期待出来る惑星や衛星はいくつかあり、その中でも近い将来生命存在の可能性の有無を確かめる上で最も有力となっているのが「火星」です。
凍てついた赤い砂漠の惑星というイメージが強い火星ですが、調査の結果、地下には豊富な水が眠っている事が判明。
果たして、火星の地下にあるという水に生命の痕跡はあるのでしょうか?

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火星南極の地下に眠る膨大な量の水を発見!

欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」。
マーズ・エクスプレスは火星軌道を周回しながら、大気の観測や地表のデータ収集等を行っており、その観測の中でも大きな発見と言えるのが火星南極の極冠に水の氷を確認した事です。

「Image Credit:NASA/JPL/MALIN SPACE SCIENCE SYSTEMS」
さらに、その地下約1.5キロの深さに液体となった水を発見し、規模は少なくとも幅30キロ以上はある湖が存在している事が判明しています。
しかもその湖の周りにいくつも小さな池らしきモノも見つかっており、火星の地下には豊富な水がある事がわかって来ました。

何故、火星には水が存在しているのか?

現在の火星環境は、地表のほぼ全てが酸化鉄(赤さび)が大量に含まれた乾いた砂漠が広がっています。

「Image Credit:火星探査車キュリオシティが撮影した火星地表(NASA/JPL/MALIN SPACE SCIENCE SYSTEMSより)」
ところが火星の両極地域は他とは少し違い、この領域には厚い氷の層が存在している事が確認されています。

では何故、北極と南極付近に氷があるのでしょうか?
それについては長らく謎とされて来ましたが、近年の火星調査でその理由が明らかになりつつあり、実は太古の火星(35億年前前後)は厚い大気に覆われ、豊富な水を湛える海が存在し地球に似た温暖な気候だった事がわかって来ています。
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しかし、地球よりも太陽から遠く離れ、大きさや質量、重力も地球よりかなり小さい火星は次第に衰え核も冷えて強力な磁場を失ってしまい、磁場を失った火星は、やがて厚い大気が蒸発し、それと共に地表の水も蒸発していまい現在の火星の姿になってしまったと考えられています。

「Image Credit:NASA」
ただ火星は、全ての水を失ってしまったワケではなく北極・南極地域には氷として残り、一部は地下深くに浸み込んでいったのではないかと推測されています。
こうして残った水が火星の地下資源として今も存在する。そう考えられているのです。

「Copyright ©:YouTube National Geographic All rights reserved.」
また、太古の火星に栄えた生物もまた地下に逃れ、今も生き残って進化をしているかも知れません。

どうやって火星の地下に眠る水を発見したのか?

火星軌道を周回する探査機マーズ・エクスプレスには電波で地下を観測するレーダー装置マーシス(MARSIS)が搭載されています。
この装置で火星の氷床に向けて電波を送る事で、氷床の密度や組成が変化する場所で跳ね返って探査機へ戻って来ます。その電波パターンを解析する事で地下に何があるのか、それは液体なのか?岩石なのか?等を判断し、極冠氷の下に水がある事を確認したそうです。

「Image Credit:NASA Jet Propulsion Laboratory」

火星の水は水質が良くない?

火星の地下に液体の水が見つかった事で、期待されるのはそこに生命がいるのか?という事になるか?と思います。
液体の水が存在すれば、一気にその期待は高まるのですが実際はそうもいかないようで・・・
まだ確定はされていないのですが、火星の地下にあるのはおそらく塩水の水ではないかと考えられるのですが、塩水の水と聞くと地球の海を思い浮かべてしまかも知れませんが、地球の海の塩水は塩化ナトリウムなのに対し、火星地表の酸化鉄から由来する過塩素酸塩から構成されている事が考えられ、しかも厄介なのが過塩素酸塩は有毒らしいのです。

そうであれば、やはり火星に水があったとしても生命の存在は絶望的なのか?とも考えてしまいますが、これはあくまでも確定は出来ない事でもあるため、今後の調査次第では生命存在の確証を得られる可能性も無いとは言い切れないでしょう。
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