太陽系最大の惑星である木星には100個近い衛星があり、今後の観測次第では増えて行く予想はありますが、その中でも特に大きな4つの衛星イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストは、17世紀の天文学者ガリレオ・ガリレイが発見したガリレオ衛星としても有名です。
そんな木星のガリレオ衛星の中から今回ご紹介するのが衛星・イオ
この衛星イオについては以前もご紹介していますが、その時の紹介から数年経ち、新たな発見と謎が解明されてさらに注目度が上がっているようなのです。

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木星の衛星・イオとは?

以前も木星の衛星・イオとは?としてご紹介しましたが、いま一度おさらいの意味も含んでご紹介しますと。

「Image Credit:衛星・イオ(Wikipedia)」
衛星・イオは木星の第一衛星で、木星との距離は約42万キロ。巨大な重力を持つ木星をこの近い距離で楕円軌道で公転している事に加え、イオの外側を公転している2つの衛星(エウロパ・ガニメデ)との重力相互作用の影響で、イオの内部では強力な潮汐力による摩擦熱が発生し、そのため太陽系内で最も火山活動が活発な天体としても有名です。


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なお、木星の4大衛星のひとつでもあるイオの大きさは月よりも一回り大きく、太陽系の衛星の中では4番目に大きな衛星です。

「Image Credit:Wikipedia」

衛星イオで火山活動が活発な理由

イオでは、木星の重力と隣接する衛星との重力相互作用の影響で、活発な火山活動が続いていると簡単に解説しましたが、もう少し詳しくこの火山活動について解説すると。
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イオが木星から受ける重力の影響

衛星イオは木星の中心から約42万キロの位置にあり、木星に最も近い距離と遠い距離の差は約3,000キロを1.77日(約42.5時間)で公転しており、これにより木星の強力な引力の影響を受け、木星を一周する間にイオの表面は約100メートルも上下している事が判明しています。

「Image Credit:iStock」

隣接する衛星との重力相互作用の影響

イオは隣接する2つの衛星(エウロパとガニメデ)の重力の影響も強く受け、衛星ガニメデが木星を1周する間に4:1 の平均運動共鳴を起こし、その内側にあるエウロパが2周する間に2:1の平均運動共鳴を起こし、そして更に内側にあるイオは4周するという軌道共鳴が起きる事で、イオの内部の熱源上昇に繋がっているとされています。

「Image Credit:Wikipedia」
このような木星の重力、衛星同士の重力相互作用の影響で、イオでは継続的に潮汐加熱と呼ばれる強力な摩擦熱が生じ、内部では岩石が溶けたマグマの海が形成され、それらが表面に噴き出すという火山活動に繋がり、イオの地表あちこちで溶岩が川が流れている状態が起きていると考えられています。
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イオの火山活動は太陽系誕生の初期から続いていた!?

衛星イオには、主に二酸化硫黄等の硫黄酸化物や解離により生成された酸素や硫黄原子の希薄な大気があり、その大気を通し火山噴出物も含む物質が、毎秒3トンも宇宙空間に流出していると考えられており、それらの流出している状態等を基に観測研究した結果、イオは本来持っていた94~99%硫黄物質を失っていることが判明。この事から逆算すると、イオの火山活動はおそらく45億年前から継続しているのではないかと推測されると言います。

「Image Credit:イオから噴き出す巨大なプルーム(Wikipediaより)」

詳細な観測で発見されたイオ表面の様子

太古から活発に続いていると考えられている衛星イオの火山活動。この火山活動の副産物として形成されたとみられる、他の天体には見られない奇妙で不思議な構造物がいくつも発見されており、その中からNASAが公開した奇妙な地表の風景を2つご紹介します。

まるで魔城!鋭利に尖った山

スティープル山(尖塔山)と名付けられた鋭利に尖った山。これは2024年4月18日に公開され「魔城のようだ」と話題を呼んでいます。


「Copyright ©:JPLraw All rights reserved.」
このスティープル山がどこにあり高さはどれくらいなのか?、については調べてみましたが確認する事は出来ず不明ですが、現時点でイオで最も高い山は、標高16,000メートルのボオサブレ山脈だそうです。それはそうと、この動画を観る限りCG作成されたモノとは言え、イオの地表がとても滑らかである事が見て取れます。

鏡のように反射する湖

NASAの木星探査機「ジュノー」がイオに大接近した際に発見した、まるで鏡が反射するように滑らかな溶岩が溜まって出来たと見られる湖の様子。


「Copyright ©:JPLraw All rights reserved.」
この溶岩湖の詳細も不明ですが、おそらくこれは直径200キロもある「ロキ・パテラ」と呼ばれる溶岩湖で、湖には溶岩が冷えて出来た島が点在し、高温のマグマが周囲を縁取っている事もわかり、注目の滑らかで反射する湖面は、地球上の火山で生成される黒曜石を彷彿と物質ではないか?と推測も出来るとの事です。
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今後も解明が進む衛星イオの謎

現在、衛星イオの探査は、木星の探査を主な目的とするジュノー探査機がフライバイをする際に観測を行っていますが、イオに最接近する度に高性能カメラ(ジュノーカム)で撮影を行っており、そのデータをNASAが解析し一般にも公開をしています。
◆ 2024年4月9日、ジュノー探査機が衛星イオ上空約1万6,500キロの地点から捉えた南極域の画像↓↓

「Image Credit:NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS; Image processing by Gerald Eichstädt/Thomas Thomopoulos © CC BY」
しかしながら、専門家は「イオは太古も今もさほど変わってはいない。」として情報を得るには限界があると見ており、今後、木星の衛星探査の中心になって行くのは、生命存在の可能性があるエウロパやガニメデになって行くとされています。
とは言え、規模や状態は異なるにせよイオと同じような潮汐加熱を持つエウロパやガニメデも、イオで起こっている火山活動のデータは、今後の探査に大いに役立つモノではないでしょうか。
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