7月20日は、1969年にアメリカNASAが打ち上げたアポロ11号が人類初の月面着陸に成功した記念すべき日です。
そんな大偉業に対し未だに消えないのが、当時の技術で人類が月面着陸する事は不可能でアポロ計画そのものが捏造だったという説。
ですがこの日、人類が月面に立ったのは紛れもない事実なのですが、その事実を証拠するモノとは何なのでしょうか?そして何故、陰謀説が出てしまったのでしょうか?
アポロ月面着陸とはどういうモノだったのか?
人類が初めて月面に降り立ったのは1969年の事でしたが、もうかなり昔の事なので、リアルタイムでこの大偉業を見た事のない人も多いと思います。という事で、この月面着陸について簡単に振り返ってみると。
1969年7月16日~アポロ11号打ち上げ
ニール・アームストロング(下写真左)を船長に、バズ・オルドリン(下写真右)、マイケル・コリンズ(下写真中央)の3人の宇宙飛行士を乗せた全長約110メートルもあるサターンV型ロケットが、アメリカのケネディ宇宙センターから月に向けて打ち上げられました。「Image Credit:アポロ11号搭乗の3人の宇宙飛行士とサターンV型ロケット(Wikipediaより)」
1969年7月20日~着陸船月面着陸成功
約3日間の飛行ののち月周回軌道上に到達したアポロ11号は、司令船「コロンビア」から月着陸船「イーグル」を切り離し着陸船は月面に向け降下し、この時、月面に向かったのはアームストロング、オルドリン飛行士の2名で、コリンズ飛行士はコロンビアに残り月軌道上で月面着陸のサポートを行っています。「Image Credit:切り離し後の司令船コロンビア(左)と着陸船イーグル(右)(Wikipediaより)」
イーグルの着陸予定地は、月の赤道に近い比較的平地が多い領域と思われる「静かの海」でしたが、しかし、自動操縦でコンピューターが着陸誘導しようとしているのは、クレーターの中の岩がゴツゴツした着陸には危険な場所である事が判明。
これを見たアームストロング船長は急遽操縦を手動に切り替え、自らの判断で着陸場所を探し軟着陸を決行し、常に冷静沈着だったアームストロング船長の操縦は見事で、安全な平地のある場所を見つけそこにスムーズに着陸成功しました。
ちなみにこの時、着陸用エンジンの燃料はほぼ空の状態だったといい、まさにギリギリのタイミングで着陸に成功したそうです。
そして、ついに人類初の月面着陸という世紀の瞬間が訪れます。
「Image Credit:月面に降りようとするアポロ11号アームストロング船長(左)オルドリン宇宙飛行士の靴跡(右)(Wikipediaより)」
この着陸の時、アームストロング船長が発したこの言葉はあまりにも有名です。
「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大なる飛躍だ!」
また、これほどではありませんがアームストロング船長の言葉がもたらしたもう一つ有名なエピソードをご存知でしょうか?
それは、着陸に成功した後、アメリカのホワイトハウスとの交信時での出来事でした。
「Image Credit:ホワイトハウスから祝辞を贈る米ニクソン大統領(NASA/AFPより)」
当時の米ニクソン大統領が「すべての米国人にとって今日は人生で最も誇り高い日に違いない」と祝意を伝えたのに対しアームストロング船長はこのように返します。
「(私たちは)米国人だけではなく平和を愛する世界中の人々の代表です。」
アポロ11号が月面着陸に成功した当時はベトナム戦争の最中だった事もあり、大統領はアメリカの力を誇示したくてこのような祝意を贈ったかも知れませんが、国境の無い月面に立った宇宙飛行士が感じた事は、戦争など無意味でそんな事など超越した気持ちでこのような言葉が自然と出たのかも知れません。
その後、2人の宇宙飛行士は約2時間半における月面での船外活動を行い、月面滞在約21時間で再び司令船・コロンビアとドッキングし、約8日間の任務を終え無事地球に帰還しました。
1969年-1972年~合計6回の月面着陸成功!
記念すべきアポロ11号の月面着陸から3年間に渡ってアポロ計画は17号まで実施され、合計12人の人類が月面の地に降り立っています。当初の計画によるとアポロ計画は20号まで予定されていたと言われていますが、莫大な費用がかかる事もあり予算削減のため18号以降は断念。
その後、アポロ計画は スカイラブ計画やスペースシャトル計画へと引き継がれ、これらの成功により事実上アメリカは宇宙開発のトップに立つ事になります。
「Image Credit:スカイラブ計画(左)とスペースシャトル計画(右)(NASA/AFPより)」
21世紀の現在も国際宇宙ステーション等、アメリカを中心に宇宙開発は続いていますが、現在では民間も参入する事で宇宙進出は改変を見せようとしています。
アポロ月面着陸に何故捏造説が生まれたのか?
これほどまでの素晴らしい偉業となったアポロ月面着陸ですが、この後この偉業に水を差す事態が起こる事となります。それは「人類は月など行っていない!すべては仕組まれた捏造だ!」という一部の人々の意見が世界中を駆け巡った事でした。
それがいわゆる「アポロ計画陰謀論」であり、その発端は1冊の自費出版本にありました。
それが1974年に出版された「We Never Went to the Moon」という書籍。
この本が出版されたにより、アポロ計画について疑惑の論争が巻き起こり。
「宇宙に行ったハズなのに、背景の空に星が1個も映ってない。」
「真空なのにアメリカ国旗がはためいている。」
「宇宙飛行士の影の向きがおかしい。」
等といったアポロ月面着陸の様々な矛盾点を指摘して行き、その結果、世間の否定派の人たちを煽るカタチになってしまったのでした。
確かにアポロ月面着陸には無理があった
当時のアポロ月面着陸の背景には、大国旧ソ連との冷戦があり、人類初の人工衛星打ち上げ、有人宇宙飛行、さらには有人による宇宙遊泳等、宇宙進出でアメリカはどれも旧ソ連に遅れをとっていました。そのような状況に焦った?アメリカは、とんでもなく無謀な計画を立てる事になります。
それが1961年。当時のケネディ大統領の『10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる。』という声明によるものでした。
「Image Credit:1961年5月25日ケネディ大統領演説の様子(Wikipediaより)」
これを発端にNASAは、急ピッチで有人月面着陸計画を進める事になるのですが、しかし、アメリカが初めて人工衛星の打ち上げに成功したのは1958年です。
つまり、初の人工衛星の打ち上げ成功からわずか10年余りで人を月に送るなんてあまりにも無謀な計画であり、しかも宇宙進出には欠かせないIT技術もまだ未発達で、当時、最高水準のコンピューターは今で言うところのゲーム機ほどの性能しかなかったと言われる時代であり、宇宙に対する経験も技術も未熟なヨチヨチ状態で月なんかに行けるワケがない!と、ケネディ大統領の声明を実行するなど無茶だと、普通に考えれば誰でもわかるような事でした。
つまり、このような背景があった事で捏造説が広まったのは無理もなかったのかも知れません。
アポロ月面着陸成功は紛れもない事実!
「人類は本当に月に行ったのか?」と疑って本を出版した著者は、基本的にロケット技術の知識はゼロの素人であり、捏造説は技術面や宇宙の知識からみたら全く根拠など無いワケで、しっかり検証すれば捏造の意見は根本から覆されることになります。例えば、「宇宙に行ったハズなのに、背景の空に星が1個も映ってない。」疑惑については?
「Image Credit:Wikipedia」
原因は、太陽光が強い月面では撮影のため太陽光の反射を防ぐ必要があり、カメラの口径を狭くして撮影している事で星の明かりが写り込んでいませんでした。
また「真空なのにアメリカ国旗がはためいている。」の原因は。
「Image Credit:月面でアメリカ国旗に敬礼する宇宙飛行士(Wikipediaより)」
単に旗の布にシワがよっただけであり、真空だからこそこのように見えているのです。
そして何より月面着陸が捏造などではない!という決定的な証拠が、当時、何億人という人が視聴したというテレビの生中継ではないでしょうか!?。
この時、月面でのテレビ中継はカメラを回しっぱなしで2時間以上も放送しています。また、この頃は映像技術も未発達でCG等で捏造出来るほどの高性能カメラも無い時代であり、また、地球の6分の1しかない月の重力下でスローモーションのように動き回る宇宙飛行士の様子など中継できるハズもないワケで、それを捏造映像として世界中の人たちの前で2時間以上の長い時間で公開するなど、とても技術的に無理だった事が証明されています。
21世紀。人類は再び月へ!
偉大な先駆者たちが打ち立てた月面着陸から半世紀を過ぎ、人類は再び月面の地に立とうとしています。それは、今後実施されようとしている”21世紀のアポロ計画”で、新しい計画の名前は「アルテミス計画」と言います。
ちなみに、アポロとアルテミスの関係は、ギリシャ神話で太陽神をアポロン。月の女神の事をアルテミスと言い、アポロンとアルテミスは双子の兄妹だと言います。
つまり名前からも、アルテミス計画はアポロ計画を継承するモノだと言えますが、今回の計画は単に人類を月面に送り科学・資源調査をする事だけが目的ではなく、将来人類が月面で活動できるよう月のインフラ整備を進める事にあり、具体的には月面に基地を建設し、その軌道上には人類が火星等の天体に進出するための拠点となる宇宙ステーションも建造する事にあります。
「Image Credit:JAXA資料より」
「アルテミス計画」は2020年代前半から計画が実施されるとの事で、これにはアメリカだけでなく世界各国が参加し、もちろん日本も参加するとの事です。