映画化やアニメ化もされ大人気の漫画「宇宙兄弟」。
物語は基本は近未来を描いたSFなのですが、設定やストーリー展開が実にリアルで現実的って事も魅力のひとつです。
この漫画を読んでいると、十数年後は実際に宇宙兄弟のような世界になっていてもおかしくなく、人類の宇宙進出における未来がこの世界のように実現可能なのでは?と思わせてくれます。
そんな現実的なSFストーリー「宇宙兄弟」の世界は実際にやってくるのでしょうか?
私の個人的見解でもありますが、このことについて少し考えてみました。

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宇宙兄弟のリアルな近未来ストーリー

漫画「宇宙兄弟」は、ごく普通の中流家庭で育った兄弟が、子供の頃にUFOを目撃した事をきっかけに宇宙に興味を持ち、「宇宙飛行士になる!」という夢を抱き、その夢の実現に向け努力し夢を実現して行くというストーリーです。
そんな宇宙飛行士への夢を追いかける兄弟ですが、弟の方は純粋に「絶対なれる!」と信じ日々努力し続けます。
一方、兄の方は「宇宙飛行士になるなんて所詮子供の夢で現実的でない!」と悟り、途中で諦めて普通のサラリーマンになってしまいます。
兄と弟の夢の違いは、私たちも同じようなモノで、子供の頃は大きな夢を持っていたとしても、成長するに連れ現実が見えて来て、兄のようになってしまうのがほとんどです。
漫画では、諦めなかった弟は努力の末、本当に宇宙飛行士になってしまった。しかも日本人最年少で宇宙飛行士になるという快挙を成し遂げます。

ヒーローになった弟と、普通のサラリーマンになった兄。
当然ながら、兄弟間で格差が生まれ、世間の風当たりも強く、兄は肩身の狭い思いをしながら生きて行くのが宇宙兄弟の序盤のストーリーです。
そんなある日。兄は上司とトラブルを起こし会社をリストラされ無職になってしまい、アルバイト生活を余儀なくされてしまいます。
そんなどん底状態の兄を救ったのは宇宙飛行士の弟。
兄に内緒でJAXAの宇宙飛行士選抜試験に応募して、一次審査に合格したことをきっかけに、兄もまた一度は諦めた宇宙飛行士への道を歩んで行くという展開に進んで行きます。
それが漫画「宇宙兄弟」の大まかな流れです。

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JAXAの協力で創られる宇宙兄弟のストーリー

「宇宙兄弟」は漫画でありながら、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が深く関わっているというのは有名な話です
そんなJAXAの協力や積極的な取材のお陰で、物語上多少の脚色はあったとしても、JAXAの宇宙飛行士選抜試験の内容等も、かなり現実の試験に沿ったリアルな設定で物語がつくられています。
また、毛利衛氏や野口聡一氏などの実在の日本人宇宙飛行士も登場することで、いかにJAXAが協力的で、宇宙兄弟の世界が現実可能な宇宙開発の未来を示唆しているかがわかります。

人類の宇宙開発はどこまで宇宙兄弟の世界と似ているのか?

宇宙兄弟に登場する人物もリアル。

そして宇宙飛行士になるための訓練、JAXAやNASAの組織体制も実際をモデルにして作られています。

「Image Credit:JAXA」
そしてこの物語で主軸となっているのが、兄弟が目指す月面。
主人公の兄弟は共に月面に降り立ち、ミッションを行っています。
果たして物語の舞台となっている十数年後の未来は、漫画のように日本人が月に行ける時代になっているのでしょうか?
現実世界では、日本人宇宙飛行士は十数名いますが、皆、地球の低軌道上を周回しているに過ぎません。
ですので、まだ月面ミッションに参加している日本人は存在していないわけですが、そもそも現時点ではNASA自体でも月への有人ミッションは行われていないワケで、基本的に地球とISS(国際宇宙ステーション)との往復ミッションしか行われていないのが現状です。
ちなみに宇宙兄弟では、2025年には小規模ながらも月面基地が建造されて、そこで様々な実験が行われているワケですが、実際の今後の展望として10年後、もしくはもう少し先の時代で月面基地は造られる可能性はあるのでしょうか?
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厳しい宇宙開発の現在

宇宙兄弟に登場するような人類の宇宙開発時代は、実にリアルで実現可能です。
しかしながら、現時点ではそこまで実施することは厳しい実情があります。
NASAもスペースシャトル計画で自国での有人宇宙飛行を2011年まで実施していましたが、スペースシャトルの退役後は、有人宇宙ロケットは所有しておらず、現時点では旧式のロシアのソユーズでISSまでの往復ミッションを行っており、宇宙開発に大きな進展は見られない状況です。

「Image Credit:Wikipedia」
そんな遅れている宇宙開発の原因は大幅な予算カットによる資金不足等、様々ありますし、そもそも莫大なお金がかかる宇宙開発は、よほどの大義があり国民の理解が得られないと予算を獲得するのは難しいと言えます。

人類の宇宙開発の未来は宇宙兄弟のようになるのか?

宇宙兄弟が月ミッションで使用している宇宙船はNASAの「オリオン」です。
実はこのオリオンは実在する宇宙船で、現在NASAが開発を進めているモノです。

「Image Credit:Wikipedia」
このオリオンが完成すれば、宇宙兄弟のように低コストで月面探査が行えるようになるとの事。
まさに宇宙兄弟の世界は、オリオンが完成し運用を開始した世界を描いていることになります。
ただ、2025年に月面基地が完成しているかは別問題で、オリオンの完成、そして予算をどこまで確保出来るかにかかっていることでしょう。

月ミッションの意義

宇宙兄弟のメインのミッションとなっているのが「月面調査開発」で、月の資源の調査や月面望遠鏡などの建設が進められています。
現実世界でも、今後は月面の開発はとても重要なモノとなってきます。
人類は地球のあらゆる資源を食い尽し、そう遠くない将来、地球の資源は枯渇すると言われています。
しかし、そんな地球の資源に代わり注目されているのが月にに眠る手つかずの豊富な資源です。
月に眠っているのはほとんどが鉱物資源ですが、エネルギー源としても地球上にはほとんど存在しないヘリウム3が月には豊富に存在することが確認されています。
ヘリウム3は夢のエネルギー源とも言われ、今後開発が進むであろう核融合発電の燃料として利用出来ると期待されています。
また、人口爆発的増加に伴う解決策としても月の開発は重要と考えられており、これらが今後、どれだけ国民や人類全体に理解してもらえるかで、今後の宇宙開発の躍進も加速するかどうかが変わってくることでしょう。
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