冬の代表的な星座として知られるオリオン座。その一角を成し、オリオン座には無くてはならない星「ベテルギウス」。
そんなベテルギウスが、一部では「(消滅して)もう存在していない。」とウワサされていますが、ベテルギウスは今も冬の夜空に光輝いています。

となるとこれは根も葉もないウワサに過ぎないとも言えるのですが、そこにはちゃんとした意味があるとの事のようです。

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間もなく星の寿命を終えようとしているベテルギウス

冬の代表的な星座として誰もが知っていると言っていいほど有名なオリオン座は、紀元前1400年頃から知られていた古い星座でもあります。
そんなオリオン座は、ギリシャ神話の海神・ポセイドンとアマゾン国の女王・エウレアレの子供で、狩りの名人とされるオリオンを模った星座で、ベテルギウスはオリオンの右肩に位置する赤く輝く一等星(α星)です。
またベテルギウスは、冬の星空に最も明るく輝く星を繋いだ「冬の大三角(おおいぬ座シリウス・こいぬ座プロキオン・オリオン座ベテルギウス)」にも名を連ねる星でもあり、冬の夜空には無くてはならない星だとも言えます。

「Image Credit:Yahoo!JAPAN きっず図鑑
しかし、ベテルギウスはそう遠くない未来に冬の夜空から消えてしまう危機に陥っている、という話題が数年前からニュースにもなっていますのでご存じの方も多いのではないでしょうか?

ベテルギウスが消滅すると言われている理由。それは、この星は恒星として末期の状態にあり、もう間もなく寿命を終えようとしているからであります。

赤色超巨星へと進化したベテルギウス

質量が太陽の20倍程あると考えられているベテルギウスは、寿命が近づくに連れ膨張し、その大きさは直径14億キロと太陽の約1,000倍にも迫るほど巨大化しています。


「Copyright ©:European Southern Observatory (ESO) All rights reserved.」
極限まで膨張し進化したベテルギウスは、いずれ星の中心部での核融合反応が停止し重力崩壊で超新星爆発を起こし、その一生を終えてしまうと考えられています。

「Image Credit:iStock」

超新星爆発を起こした後のベテルギウスはどうなる?

赤色超巨星から超新星へ。寿命を終えてしまったベテルギウスはどうなるのでしょうか?
太陽やベテルギウスといった核融合で自ら光輝く恒星がエネルギーを使い果たし寿命を終えてしまった場合、その運命は以下のように考えられています。
  • 質量が太陽の8倍以下:赤色巨星から外層のガスや塵を放出した後、白色矮星へと進化。
  • 質量が太陽の8倍以上:赤色超巨星から超新星爆発を起こし、超新星残骸となり宇宙空間に四散。
  • 質量が太陽の30倍以下:赤色超巨星から超新星爆発を起こし、中性子星へと進化。
  • 質量が太陽の30倍以上:赤色超巨星から超新星爆発を起こし、ブラックホールへと進化。
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寿命を終えた恒星の残骸は、惑星状星雲や超新星残骸から、塵やガスが再び重力で結び付き、新たな星の誕生へと繋がって行きますが、太陽質量が20倍程のベテルギウスの末路は、おそらくではありますが中性子星へと変貌するモノと思われます。

「Image Credit:中性子星(Wikipediaより)」

ベテルギウスはいつ超新星爆発を起こすのか?

「超新星爆発間近!?」とベテルギウスが話題になった当時、数カ月から数年以内に爆発すると言われ、天文ファンの間ではその瞬間を目撃しようと注目を浴びていました。
しかし、その後の観測研究で、ベテルギウスの超新星爆発は数万年先と発表され、この話題は急速にトーンダウンして行きました。

ただ、現在のベテルギウスは減光と増光を繰り返しており非常に不安定な状態である事も示唆されています。
科学者たちの見解では、ベテルギウスの超新星爆発は数万年先でも、もしかしたら「その日」が私たちが生きているうちに、突然やって来ても不思議な事ではないかも知れません。

「Copyright ©:NASASpaceNews All rights reserved.」

ベテルギウスは消滅してもう存在しない?

さて、この記事のタイトルでもある「ベテルギウスは消滅してもう存在しない?」というのはどういう意味なのでしょうか?

その理由は2つあり、1つはベテルギウスという恒星があまりにも不安定な状態にあり、超新星爆発が起きるのは科学者たちの見解が数万年先であったとしても、それはあくまでも推測であって実際の正確な情報は誰にもわからないからであります。
つまり、ベテルギウスの超新星爆発は数年後であってもおかしくはなく、もう既に爆発を起こしている可能性だってあるのです。

「Image Credit:歪な形状に変化したベテルギウスの実際の画像(Wikipediaより)」
そこで気になるのが「もう既に爆発を起こしている」という表現。これが2つめの理由であり、宇宙があまりにも広大であるという意味を示しています。

それは、私たちが普段見上げている星空はリアルタイムな星の輝きではなく、星が過去に放った光を私たちは”美しい星空”として見上げている事にあり、広大過ぎる宇宙では光が届くまで時間がかかり、スグ側にある月の光でさえ私たちの眼に届くまで1秒以上かかり、太陽光も8分前に太陽から放たれた光を浴びているといる事になるのです。

「Image Credit:見上げる星空は全て遠い過去に放たれた光(iStockより)」
となると、ここでの「ベテルギウスはもう存在しない。」というのは、地球とベテルギウスの距離(約640光年)が意味を持って来ます。
つまり、私たちが今、見ているベテルギウスの光景は640年前のモノで、日本の歴史で言うところの室町時代に放たれた光を私たちは今見ている事になります。

非常に不安定な状態にあるベテルギウスが、仮に600年前に超新星爆発を起こしていたとしたとしたら、私たちは40年後にベテルギウスの超新星爆発という超スペクタクルショーを観る事が出来るという事になるワケ、「ベテルギウスは消滅してもう存在しない」とは、この事を指している事になりますが、とは言っても、現時点では科学者たちの見解が正しいと思われ、この光景を観れるのは私たちの遠い子孫たちではないでしょうか?
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