人類の歴史上、偉大な業績として語り継がれる有人による月面着陸。
これは、1960年代から1970年代初頭にかけて行われたアメリカ航空宇宙局(NASA)によるアポロ計画ですが、このミッションで月面に降り立った宇宙飛行士は全部で12名います。
アポロ計画終了から40年以上経過した今、我々の記憶から薄れ始めていて、また当時まだ生まれておらずこの偉業すらどんなものだったのか知らない世代も多くいます。
ここではアポロ計画がどんなミッションだったのかを映像を踏まえて、振り返ってみたいと思います。

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アメリカ合衆国第35代大統領・ジョン・F・ケネディの「アメリカは1960年代中に人間を月に到達させる」の声明で始まったアポロ計画。

「Image Credit:1961年5月25日ケネディ大統領演説の様子(Wikipediaより)」
人類を月面に送るには緻密で正確無比な計算と技術が絶対不可欠な中で、当時現在のようなIT技術もほとんど発展していないにも関わらず行われたこのミッション。
実際に月に行く宇宙飛行士はもちろんの事、彼らを月に送り出す技術者たちも命がけで決死の想いだったに違いありません。
そんなアポロ計画は1966年のアポロ1号から、1969年のアポロ11号までのわずか3年で有人での月面着陸に成功させています。
この短期間で偉業を成し遂げたという、当時のアメリカの威信をかけた国家プロジェクトだったとうことが良くわかります。

アポロ1号~アポロ6号(1966年2月~1968年4月)

アポロ1号からアポロ6号までのミッションは1966年から68年までの約2年間行われています。
このミッションは無人の弾道飛行から始まり、地球軌道を月周回軌道に見立てた言わばシュミレーションが実施されています。
しかし、1967年1月。アポロ1号での地上訓練中に3名の宇宙飛行士が乗った司令船内で火災が発生し、3名とも焼死するという痛ましい事故が発生。
この事故が宇宙開発史の中で初の死亡事故となってしまい、その後約半年間、アポロ計画は中断を余儀なくされてしまいました。
ちなみにこの時亡くなった宇宙飛行士の1人エドワード・ホワイト氏は、1965年に人類で初めて勇気ある宇宙遊泳を行った偉人です。

「Image Credit:Wikipedia」

アポロ7号とアポロ9号

アポロ7号(1968年10月)は、のちに人類を月に送るサターンV型ロケットの初飛行であり、実際に3人の宇宙飛行士を乗せて地球の低軌道周回飛行に成功しています。

「Image Credit:Wikipedia」
アポロ9号(19698年3月)は、10日間地球の低軌道を周回し、月着陸船と司令船のドッキングテストを行っています。

アポロ8号とアポロ10号

アポロ8号は1968年10月、アポロ10号は1969年に実際に月周回軌道を有人で周りドッキングテストを行っています。
◆参考動画:【アポロ10号の映像】

アポロ11号(1969年7月)

何度もテストを重ね、いよいよ月面着陸本番。
歴史的瞬間は1969年7月20日。アポロ11号月着陸船イーグルからニール・アムストロング船長が人類で初めて月の地面に降り立ちます。
この時彼が言った言葉ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ。」はあまりにも有名です。

「Copyright ©:NASA All rights reserved.」
  • 月面着陸地点:静かの海
  • 月面活動を行った宇宙飛行士:ニール・アームストロング、バズ・オルドリン
  • 月面滞在時間:約21時間

アポロ12号(1969年11月)

アポロ11号の成功から約4ヶ月後に12号が月面に降り立ちました。
  • 月面着陸地点:嵐の大洋
  • 月面活動を行った宇宙飛行士:ピート・コンラッド、アラン・ビーン
  • 月面滞在時間:約31時間
◆参考動画:【アポロ12号の映像】

アポロ13号(1970年4月)

のちに「栄光ある失敗」と言われることになるアポロ13号の奇跡のミッション。
月へ向かう途中で機械船の酸素タンクが爆発し深刻なダメージを受け月への着陸を断念。
一時は帰還は絶望的と思われましたが、地上スタッフと搭乗の宇宙飛行士達の懸命な努力によって無事帰還。世界中で感動を呼び、大きなニュースになって映画化もされました。
◆参考動画:【アポロ13号の奇跡(The Real Story)】
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アポロ14号(1971年2月)

アポロ13号の事故の影響により、約1年近くミッション中断後の14号月面着陸。
14号は13号で行う予定だったミッションを実施しています。
  • 月面着陸地点:フラ・マウロ丘陵
  • 月面活動を行った宇宙飛行士:アラン・シェパード、エドガー・ミッチェル
  • 月面滞在時間:約33時間
◆参考動画:【アポロ14号の映像】

アポロ15号(1971年8月)

アポロ15号では初めて月面車を持ち込み、月面を約27キロにも及ぶ広い範囲で調査をしています。
また、滞在時間も大幅に延び、3日以上月面に留まっていました。
  • 月面着陸地点:ハドレー谷
  • 月面活動を行った宇宙飛行士:デイヴィッド・スコット、ジェームズ・アーウィン
  • 月面滞在時間:約67時間
◆参考動画:【アポロ15号の映像】

アポロ16号(1972年4月)

アポロ16号ではデカルト高地という月の高地に初めて着陸しています。
また月面滞在時間も延ばし、約3日間を月で過ごしています。
  • 月面着陸地点:デカルト高地
  • 月面活動を行った宇宙飛行士:ジョン・ヤング、チャールズ・デューク
  • 月面滞在時間:約71時間
◆参考動画:【アポロ16号の映像】

アポロ17号(1972年12月)

アポロ計画最後のミッション。
このミッションで17号は月面滞在時間の最長記録、月面活動も最長で月のサンプルも大量に持ち帰るという記録を打ち立てています。
  • 月面着陸地点:タウルス・リットロー渓谷
  • 月面活動を行った宇宙飛行士:ユージン・サーナン、ハリソン・シュミット
  • 月面滞在時間:約72時間
◆参考動画:【アポロ17号の映像】

以上、2015年現在においてこのアポロ計画以降人類が月面に降り立った実績はなく、未だに偉業として記憶に残っています。
アポロ計画以降、有人で月に行っていない大きな要因はやはり費用にあるとされ、アポロ計画における総額の費用は227億1,800万ドルかかっており現在の貨幣価値に換算すると約1,400億ドル。日本円にすると約14兆円ということになります。
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