アニメ、そして実写映画化までされた人気コミック「テラフォーマーズ」
このストーリーは人類の遥か未来世界を描いており、火星地球化計画がテーマとなっています。
火星地球化計画、つまりテラフォーミングの発想はSFの世界だけではなく、今後やって来るかも知れない深刻な人類の人口増加問題や、環境破壊による地球外への移住計画の1つとして実際に構想が練られている計画です。
もし、テラフォーマーズのような世界が実現可能というのであれば、それはどのようになるのか?そして実現するのはいつになるのか?などについて調べてみました。

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テラフォーマーズの世界とは?

2016年に公開された日本のSF映画「テラフォーマーズ」。
このストーリーは、西暦2620年という遥か未来?を描いた物語です。

映画の設定は、人類の人口が激増してしまった21世紀。
人口飽和状態になってしまった地球をなんとかしようとして計画された、テラフォーミング(地球環境改造)を行っている火星が舞台です。
しかし、火星は大気も薄く乾いた極寒の星。とても人類が移住して住めるような環境でないため、火星の地表を黒く染め温室効果を高めて、過酷な環境でも生きられる苔とゴキブリを特殊改良して火星の大地に放って、人類が生活出来る環境に改造しようと、約500年もの長い年月をかけて試みるも・・・といったのがこの物語の設定概要です。

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テラフォーミングの発想の原点

テラフォーミングという惑星地球化計画とは、実際に1960年代に出された発想。最初のこのテラフォーミングを考えたのはアメリカの惑星物理学者カール・セーガン博士です。
彼は、地球のような岩石型惑星の進化の過程を考えると、テラフォーミングは理論的に可能だと提唱しています。
ちなみに、このときセーガン博士が提唱したのは金星の地球化計画で火星ではありませんでした。

テラフォーミングが可能なのは金星ではなく火星?

セーガン博士が、テラフォーミングという発想を考え出したとき、まだ惑星探査は未知の領域でした。
その後、セーガン博士の言う金星の探査を行ったところ、とてもテラフォーミングなど出来る環境ではないことが判明し、その目は金星から火星へと移行します。
火星へいくつもの探査機を送り調査した結果、環境こそ過酷ではありますが、太陽系の惑星の中で最も地球に近い環境を持っているのが火星だと判明。
これにより、本当に将来火星はテラフォーミング出来るのではないか?という研究が始まるようになります。

火星テラフォーミング構想1~温室効果で火星を温める方法

テラフォーマーズでは、火星の地表を黒く染め、温室効果を高めて火星を温めるという発想ですが、実際の研究によると、北極と南極に確認されている氷を溶かし、大気中に大量の蒸気を発生させて温室効果を高め火星の地表を温めるというモノ。

「Image Credit:Wikipedia」
また、テラフォーマーズのような発想も実際に生まれていて、太陽光を吸収しやすい黒い炭素物質を地表に大量に撒き散らして温めるという方法もあります。
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火星テラフォーミング構想2~火星に最初に住みつく生物は?

テラフォーマーズでは、過酷な環境でも生きられる特殊改良された苔とゴキブリが、火星の最初の住民になります。
実際の発想もこれと似ていて、というよりテラフォーマーズが発想を参考にしたのでしょうが、
環境の厳しい、地球の南極地方でもたくましく生きている藻をさらに品種改良して火星に放ち、植物の光合成を利用して人間が呼吸の出来る酸素を創り出すという考え方。

「Image Credit:Wikipedia」
また、藻だけでは食物連鎖が成立しないので、動物性の微生物も火星に繁殖させる発想もあります。

火星をテラフォーミング出来る可能性と時期は?

火星地球化計画・テラフォーミングは科学者たちが真剣に考えている構想だそうです。
そのため、実現の可能性はあるものと考えても良いかも知れませんが、実現するためには大きな問題点もあります。
まずは、地球と火星の重力の問題。
これは根本的な問題で、火星は地球の3分の1しか重力がありません。
人類をはじめ、地球の1Gの重力下で生まれ進化して来た生物を、まったく重力環境の違う火星に住まわせるとどうなるのか?人間の場合、そんな低重力の下で長く住み続けると少なからず身体に悪い影響が出てしまいます。
ですが、いくら火星を地球に近づけようとしても、重力だけはどうすることも出来ません。
また、せっかく大気の濃度を増やしても、火星の低重力下ではその大気を長く留めておくことが出来ず、いづれは大気が宇宙に流出してしまう恐れもあります。
そしてもうひとつ大きな問題として、火星のテラフォーミングが完了するまで膨大な時間がかかるという事。
テラフォーマーズでは500年という長い年月がかかっていますが、実際のところはどうなのでしょうか?
ある試算によると、火星を本格的にテラフォーミングするとなると、千年単位の気の遠くなるような時間が必要だそうです。
人類が地球を離れ移住を考えないといけないときに、そんな長い期間を待てるでしょうか?
さらに、テラフォーマーズのように火星の地球化に失敗したらどうなるのか?
本当にテラフォーミングをしなければならないときは、地球は危機的状態にあるかも知れません。
やはり、火星地球化計画とは夢物語で終わってしまうのでしょうか。
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