多分ほとんどの人が感じていないと思いますが、私たちが日常生活で浴びている自然な太陽の光って、実はとてつもない年月を経て私たちのもとに届いているんです。
それは、人類の歴史より遥か以前に造られた太陽エネルギーであり、私たちは今その光を浴びているのです。
このような事を言われても「それってどういう事なの?」と疑問に思う人は当然いるでしょう!?
今回はそんな太陽エネルギーの神秘について解説してみたいと思います。

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まず、今回の疑問を解説する前に太陽とはどういう天体なのか?について少し解説してみたいと思います。

太陽エネルギーはどうやって作られるの?

私たちの頭上で光輝く太陽は、天の川銀河の一部であり銀河に存在する2,000億個以上の星の一つに過ぎません。
ただ、私たち地球に住む生物にとってはかけがえのない存在である事は事実であり、太陽無しには私たちは一秒たりとも生きて行く事など出来ず、私たちに命を与えてくれているのが暖かく降り注ぐ太陽光~太陽エネルギーです。

「Image Credit:Wikipedia」
そんな太陽エネルギーはどのようにして生まれているのでしょうか?

その原理は太陽自体が重力によってカタチ造られているからにあり、太陽の半径は地球の約109倍にもなる約70万キロで、質量においては地球の約33万倍にもなるガスで構成されている巨大な天体です。
そんな巨大なガスの塊である天体が造り出す重力は凄まじく、太陽の中心部(核)での温度は約1,600万度、2,500億気圧にも達していると考えられており、この想像を絶する圧力で熱核融合反応が起きています。
この時発生する熱核融合反応は、4つの水素原子核が融合し1つのヘリウム原子核を生成。水素原子核4つとヘリウム原子核1つの質量はヘリウムの方が少し軽いため、余った質量がエネルギーに変換されこの時生まれるエネルギーが光と熱になり私たちの元へ届いているのです。

「Image Credit:JAXA宇宙情報センター」
これがおおまかな太陽エネルギーの原理であり、一見「燃えている」かのように見える太陽ですが、正しくは「燃焼」ではなく熱核融合による「放射」によるエネルギーなのです。

巨大かつ絶妙な重力バランスで球体を保っている太陽

太陽系は太陽を中心に8つの惑星と準惑星、衛星、小惑星、その他無数の小天体等で成り立っていますが、これら惑星や他の天体を全て合わせても太陽の質量にはとても及ばす、太陽質量のわずか0.15%ほどしかありません。つまり、太陽系はほとんど太陽が占めていると言っても過言ではないのです。

太陽という巨大な天体に質量が集中している事によって起きる凄まじい重力作用は、太陽内部で熱核融合反応が発生し一気に膨張しようとするチカラが働きますが、ご承知のとおり太陽は球体の状態を保ち爆発はしていません。
それは何故なのか?

原因は、太陽自体が持つ巨大な質量による内側に働く収縮(重力)で核融合による膨張を抑え込んでいるからです。

「Image Credit:YouTubeより」
太陽が球体を保っていられるのは、膨張するチカラと収縮するチカラが釣り合う事で絶妙なバランスが取れ、恒星(主系列星)として維持出来ているのです。
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地球に届くまで気の遠くなる年月がかかる太陽エネルギー

さて、前置きが長くなりましたがここから今回の本題になります。

太陽中心部で発生する熱核融合反応によって、光と熱のエネルギーが生成されている事を解説しましたが、その生成されたエネルギーがスグに地球に届くのか?というと実はそうではないのです。

太陽の熱が地球に届くのは別として、光は秒速30万キロという超高速で移動し、太陽から地球までの距離は約1億5,000万キロあり、この距離を光はわずか8分程で移動するのですが、内部でエネルギーとして生成された光(光子)が太陽の表面まで到達するまで約17万年という気の遠くなるような年月がかかっているのです。

それは何故なのか?
理由をわかりやすく解説した動画がありましたので、まずは参考までにご覧ください。

「Copyright ©:TED-Ed All rights reserved.」
動画をご覧いただければおわかりになるか?と思いますが、何故、太陽内部で生まれたエネルギーが地球に届くまで17万年もかかるのでしょうか?
その大きな原因となっているのが、太陽内部で起きている凄まじい重力と密度にあります。
特に、中心部(核)で造られたエネルギーが特に密度が高い放射層を通過するのにかなりの時間を要するようです。

「Image Credit:Wikipedia」
放射層は太陽の中心核を約40万キロの厚さで覆っており、中心核で造られた高エナルギーの光子は、この放射層の中で弾き飛ばされており、また放射層ではエネルギーの対流が起こっていないため、長い時間をかけて少しずつ外層部へ運ばれており、この放射層を光子エネルギーが通過するのに17万年もの時間を費やすと考えられているのです。
また、核で生まれた時の光子はとてつもないエネルギーを持っていますが、放射層で弾かれる事で少しずつエネルギーの力は弱くなり、表層部の光球に到達する頃にはかなり弱くなってしまい、そして17万年もかかって太陽表面まで到達したエネルギーはたった8分で地球に届くのです。

今浴びている太陽光は人類誕生時に生まれた光

今、私たちが浴びている太陽の光は17万年前に造られたモノだと考えられているのですが、という事は、地球史でいうところの17万年前とはどんな時代なのでしょうか?
調べたところ、その頃に私たち現生人類のをホモ・サピエンスが出現したとあります。
また、この頃からアフリカで誕生した現生人類の大移動が始まり、世界中に人類が広がっていったとあります。

「Image Credit:YouTubeより」
つまり、私たちが今受けている太陽からの恩恵は、人類誕生の時に生まれたモノ。
そう考えると何とも不思議で、感慨深い感じにもなったりします。
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