今、話題になっている天文現象と言えば、おそらく21年ぶりとなる太陽活動の活発化ではないでしょうか?
2024年から2025年にかけて太陽の活動が活発となり、それにより大規模な太陽嵐が観測され世界各地で色鮮やかなオーロラを観る事が出来、そのオーロラは普段見る事が出来ない低緯度地域でも観測出来るほど。
この太陽の動きに、一部のオカルトマニアの間では、地球終焉が近い?ともウワサになっているようですが、そんな事はありません。
ともかく何故今、太陽の活動が活発になっているのでしょうか?

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21年ぶりに起こっている大規模太陽活動とは?

2024年の春からメディアでも頻繁に取り上げられ話題となっている21年ぶりに訪れた太陽活動の活発化現象。それに伴い世界各地で見事なほど鮮やかなオーロラも観測されています。
◆ 参考動画:オーストラリアで観測されたオーロラ

「Copyright ©:Guardian Australia All rights reserved.」
オーロラが発生する原理は、太陽からやって来る太陽風と呼ばれるプラズマ粒子が、地球の大気と衝突する事で発光する現象のです。

「Image Credit:auroranavi.com
通常、オーロラが観測出来るのは両極に近い高緯度地域で、北欧やアラスカ、カナダ北部等、有名なオーロラ観測スポットがあるのですが、太陽活動が活発化しつつある今は、オーロラを観測出来る地域も南下し、北海道でも観測出来たとのニュースも報じられています。
オーロラが各地で観測出来ている要因は、まさに今、通常の太陽風よりも強い、最強クラスの”太陽嵐(磁気嵐)”が吹き荒れている事で、前回観測されたハロウィーン・スーパーストーム(2003年)以来21ぶりとなるかなり大規模なモノで、それでもまだ太陽活動の極大期ではなく、2025年頃にはもっと巨大な太陽嵐が地球に襲って来る可能性もあるのです。
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太陽活動が極大期を迎えた時に起きる可能性のある危機とは

21年前に太陽活動が極大期を迎えて起こったハロウィーン・スーパーストームでは、大規模な磁気嵐が地球を襲い、北米全域の電力網が打撃を受け、北欧スウェーデンでは大規模停電が発生するなどインフラ設備を中心に大きな影響を受けています。

「Image Credit:NASA」
21年前も世界各地でのインフラ設備が被害を受けましたが、現在はそれ以上にインフラが発達している事もあり、もし巨大な太陽嵐が襲って来た場合はオーロラどころでは済まない危険が起こる可能性があるかも知れません。
実際、太陽活動が極大期を迎える前にも最強クラスの太陽嵐は発生しており、このときXクラスの太陽フレアが発生しています。

「Copyright ©:SolarHam All rights reserved.」
この大規模な太陽フレア発生時にコロナ質量放出(CME)も放出され、これが地球の地磁気に衝突すると、プラズマ粒子が地球の磁力線に沿って加速し大気中の酸素や窒素等と相互作用を起こし発光。いわゆるオーロラろなるワケなのですが、これが高エネルギーの粒子となると地球のインフラ設備や電子機器、さらには人工衛星等にも障害を引き起こす危険性が高く、物理的被害のみならず地球全体の経済にも深刻な影響を与える事も考えられるのです。

太陽活動の変化が11年周期の理由

太陽の活動は、11年周期で活発になったり減退したりを繰り返すサイクルで起きている現象で、今回の21年ぶりの活動活発化も11年前に減退期を経ての現在に至る現象です。
太陽が活発に活動しているかどうかを知るには、太陽表面に出現する黒点の数を見ると良くわかります。

「Image Credit:太陽黒点(Wikipediaより)」
太陽の黒点とは、太陽の活動が活発になると太陽内部を走る磁場が表面に飛び出してしまい、その磁場の出口の温度が低くなる事で黒いシミのように見えています。温度は低いとは言っても太陽表面温度が約6,000度あるのに対し、黒点部分は4,000度程でとても低い温度とは言えません。ちなみに太陽表面に浮き出る黒点はかなり小さく見えますが、実際は地球の数倍もある巨大なモノです。

そんな黒点が多く現れる時は活動期で、黒点の数が極端に減少する時が非活動期であり、この周期は11年毎で繰り返されているのですが、何故この周期が繰り返されているのか?については、残念ながら現時点では解明されていません。ですが、このサイクルも完全な11年間隔ではなく少しズレがあり、長い時で約14年、短い時で約9年とバラツキはあるようです。
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太陽活動の極大期はまだこれから

2024年、既に最強クラスの太陽フレアが発生し太陽嵐(磁気嵐)が到来していると伝えられていますが、それでも今回の太陽活動における極大期はまだ来ていないようです。
宇宙天気予報センター(SWPC)によると、太陽活動がピークに達するのは2024年後半から2025年にかけてと推測されており、また2027年頃まではオーロラが見える頻度が高くなる可能性もあると予想されますが、黒点が最も増える極大期に入った場合、更に大規模な太陽嵐が地球にやって来る可能性もあると言います。

「Image Credit:宇宙天気予報センター(SWPC)」
ただ、SWPCの予測によると今回の太陽活動の極大期は、前回(2000年代初め)の極大期程には達しないとしていますが、それでも前回よりは通信等のインフラは発達していますので、もしかしたらインターネット環境やGPSに影響が出てしまうかも知れません。
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