太陽観測衛星の最接近ミッション成功の確率と探査の難易度
巨大な灼熱の天体・太陽を直接観測する探査衛星の投入は難しく、これまでなかなか進んでいませんでした。
それ故、未だ謎多き天体であるのも太陽です。
しかしNASAは、そんな太陽に最接近する探査衛星を開発し、観測するプロジェクトを計画。
これまでにない距離まで探査機を太陽に近づけ観測を行うとの事です。
このNASAが計画する探査で、太陽の何が判るのでしょうか?
今回は、太陽最接近探査の目的と、それによってもたらされる効果について調べてみたいと思います。
地球に最も近い恒星。それは太陽です。
太陽は、いつでも当たり前に天空で輝き、身近な存在でもあります。
暖かい熱と光で常に地上を照らし、生命の育みを与えてくれている太陽は我々地球に住む生物にとっては無くてはならない存在です。
しかし、我々は身近である太陽の事についてあまり判っていないのも事実。
そんな太陽の謎を解明すべく、画期的な探査が行われようとして、今話題になっています。
太陽観測の壁
表面温度約6,000度。大気層のコロナに至っては約200万度にもなる灼熱の太陽。
太陽の直径は約140万キロで、地球の約109倍、
重さは地球の約33万倍。
体積に至っては130万倍ももあるとてつもなく巨大な星。
地球からの距離にして約1億5,000キロもあるのですが、あまりにも巨大なため、それほど遠くにあるのが感じないほど大きく見え、灼熱の熱を感じる太陽。
さらに太陽からは、強烈で有害な放射線も容赦なく飛んできます。
そのため、人工物である探査機を飛ばすことも難しく、それどころか簡単に望遠鏡も向けることも出来ないのが太陽の存在です。
そんな太陽に向かって人類は、何度も観測に挑んで来ました。
太陽探査に投入された探査機は、太陽表面、太陽フレアの観測など、様々なミッションに挑戦し成功を収めて来ましたが、それでも、太陽に最接近して観測する探査機はこれまで投入されて来ませんでした。
NASAが打ち上げる太陽最接近探査ミッション
これまで人類の太陽探査で、最も太陽表面に接近させた探査機は、1976年の「ヘリオス2号」の4,338万キロ。この距離は、太陽系の惑星で最も太陽に近い距離を公転する水星よりも約1,000万キロも内側に投入されましたが、それでも太陽まではだいぶ遠い距離です。
そして今回NASAが投入する太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」は、太陽表面をかすめるほど接近するとされていて、その距離は太陽表面から約600万キロの地点まで接近します。

「画像参照:パーカー・ソーラー・プローブ太陽最接近想像図(Wikipediaより)」
2018年7月に打ち上げられる「パーカー・ソーラー・プローブ」は、太陽の巨大な重力に取り込まれないよう時速約72万キロという猛スピードで太陽を周回する軌道に投入されます。
太陽最接近探査ミッションの難易度
最短で約600万キロまで太陽に接近する「パーカー・ソーラー・プローブ」。実は、火星や木星など太陽から離れている外惑星へ向けて探査機を飛ばすより、太陽により近い内惑星へ探査機を飛ばす方が数段難しい技術が必要とされています。
理由は太陽の巨大な重力。
内惑星へ向け地球圏を離脱した探査機は、太陽の強い重力に引かれて坂道を転がるように加速して行きます。
単純に加速してしまうなら、ブレーキをかければ良いのですが、探査機に十分なブレーキをかけられるほど燃料に余裕はありません。
そのため、ブレーキの代わりとなるのが他の天体の重力を使った減速フライバイ。
「パーカー・ソーラー・プローブ」は、数回に渡り金星に接近。
その接近により金星の重力で減速と軌道修正を行って行きます。

「画像参照:NASA/SDO. GRAPHIC: Daisy Chung, NGM STAFF SOURCE: Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory」
この減速と軌道投入にかかる日数が約7年。
そしてようやく太陽周回軌道に乗った「パーカー・ソーラー・プローブ」は、太陽を24回周回し、太陽の磁場や太陽風などを間近で観測し、地球に詳細なデータを送り、さらにはリアルな太陽の画像も撮影に挑戦するとの事です。
なお、太陽に最接近した「パーカー・ソーラー・プローブ」が受ける温度は、最高で地球の溶岩よりも高い約1,400度という超高温。
観測機器は特殊な耐熱シールドで保護されていて、太陽光パネルも最接近時は折り畳み、安全な設計をされている言いますが、果たしてその温度に耐えられるのか?成功の確率は高いのか?実際に運用されてみないことにはわからないかも知れません。
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