史上最遠の恒星エアレンデルがファーストスターの可能性は?

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既にメディアでも取り上げられていて、情報をお伝えするのがチョット遅くはなりましたが、やはりこのニュースはお伝えしないと行けないでしょう。

それはNASAのハッブル宇宙望遠鏡がまたもや快挙を成し遂げた、史上最遠の恒星発見のニュース。

その星は地球から何と!129億光年も離れているといいます。

見つかったのは、とんでもなく遠い桁違い場所にある恒星です。

今回はこの史上最遠の恒星について、少し掘り下げてみたいと思います。

これまでの史上最遠天体は134億光年彼方から届いた光

史上最遠の恒星を解説する前に、これまで最遠の天体として認定されていた天体を簡単にご紹介しますと、それは134億光年彼方から地球に届いた光の中から見つかった天体GN-z11になります。


「Image Credit:ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したGN-z11(NASA, ESA, and P. Oesch (Yale University)より)」

現在の考えでは宇宙誕生が約138億年前とされていますので、天体GN-z11は宇宙誕生からわずか4億年後には存在していた事になります。

この天体GN-z11の推定年齢は7,000万年と若く、宇宙誕生後、急速に成長したと見られ、地球にGN-z11の光が届いた134億年前には既に太陽質量の10億倍までの規模になっていました。

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ハッブル宇宙望遠鏡が見つけた史上最遠の「エアレンデル」とは?

そして今回、メディアでも大きく取り上げられたのが、くじら座方向の129億光年遠方で見つかった天体「エアレンデル」です。


「Image Credit:矢印の赤い点がエアレンデル(NASA, ESA, B. Welch (JHU), D. Coe (STScI), A. Pagan (STScI) )より)」

129億光年が史上最遠?
134億光年よりも5億光年近いんじゃ?と思われるでしょう。

でも129億光年という距離がスゴいのは、この天体「エアレンデル」が単一の恒星だと判明したからなんです。

前項でご紹介した134億光年遠方の天体GN-z11は、太陽の10億倍もの質量を持つ巨大な銀河です。

一方、「エアレンデル」は、太陽のような1つの星(恒星)で質量は太陽の50倍程と推定されています。

「Copyright ©:YouTube NASA Goddard All rights reserved.」

ちなみに「エアレンデル」という名前は、古英語で「明けの明星」を意味するそうです。

史上最遠の星「エアレンデル」は何故見つかった?

ところで何故、太陽質量の50倍ある巨大な星とは言え、単一の恒星「エアレンデル」が129億年もの彼方で見つかったのでしょう。

それは重力レンズ効果によるもので、遠方にある銀河等、巨大な天体と地球の間に他の天体が割り込む事によって、天体持つ重力で空間が歪められ、時として遠方にある天体の像が拡大されて見える事があります。

そんな重力レンズ効果によって、本来は見えるハズもない星が拡大された事でエアレンデルは発見されたそうです。

そこでこの重力レンズ効果によりエアレンデルが発見に至った理由について、下の画像↓で少し解説します。


「Image Credit:NASA, ESA, Brian Welch (JHU), Dan Coe (STScI)」

今回見つかったエアレンデルは単一の恒星ですが、私たちの太陽のように銀河の中に属している星です。

それが画像の上にある銀河団「WHL0137-08」で、この銀河団の重力によってレンズ効果が発生しており、それによって像が引き延ばされているのが”mirrored star cluster”と書かれてある背後にある天体です。

そして、その中でもより明るく見える(点線部分)にエアレンデル(Earendel)があった事で、エアレンデルの本来の光度よりも数千倍も明るく輝き、129億年の時空を超えて地球に光が届いたのです。

「エアレンデル」はファーストスターなのか?

単一の恒星であると認定された「エアレンデル」は129億光年もの彼方から光が届きました。

つまり、宇宙誕生からわずか9億年しか経っていない時代に放たれた光です。

となると、俄然期待度が高まるのがエアレンデルが宇宙創成期に生まれた”ファーストスター(初代の恒星)”ではないのか?との見解です。

エアレンデルがファーストスターなのか?それともそれに近い恒星なのか?について。

それを確かめる方法は、その星に含まれる元素を調べる事です。

エアレンデルが宇宙創成期に誕生した時代の恒星であれば、星に含まれる重い元素の量は少ないと想定されます。

何故なら、宇宙誕生当初は最も軽い元素である水素やヘリウムがほとんどだったと考えられています。

それが星の誕生による核融合で、少しずつ重い元素が生成されていって今の宇宙が創られて行ったと考えられています。


「Image Credit:ネオマグ株式会社」

これにより、もしエアレンデルが水素とヘリウムで出来ている星であったのならば、ファーストスターでなかったとしてもファーストスターの手がかりが掴める可能性が高いのです。


「Image Credit:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(NASAより)」

史上最遠の恒星エアレンデルはハッブル宇宙望遠鏡によって発見されましたが、詳しい調査は後継機であるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に引き継がれます。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測では、エアレンデルの年齢や温度・質量・サイズといった詳細データを得たりすることが可能とされており、この宇宙望遠鏡のミッションにファーストスター発見も含まれていおますので、もしかしたらエアレンデルより遠い場所にある、よりファーストスターに近い恒星も発見できるかも知れません。