私たちの住む広大過ぎる銀河系(天の川銀河)には、地球に似た惑星はどれくらい存在するのでしょうか?
そして私たち以外に生命は居るのでしょうか?
それは大きな謎でもあり、研究者たちもこの謎を解明すべく日々取り組んでいます。

そんな中、ある可能性を示唆する研究発表があり注目を浴びています。
それは銀河系には、地球に似た惑星が思いのほか多く存在するのでは?という内容なのです。
つまり同時に、私たち地球人は広い宇宙で孤独な存在ではないのか?という事も示唆しているのです。

Sponsored Link

銀河系はどれくらい広いのか?

私たちの住む地球は太陽系という1つの星系の中にある事は誰もが知る事ですが、そんな太陽系には地球を含む8つの惑星があり、その外側には氷や岩石から成る無数の小天体地帯のエッジワース・カイパーベルト。そして太陽系最遠部には彗星の故郷とも言われているオールトの雲まで実に約15兆キロにも及ぶと推定されています。

「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」
この距離は秒速30キロで進む光の速さでも1年以上かかるワケで、太陽系がいかに広大か?私たち人間の尺度では到底想像も出来ない広さではないですが、そんな広大な太陽系も銀河系(天の川銀河)のほんの一部に過ぎません。
銀河系は推定で2,000億個以上もの恒星と星間ガスで形成されている巨大な天体(島宇宙)で、銀河として私たちに馴染みのある渦巻き状のディスクの大きさは約10万光年もあり、太陽系はそのディスクの中心から約2万6,000光年離れた位置に存在しています。

「Image Credit:国立天文台」
さらに銀河系は直径10万光年のディスク部分だけではなく、その外側には遥かに広大なハローという領域が広がっており、そこにはいくつもの矮小銀河や球状星団が点在し、ハロー領域まで含めた真の銀河の広さは直径104万光年もある事が最近の研究でわかってきました。

「Image Credit:天の川銀河の構造(すばる望遠鏡H.P.より)」
つまり、銀河の中で私たちの太陽は何千億個もある星の1個に過ぎないワケです。

銀河の中には数え切れないほどの惑星も存在する

直径10万光年にも及ぶ銀河系の中に存在しているとされる恒星たちは、全てではないにしろこれら無数の恒星には太陽のように複数の惑星を持っている事が想像出来、同時にその数はおそらく、恒星の数2,000億個とは比較にならないほど多い事も推測できるかと思います。

そんな数え切れないほど存在するであろう銀河系の惑星たちの中で、私たちの地球のような惑星はいったいいくつあるのでしょうか?
これについて最近の研究で「銀河の中での地球型惑星はありふれている。」との示唆が増えつつあるとの事で、それによると、天の川銀河の中だけで地球型惑星は最大で100億個は存在するのでは?と言うのです。
また、必ずしも惑星に限定するのではなく、衛星にもそれが当てはまる事も考えられ、惑星+衛星で考えると100億個は超えてしまう可能性もあります。
Sponsored Link

100億個ある地球型惑星のうち生命がいる星はどれくらい?

銀河系に100億個はあるとされる地球型惑星のうち、これまで人類が発見できた生命存在の可能性がある系外惑星はわずか10数個のみで、その10数個全ては、太陽よりもかなり小型で温度の低い赤色矮星という恒星を公転する惑星たちです。
では、これは何を意味するのでしょうか?

赤色矮星の惑星には地球とは異なる生命がいる?

私たち人類を含む地球上の生物たちは太陽から降り注ぐ光の波長である、いわゆる可視光のもと進化をし繁栄をして来ています。
一方、太陽より温度の低い赤色矮星から降り注ぐ光は”赤色”の名のとおり、赤外線が多く含まれた赤みを帯びた光のため地球の生命とは異なる進化をしている事が想像されます。
それは動物に限らず植物も赤外線をエネルギー源にする生命体で、また降り注ぐ日光も暗いため、地球の常識とは当てはまらない生命がいる可能性が高いモノと思われます。

「Image Credit:赤色矮星の惑星でのトワイラトゾーンの想像図(Wikipediaより)」

赤色矮星には生命がいない可能性も?

太陽に比べると小さく温度が低い赤色矮星では、生命がいる可能性が指摘される地球型惑星は、主星(太陽)にかなり近くなくてはならず、これにより惑星は太陽の強い潮汐力の影響を受けてしまい、地球の衛星・月が常に同じ面を地球に向けているように、惑星もまた常に同じ面を太陽に向けてしまっている可能性が非常に高いと思われます。
このような状態になった場合、太陽に向けている面は熱せられ灼熱の世界で、反対側は光と熱が届かず極寒の世界になってしまい、そもそもいくら地球型惑星であったとしても生命が存在しにくい過酷な環境になってしまうかも知れません。
また、惑星が太陽に近い事による弊害は他にもあり、太陽フレア等、恒星の活発な活動に惑星が巻き込まれ生命の進化を阻害する危険性も含まれます。

「Image Credit:NASA, ESA and D. Player」

新たに発見された地球と同サイズの惑星はどうなのか?

2020年初頭。NASAが発表した地球型惑星に注目が集まりました。
それは地球からカジキ座方向に約100光年の距離にある「TOI700」と呼ばれる恒星を周る「TOI700d」と名付けられた惑星。
この惑星は地球とほぼ同じ大きさを持つ岩石惑星で、公転軌道が生命存在可能領域「ハビタブルゾーン」内に位置する事が判明し、つまりNASAはこの惑星を、「生命が存在できるとみられる系外惑星を初めて発見した。」と発表したのです。

「Copyright ©:NASA Goddard All rights reserved.」
ただこの「TOI700d」の太陽である「TOI700」という恒星もまた赤色矮星です。
仮にこの惑星に生命が居たとしても、地球の生命とは異なる生物が居る可能性が大きく、さらには惑星の同じ面が常に太陽の方向を向いている事も判明しているため、生命にとって過酷な環境である事は間違いなさそうです。
いずれにしても地球から100光年の距離にある地球型惑星の発見はかなり貴重で、今後の詳しい調査に期待が持てる事でしょう。

太陽に似た恒星に地球型惑星は見つからないのか?

前述もしたように、これまで見つかった地球型惑星は全て赤色矮星に属する天体です。
では何故、赤色矮星ばかりに見つかって太陽のような恒星には見つかっていないのでしょうか?
その最大の理由は、太陽のようなG型、もしくはK型の主系列星は地球に近い距離には少なく、また、ハビタブルゾーンが恒星から遠く離れているため、現在の観測技術では発見する事が難しい事にあります。
一方、赤色矮星は小型で暗い恒星ではありますが、銀河系のおよそ7割は赤色矮星が占めているため、数も非常に多く地球から観測しやすい位置にも多くの赤色矮星が存在しており、ハビタブルゾーンも恒星に近い事から、今の技術でも比較的観測がしやすい。という事があります。
また、今の観測で優先すべきなのは「地球外生命体は存在する。」という事を証明する事で、観測目標が地球の環境とかけ離れていようと、そこに生命が居るか?どうかを探る事にあります。

日々進歩している観測技術。
2021年には、最新鋭で超高性能の宇宙望遠鏡が打ち上げられる予定です。

「Image Credit:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(NASAより)」
このような最新技術の投入で、もしかしたら近い将来、発見された地球型惑星に生命がいる事を証明できる日が来るかも知れませんし、さらには、太陽に似た恒星に観測の目を向け、本当の地球型惑星の発見を出来る事も夢ではないかも知れません。
Sponsored Link