アメリカ航空宇宙局(NASA)は、2030年代に予定している火星有人探査に向け着々と準備を進めています。
そんな火星探査で有名なのが2012年から火星の地表で探査を続けている探査ローバー「キュリオシティ」ですが、長期間の探査で、そろそろ活動限界を迎え後継機が必要な状況になって来ているようです。
キュリオシティの後継機パーサヴィアランスは、2021年2月に無事火星の地表に降り立ち探査を行っています。

Sponsored Link

キュリオシティの探査目的と成果

火星探査ローバー「キュリオシティ」は、NASAが火星探査ミッションに投入したマーズ・サイエンス・ラボラトリー(MSL)に装備されている探査車の愛称です。

「Image Credit:実際の火星にいるキュリオシティ(Wikipediaより)」
2012年8月6日に、火星の赤道近くにあるエリシウム平原のゲール・クレーターに無事に着陸した「キュリオシティ」。
ゲール・クレーターは、過去に火星に生命が存在したとしたならば、その痕跡を発見できる可能性が高い場所としてキュリオシティが投入されました。
以降、ゲール・クレーターの中を動き周り、サンプル採集や写真撮影を行い、まだ見ぬ火星の姿を次々と地球に送ってくれました。

<

「Copyright ©:NASA Jet Propulsion Laboratory All rights reserved.」
ちなみに、キュリオシティが撮影した写真の中には少し奇妙な光景も写り込み、オカルト好きの人たちから「火星人がいる?!」などといったウワサも流れて来ましたが、NASAはそれらについて見間違いと完全否定しています。
●参考サイト:【火星に生命体を発見?】
現時点において、結局は火星に生命の痕跡を見つけることは出来ませんでしたが、キュリオシティが残した成果は絶大で、当初2016年までのミッションも2022現在においてまだ継続して探査を行っています。
Sponsored Link

キュリオシティの後継機とは?

キュリオシティの後継機となるのは、2020年打ち上げ予定の「Mars 2020」ミッションの一環のマーズ・ローバー(火星探査車)です。
マーズ・ローバーの名前は、忍耐強さ」「不屈の努力」の意味を持つパーサヴィアランスで、2021年2月に火星に着陸成功し、キュリオシティのミッションを引き継ぎながらも、独自のミッションで火星の生命痕跡探査を行っています。

「Image Credit:新型マーズ・ローバー・パーサヴィアランス(Wikipediaより)」
パーサヴィアランスは、キュリオシティの後継機として位置付けられていますので、当然ながら探査性能は大幅にアップし探査車としての活動範囲も大きく広がり、何より今回のマーズ・ローバーには火星で採取したサンプルを地球に持ち帰ることが出来るサンプル・リターンの機能が付いています。

「Image Credit:NASA/JPL-Caltech」
パーサヴィアランスのサンプルリターンが成功すれば、火星の土壌はもとより生命の痕跡も地球で詳細に分析することが出来、今後の有人火星探査にも大いに貢献できることが期待されます。

火星有人探査に向け、まだまだ続く無人ミッション

2021年から始まっているパーサヴィアランスの火星探査ですが、NASAはそれより前に、別の探査機を火星に向け打ち上げています。
探査機の名前は「インサイト」。この探査機は、もともと2016年に打ち上げられる予定でしたが、観測機器の不具合で打ち上げを延期し、2年後の2018年5月になり火星に向けて打ち上げられました。

「Image Credit:NASA/JPL-Caltech」
インサイトの探査目的は、火星地表の調査を行うだけでなく史上初めてとなる火星の地下の調査が主な目的になります。
このミッションで、火星の地下を5m掘削し地下に水が存在するか?を調べるほか、地熱測定や自転軸などを調べる予定になっています。

火星有人探査の実現はいつなのか?

NASAのパーサヴィアランスやインサイトでの無人探査の他、ロシアなど各国も火星探査に多額の予算を投じ探査を行っています。
これにより、少しずつ火星の実態調査が進み、今後行われる有人探査に向け準備を進めている状況です。

また今後において、火星に人を送り込んでも大丈夫と判断が出た場合、NASAは2030年代にも本格的な有人探査を実施する予定になっています。

「Image Credit:Wikipedia」
しかし、有人探査実現にはまだまだ課題も多く、技術的な問題や火星に行く過程で浴びるであろう放射線による宇宙飛行士の健康被害等を解決し、また、有人探査にかかる多額の費用をどうするのか?経済的問題も立ちふさがっています。
計画は前に進めど、実現に向けては前途多難な有人火星探査計画。果てして、予定どおり2030年代までに実現するのでしょうか?
Sponsored Link