数年前からその存在の可能性が示唆されている太陽系第9惑星・プラネットナイン。
プラネットナインは必ず存在するとして、多くの専門家たちが太陽系の深部に目を凝らし探し続けていますが、未だ発見には至っていません。

ですが、本当にプラネットナインが存在するとするならば、その未知の惑星とはいったいどういう天体なのでしょうか?
その存在を信じる研究者たちがシュミレーションを行い、ひとつの結果を導き出したようなのです。

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太陽系第9惑星・プラネットナインが存在するという根拠

2014年にその存在が提唱されて以来、多くの専門家たちが探し続けている太陽系第9惑星・プラネットナインですが、なかなか発見には至らず、一部では「プラネットナインなんて存在しない。」とまで言われ、存在そのものが危ぶまれています。

「Image Credit:Wikipedia」
確かに未だに見つかっていない以上、それは仮説の域から出ず賛否両論があるのも仕方ないのですが、プラネットナイン存在の可能性が提唱された理由については、その根拠がハッキリしています。

◆ プラネットナイン存在の可能性を示唆する解説動画

「Copyright ©:caltech All rights reserved.」
上動画↑↑について補足解説をすると。
2014年に、カーネギー研究所のスコット・シェパード氏とハワイのジェミニ天文台のチャドウィック・トルヒージョ氏が、海王星軌道の外側にあるエッジワース・カイパーベルト天体の観測をしていたところ、ある6つの小天体の軌道に類似点がある事を発見します。動画の解説でもあるように、6つの天体は全て同じ方向の軌道を持っており、この軌道は何か巨大な重力を持つ天体の影響ではないか?と考え、その巨大な重力を持つ天体こそがプラネットナインを存在を示す根拠となったとの事です。

プラネットナインは何故見つからない

プラネットナインの存在について賛否両論がある中、多くの専門家たちは「ほぼ間違いなく存在する。」と信じ探索を行っています。

6つの小天体の軌道に影響を与える程の重力を持つこの仮説の天体は、地球の10倍程の重力を持っている、スーパーアースもしくは天王星や海王星クラスの巨大氷惑星ではないか?と考えられています。

「Image Credit:Wikipedia」
プラネットナインがそれほどの巨大惑星なら何故見つからないのか?と、素人考えならすぐにでも見つかりそうに思えますが、そこには探索を困難にする大きな壁が立ちはだかっています。
それは、プラネットナインと思われる天体の場所が、太陽からあまりにも離れている事にあり、それに加え、天体が惑星であるため光や電波を発しない事が探索を困難にする大きな壁となっているのです。

ある専門家は、プラネットナイン探索がどれほど困難なのか?を具体的に例えるとしたら「30キロ先にあるBB弾(大きさ1cm程度)一個を望遠鏡で探すようなもの」と表現しています。つまり、普通に探していても到底見つかりっこないほどなのがプラネットナイン探索の難しさだと言えるでしょう。
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未知の惑星の特性で探索が一気に前進か?!

困難を極めるプラネットナイン探索。そんな中、近畿大学と国立天文台の研究者たちが行ったシミュレーションによると、海王星より外縁部にある天体には以下(外部記事参照)の特性があると言います。
世界初!太陽系外縁部に未発見の惑星がある可能性をシュミレーションで示唆
こうした特性を持つ太陽系外縁天体は質量が地球の1.5~3倍で、そして太陽から300億km-1200億kmの範囲(太陽からの距離に幅があるのは中心点がズレた楕円軌道のため、上図を参照)に位置し、30度の傾斜を持つ惑星があれば、これまでの解決できなかった太陽系外縁天体の特性を説明できることが判明したのです。

第8惑星「海王星」の外側にある天体は第9惑星の影響を受けている?!

その存在が提唱されている第9惑星プラネットナインの探索が困難を極める理由には、大きな楕円軌道を持っている事が予想され、太陽に最も近づく近日点で200~300AU(1AU:1億5,000万キロ)あり、太陽から最も遠ざかる遠日点に至っては600~1,200AUの彼方まで離れているのでは?と考えられています。

しかし、多くの太陽系外縁天体に軌道の影響を与えている事を考えれば、その軌道要素から計算をして探索する方角を絞り込める可能性は残されています。

「Image Credit:K. BATYGIN AND M. E. BROWN ASTRONOM. J. 151, 22 (2016)」
謎の重力質量によって軌道が歪められているいくつもの太陽系外縁天体から、探索方向を絞り込める可能性は大いにありますが、その公転周期は少なくとも1万年以上はあるものと思われます。

近畿大学が実施したシュミレーションのように、研究者たちは様々なシュミーレションを行いプラネットナイン発見への道筋を探っており、楽観的な考えでは「あと数年で見つかる」といった声も挙がる一方で、「あと千年はかかる」といった声も。と、個人的には「あと数年・・・」を指示したいところですが、最新の観測技術を持ってしてもなかなか発見には至らない事実がある以上、もしかしたら発見までに「あと千年」が現実的なのかも知れません。
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