人類史上初!太陽コロナの中に突入すると同時に、太陽に最も接近して観測している太陽探査機があります。
それは、NASAが開発し太陽に送り込んだ探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」ですが、この探査機についてはこのブログでも何度か紹介し注目して来ました。

そんなパーカー・ソーラー・プローブが灼熱の太陽に接近しコロナの中から撮影した映像が話題に!
それはもちろん誰も見た事がない映像なんですが、NASAは貴重な資料映像なのに無料で公開しています。
今回はこの映像を一緒に観ていただき、パーカー・ソーラー・プローブがどれだけスゴい探査機なのかについて解説して行きます。

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太陽探査機がコロナの中から見た貴重な史上初の画像

まずはこの画像からを見ていただきたい。

「Image Credit:NASA/Johns Hopkins APL/Naval Research Laboratory」
これはNASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が太陽コロナ(外部コロナ)の中に突入し、そこから連続撮影したものを編集処理した画像です。
このときパーカー・ソーラー・プローブはアルヴェーン臨界面と呼ばれる太陽コロナと太陽風の境界面を超えており、距離は太陽表面から約1,040万キロまで接近していたそうです。
ひと言で1,040万キロって言うと結構離れていると感じたりもしますが、直径約140万キロもある巨大な太陽にここまで接近する事は驚異的で、この接近によりパーカー・ソーラー・プローブは人類史上初めて太陽コロナに到達した探査機となったワケです。
そんなパーカー・ソーラー・プローブから見た景色は、もしかしたらこんな感じ↓↓だったかも知れません?!

「Image Credit:NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben」

コロナの中から見た景色は動画でも公開

上の画像からコロナの中の様子を解説してもよいのですが、NASAはこれを映像化し動画でも公開しています。
それがコレです。↓↓


「Copyright ©:JHU Applied Physics Laboratory All rights reserved.」
動画を観ると光の筋のようなモノが左から右へと流れており、これはまさしく太陽コロナそのものの構造でストリーマーと呼ばれる流線で、コロナの内部に突入したパーカー・ソーラー・プローブの広視野カメラ「WISPR」によって撮影されたそうです。
ちなみにストリーマー(Streamer)とは太陽から放出される外部コロナの事で、構造上では幅のある帯のようなモノでパーカー・ソーラー・プローブはその中から撮影した事になります。

「Image Credit:矢印がストリーマーで中心部の白線丸部が太陽本体(NASA/LASCOより)」

もっともっと太陽に接近するパーカー・ソーラー・プローブ

パーカー・ソーラー・プローブは太陽表面から約1,040万キロまで接近したと前述しましたが、実はもっと近くまで接近しておりその距離は2021年11月に記録した太陽表面から約850万キロ。しかも今後はもっと接近する予定で、最終的には太陽表面から約616万キロまで接近するそうです。
ですが、616万キロと言われても距離がいまいちピンと来ないかも知れません。
そこで具体的にどれくらいまで接近するのか?図で表現してしてみました。

「Image Credit:Wikipedia」
最接近時のパーカー・ソーラー・プローブと太陽の距離はざっと太陽4個分の距離に相当します。
ちなみに、太陽系で最も太陽に近い惑星の水星の平均距離が5,790万キロですから、比べる程もないくらい如何にこの距離が太陽に近いかわかるか?と思います。
このように太陽に異常とも言えるほど接近するパーカー・ソーラー・プローブですが、太陽から受けるエネルギーが凄まじく、熱放射はもちろんの事、探査機の計器を狂わせ兼ねない強烈な放射線に晒されると言います。
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太陽に超接近する探査機の構造とは?

異常とも言えるほど太陽に接近するパーカー・ソーラー・プローブですが、灼熱の太陽に向かっていくこの探査機の構造っていったいどうなっているのか?気になるところです。

「Image Credit:NASA/SDO. GRAPHIC: Daisy Chung, NGM STAFF SOURCE: Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory」
やはり何と言っても気になるのは、パーカー・ソーラー・プローブの最大の特徴でもある探査機前部に取り付けられた板状の耐熱シールドです。
耐熱シールドは、太陽の高熱から守るため炭素複合材で出来ており幅が約2.4メートル、厚さは約11センチとそれほどの厚みはありません。ですが、この耐熱シールドの開発には10年もの年月をかけて約1,400度の温度に耐えられるよう設計されており、常に耐熱シールドを太陽側に向ける事でシールドの裏に搭載された全て観測機器を熱から守っているワケです。
しかし、太陽コロナの温度は100万度以上にもなるとされているのに、たった1,400度の耐熱設計で耐えられるのか?という疑問は残ります。

「Image Credit:Wikipedia」
そんな疑問はありますが、そこは真空の宇宙空間ですので、空気のある地球上なら熱で空気全体が温まり熱が伝わりますが、真空では全てに熱が伝わるワケではないそうです。

「真空では全てに熱が伝わるワケではない。」とはどういう事なのでしょうか?
その秘密はパーカー・ソーラー・プローブの秒速160キロという超高速にあります。
何故こんな高速を出すのか?というと、太陽の強大な重力に引き込まれないためでもありますが、逆に太陽の重力を利用する事で加速しここまでの速度を出す事が可能になります。
そして速度が高温に耐える最大の秘密。高速で飛ぶ事でコロナ内での高温粒子密度が少なくなり、そのおかげで探査機はコロナの中に突入する事が出来るそうなんですが、それでも耐熱シールドの温度は約1,370度にまで達するとの事。つまり、シールドが耐えうる1,400度耐熱設計のギリギリってワケです。

「Image Credit:Youtube」
なお余談ですが、秒速160キロの速度ならロサンジェルスからニューヨークまで約4,000キロの距離を20秒程で移動できるとの事で、そんな耐熱シールドに守られた探査機本体外側の温度は300度まで達しますが、精密機器が内臓されている内部の温度は50度以下になるよう設計されているそうです。
今後もパーカー・ソーラー・プローブは太陽に接近したり離れたりを繰り返しながら観測を続け、2024年に計画されている最終接近では、太陽表面から616万キロほどの距離までを飛行し、更なる太陽の謎解明に挑む事になっています。
ただ、600万キロまで接近した時パーカー・ソーラー・プローブは無事でいられるのか?少し心配なところではありますが今後の探査が楽しみでもあります。

最後にパーカー・ソーラー・プローブの打ち上げからの軌跡をNASAが動画で公開していますので、参考までにご覧ください。
◆参考動画: 【NASA’s Parker Solar Probe Touches The Sun For The First Time】
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