NASA小惑星探査機「オシリス・レックス」のミッションの目的
日本では、2010年に小惑星から帰還し、サンプルを持ち帰った
小惑星探査機「はやぶさ」が有名になりましたが、
アメリカ航空宇宙局(NASA)もまた、小惑星に探査機を飛ばし、
サンプルを持ち帰るというミッションを行います。
その小惑星探査機の名は「オシリス・レックス」。
果たして、オシリス・レックスのミッションの詳細はどのようなモノで、
「はやぶさ」のミッションとの違いは何なのでしょうか?
目次
日本の小惑星探査「はやぶさ」ミッションとは?
NASAの小惑星探査をお話しする前に、日本が行っている小惑星探査「はやぶさ」ミッションについて、簡単に解説すると。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2003年に、鹿児島県の内之浦宇宙基地から打ち上げた
小惑星探査機1号機「はやぶさ」に始まります。
「はやぶさ」は、2005年に地球近傍小惑星「イトカワ」に軟着陸し、
イトカワの地表サンプルを採取。
ミッション中、様々な困難、トラブルはあったものの、
人類初の小惑星サンプルを地球に持ち帰るという”サンプルリターン”を見事成し遂げます。
参考動画:【JAXA「はやぶさ」ミッション映像】
そして、その後2号機の「はやぶさ2」が2014年に、種子島宇宙センターから打ち上げられ、
今度は、小惑星「リュウグウ」(地球近傍小惑星)に対するサンプルリターンのミッションを行っています。
参考動画:【JAXA「はやぶさ2」ミッション映像】
NASAが打ち上げる小惑星探査ミッションとは?
日本のJAXAに遅れはとりましたが、宇宙探査のパイオニアであるNASAも黙っていません。NASAは、2016年9月に小惑星探査機「オシリス・レックス」を打ち上げます。
「オシリス・レックス」が向かうのは、直径約500kmある地球近傍小惑星「ベンヌ」。
このベンヌに2018年に到着し、軌道上から約2年間の探査を行った後、
2020年に同小惑星に着陸。
ガスを噴射し、巻き上がった地表の砂を採取(60g)し、地球に持ち帰ります。
基本的に「オシリス・レックス」は「はやぶさ2」と同時期に探査を行い、
はやぶさ2は、2020年末に地球に帰還予定。
オシリス・レックスは、2023年に地球帰還予定になっています。
「オシリス・レックス」が向かう小惑星「ベンヌ」は危険な星?
小惑星探査機「オシリス・レックス」が探査を行う小惑星「ベンヌ」には、少し気になる危険な情報が流れています。
「ベンヌ」は、地球に接近する軌道を持つ地球近傍小惑星です。
はやぶさ2が向かう「リュウグウ」も同じく地球近傍小惑星なのですが、
「ベンヌ」の場合、今後地球にかなり接近するニアミスという可能性が浮上しています。
ニアミスをする可能性があるのは2135年。
このとき、ベンヌは地球と月の間を通過すると考えられており、
場合によっては、地球の引力に引かれ、地球に落下する危険性もあると言われています。
なお、ベンヌの地球衝突の危険があるのは2135年ではなく、
2169年から2199年の間に、衝突の危険性が高まるとされています。
もし、小惑星「ベンヌ」が地球に衝突したらどうなるのか?
直径約500メートルほどの大きさのベンヌ。
この500メートルの物体は、時速10万キロ以上の高速で移動しています。
それが、そのまま地球に落下するとなると、凄まじい衝撃が起こり、
その威力は広島に投下された原子爆弾の200倍に匹敵すると考えられています。
つまり、「ベンヌ」が衝突したら、世界的な大参事は免れないということになります。
NASAが小惑星「ベンヌ」を探査に選んだ理由
将来、地球に危険を及ぼす可能性がある小惑星「ベンヌ」。NASAがこの天体を探査対象に選んだのは、衝突危機を回避するためではありません。
ベンヌが地球に衝突する危険性があるといっても、その確率は2,700分の1で、
それほど深刻に考える必要はないとされています。
ベンヌは、地球に接近するため探査機を飛ばしやすいという理由もあり、
何より、この天体は、太陽系が創られた初期の炭素系小惑星だと考えられています。
「画像参照:小惑星・ベンヌ(ウィキペディア)」
つまり、ベンヌには初期の太陽系の有機分子が含まれている可能性があり、
このサンプルを採取することが出来れば、
地球の誕生や、生命の起源を探るヒントが見つかるかも知れないという期待があります。
「はやぶさ2」もまた、小惑星「リュウグウ」に眠る生命の起源のサンプルを採取することが目的。
このサンプルリターンの、2つの小惑星探査ミッションが成功すれば、
一気に、地球に誕生した生命の起源の解明を進めることが出来るかも知れません。
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