日本では、2020年に小惑星から帰還しサンプルを持ち帰った(サンプル・リターン)小惑星探査機「はやぶさ2」が有名ですが、アメリカ航空宇宙局(NASA)もまた、探査機を小惑星に送りサンプルを持ち帰るというミッションを行っています。
その小惑星探査機の名は「OSIRIS-REx(オサイリス・レックス)」です。
はやぶさ2と同じサンプル・リターンを行ったオサイリス・レックスは、どんな小惑星を探査し、どのようなサンプルを持ち帰るのでしょうか?


日本の小惑星サンプル・リターン・ミッションとは?

NASAの小惑星探査をお話しする前に、日本が実施している小惑星サンプル・リターン・ミッションについて簡単に解説します。

このミッションが実行されたのは2003年。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、鹿児島県の内之浦宇宙基地から打ち上げた小惑星探査機1号機「はやぶさ」に始まります。

「Image Credit:はやぶさ・JAXA宇宙科学研究所」
「はやぶさ」は、2005年に地球近傍小惑星「イトカワ」に軟着陸しイトカワの地表サンプルを採取を試みます。
ミッション中、様々な困難やトラブルはあったものの、なんとかサンプルを採取する事に成功し、人類初の小惑星サンプルを地球に持ち帰るというサンプル・リターン・ミッションを見事成し遂げます。

◆参考動画:【JAXA「はやぶさ」ミッション映像】

そして、その後2号機の「はやぶさ2」が2014年に種子島宇宙センターから打ち上げられ、今度は小惑星「リュウグウ」に対するサンプル・リターン・ミッションを実行し、こちらはほとんどトラブルも無く貴重な試料を採取し、地球に持ち帰る事に見事成功しています。

「Image Credit:はやぶさ2・JAXA宇宙科学研究所」
◆参考動画:【JAXA「はやぶさ2」ミッション映像】

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NASAが打ち上げる小惑星探査ミッションとは?

サンプル・リターンでは、日本に遅れはとりましたが宇宙探査のパイオニアであるNASAも黙ってはいません。
NASAは「はやぶさ2」の打ち上げから遅れること2016年9月に、小惑星探査機「OSIRIS-REx(オサイリス・レックス)」を打ち上げます。

「オサイリス・レックス」が向ったのは、直径約500kmある地球近傍小惑星「ベンヌ」です。

「Image Credit:オサイリス・レックス・NASA’s Goddard Space Flight Center」
オサイリス・レックスは小惑星ベンヌに2018年に到着し、軌道上から約2年間の探査を行った後、2020年10月にベンヌの地表に着地しサンプル採取に成功。無事、地球への帰路につきました。

「Copyright ©:NASA Goddard All rights reserved.」


「Image Credit:オサイリス・レックスが小惑星に接地した瞬間の画像(NASAより)」
現在(2022年6月)、地球に向かっているオサイリス・レックスは2023年に地球帰還予定になっています。

NASAが小惑星「ベンヌ」を探査に選んだ理由

オサイリス・レックスは地球を出発してから約2年間航行し、地球から約3億2,000万キロ離れた目的地である小惑星ベンヌに到着しています。
3億2,000万キロも航行したと聞くと、地球からベンヌまではかなり遠い距離にあるのか?と思いがちですが、前記もしたように、この天体は地球に近い軌道を通る地球近傍小惑星です。

「Image Credit:AstroArts」
オサイリス・レックスは、この直径500メートルという小さな天体に接近するために、何回も太陽の周りを周回しながら少しずつベンヌに接近して行きます。
そして、約2年の時間をかけてようやくベンヌへのランデブーに成功しています。
この小惑星へのアプローチ方法は「はやぶさ2」も同じで、実際は地球の公転軌道に近い軌道を周回しているにも関わらず、小惑星のランデブーに成功した時点での距離が地球から3億2,000万キロも離れた地点だったというワケです。
また、ベンヌが探査対象に選ばれた最大の理由は、この小惑星が地球軌道に近いという事もあり、比較的安全にアプローチ出来るという利点があったためだとされています。
何よりこの天体は、太陽系が創られた初期の炭素系小惑星だと考えられており、初期の太陽系の有機分子が含まれている可能性が高く、サンプルを採取することが出来れば地球の誕生や、生命の起源を探るヒントが見つかるかも知れないという期待もあります。

サンプル・リターン成功も思わぬ誤算が!?

無事、小惑星ベンヌに到着したオサイリス・レックスは上空からの調査の後、2020年10月20日にベンヌの地表にタッチダウンしサンプル・リターンに挑みました。
そしてその結果、サンプル採取に大成功。しかしそれは成功し過ぎたみたいでした。

本来、オサイリス・レックスのミッションでは最低60グラムの物質を安全に採取することでしたが、しかし、予定を遥かに超えるサンプルを採取してしてしまったため、採取容器の蓋がちゃんと閉まらなくなり、せっかく採取したサンプルが宇宙に漏れ出すという事態になっているようです。

「Image Credit:オサイリス・レックス採取容器からサンプルが漏れ出す様子(NASAより)」
ただこれは、採取した一部のサンプルが漏れ出しただけで、その量は10グラム程度だと思われておりミッションに支障はないとの事です。

「オサイリス・レックス」が探査した小惑星「ベンヌ」は危険な星?

小惑星探査機「オサイリス・レックス」が探査を行った小惑星「ベンヌ」には、以前から少し気になる危険な情報が流れていました。

「Image Credit:オサイリス・レックス撮影した小惑星ベンヌの画像(NASAより)」
「ベンヌ」は、地球に接近する軌道を持つ地球近傍小惑星です。
はやぶさ2が探査を行った小惑星リュウグウも同じく地球近傍小惑星なのですが、「ベンヌ」の場合、今後地球にかなり接近する(ニアミス)という可能性が浮上しています。

情報によると、ベンヌが地球にニアミスをする可能性があるのは2135年で、このときのベンヌの軌道は地球と月の間を通過すると考えられており、場合によっては地球の引力に引かれ、地球に落下する危険性もあると言われていました。
しかし、最新の詳しい調査によると、ベンヌが地球に差し迫った脅威を与えることはない事が判明したのですが、数百年後には、わずかな確率ですが地球に衝突する可能性があると言います。

ただ、もし小惑星ベンヌが地球に衝突したらどうなるのでしょうか?
今のところ危険はないにしても可能性がゼロというワケではありませんので、少し気になるところです。

「Image Credit:ILLUSTRATION BY SCIENCE PHOTO LIBRARY, ALAMY STOCK PHOTO」

直径約500メートルほどの大きさのベンヌ。この500メートルの天体は時速10万キロ以上の高速で太陽を公転しています。
それが、そのまま地球に落下するとなると凄まじい衝撃が起こり、その威力は広島に投下された原子爆弾の200倍に匹敵すると考えられています。
つまり、「ベンヌ」が地球に衝突したとしたなら世界的な大参事は免れないということになります。