世界で最も有名な起業家の一人であるイーロン・マスク氏。その彼が率いるのが、宇宙開発企業として世界でもトップを走る「スペースX」ですが、このスペースXが今後目指すのが人類火星植民。
マスク氏は、2050年代までに「100万人を火星に移住させる」という壮大な目標を立てていますが、果たしてそれは実現可能可能なのでしょうか?そして何よりも、火星は人類が住めるような惑星なのでしょうか?
躍進を続ける民間宇宙企業「スペースX」
イーロン・マスク氏が目標として掲げる「100万人火星移住」。一見とんでもない目標のようですが、同氏が率いる「スペースX」の宇宙開発にかける情熱は、あのNASAから見ても驚くほど。その開発のスピード感はとても早く、莫大な費用がかかるロケットの開発・打ち上げにも惜しみなく資金を継ぎ込み、たとえロケット打ち上げに失敗しても間髪入れずに次に進んで行くという開発姿勢の勢いをみせ、ついにはこんなロケットまで開発に成功しており、この動画をご覧になった方も多いのではないでしょうか?!
イーロン・マスク氏がスペースX社を設立したのは2002年。以降、驚異的なスピードで開発を進め、2024年までにロケットの総打ち上げ回数は300回に迫る勢いで、現在は自社開発の人工衛星の打ち上げ運営をはじめ、宇宙飛行士や物資を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶといったビジネスも展開し成功をおさめており、今や他の追随を許さぬほどで、未上場ながら会社の評価額が1,000億ドル(約12兆円)にも及ぶ、文字通りの世界一の宇宙企業へと成長しています。
故に、今後のスペースX社が掲げる目標は月、そして火星へとシフトして行き、記事冒頭での「100万人を火星に移住させる」といった超強気な目標に繋がっているようなのです。
イーロン・マスク氏が掲げる「人類多惑星種化」
イーロン・マスク氏は、自分たちが造るロケットや宇宙船を「ノアの方舟(はこぶね)」に位置付けているといい、スペースXが掲げる使命は「人類を多惑星種にする」というもの。マスク氏は地球だけでなく人類が火星など他の惑星にも住むよう時代を創りたいと考えており、そのような時代が訪れた時の人類の事を「Multiplanetary Species(多惑星種)」を呼んでいます。
「Image Credit:スペースXの宇宙船・スターシップと火星基地(SpaceXより)」
火星移住へ向けてのスペースXの今後の計画
スペースXは現在、火星へも航行可能な巨大宇宙船「スターシップ」を開発中です。スターシップは現在(2025年初頭)NASAが主導している有人月面着陸「アルテミス計画」に参加しており、2026年9月に実施予定のアルテミス3ミッションで、月面に宇宙飛行士が搭乗する月着陸船にスターシップをベースとしたHLSが使用される事になっています。

「Image Credit:NASAの宇宙船・オリオンとドッキングするスターシップの想像図(SpaceXより)」
このアルテミス計画で実績を積んだスターシップは、火星往復用の宇宙船に改良され、予定では2026年に無人のスターシップを5機ほど火星に向けて打ち上げる計画だと言い、そのミッションが成功すれば2028年から2030年頃に人を乗せた有人ミッションが発動するといい、そこから火星探査を行いながら順次、火星へと人類を送り込む計画だそうです。
火星へ人を送る難しさ
現時点(2025年初頭)でのスターシップの開発は遅れており、まだ有人での飛行には成功していません。そのため、いくらスペースX社の驚異的な開発スピードであったとしても、これからわずか5年程で人を乗せたスターシップを火星まで飛ばせるとはとても思えず、さらには月面へ人を送る事と火星へ人を送る事は、圧倒的に次元が違うほど困難になってきます。
「Image Credit:Getty Images」
火星に人を送る事がどれだけ難しいのか?
この事については、少し長くなりますので次回に詳しく解説したいと思います。
次回→【火星植民は困難というより無理!?その理由とは】