宇宙に行けるのは優秀な軍人や科学者等、極限られた人達だったのは昔の話。
21世紀なった現在、そんな限られた人だけではなく私たち一般人も行ける時代になって来つつあります。
とは言っても、まだまだ宇宙行くにはハードルがかなり高く、大金持ちや幸運に恵まれた人しか行けないのが現実です。
ですが、それも徐々にハードルの高さが低くなり、近い将来、私たち一般人も行ける時代がやって来る事は間違いないでしょう。
という事で、来るべき「宇宙旅行時代」に備え、宇宙に行き、そして地球に帰って来るために知っておくべき豆知識をいくつか解説したいと思います。
本格的開始間近~「宇宙旅行ビジネス」
20世紀は国家が宇宙事業を担う時代で、ある意味「宇宙ビジネス」という言葉は存在しませんでした。しかし、21世紀になった現代、民間企業がビジネスの視野を宇宙に向け出し、日本を含む各国で宇宙ベンチャーが立ち上がり未開拓だった宇宙ビジネスに乗り出しています。
そんな宇宙ビジネスで私たちが一番期待していると言ってもいいのが、宇宙に観光で行ける「宇宙旅行」ではないでしょうか?
「Image Credit:spaceX」
現時点(2023年)では宇宙旅行についてはほとんど実績がなく、実績が無い分それだけ危険度も高く、何よりコストがかなりかかり現段階での費用は安くても数十万ドルからと・・・とても私たち一般人が気軽に出せる金額ではない事は確かです。
ですが、そこはビジネス(商用)の世界。あまり高額ではビジネスとして成り立ちませんので、今後においての企業努力で実績を積み、安全性が高まればビジネスも軌道に乗り、十数年・・・いや?数年後には私たち一般人も宇宙旅行に行ける時代がやって来るかも知れません。
でも、私たちが宇宙に行くには、宇宙がどういうところなのか?さらには、どうやって宇宙に行き、そして戻って来るのか?知っておくことは必要なのではないでしょうか?
宇宙ロケットは何故ド派手な打ち上げ方をするのか?
宇宙は特別な場所。とまず印象付けしてしまうのは、ロケットの打ち上げが大がかりでド派手な事ではないでしょうか?「Image Credit:spaceX」
宇宙に行くロケットが何故あのような方法を取るのか?大きく分けて2つ理由があります。
- 宇宙は空気が無いから燃料と酸化剤を一緒に持っていく必要がある。
通常、ジェット機等が大気圏内を飛行する時は、エンジン内に空気を取り込んで燃料と混ぜ燃焼し推進力を得ます。
しかし、ロケットの行き先は宇宙なため外から空気を取り込む事は出来ません。そこでロケットは酸化剤と燃料を一緒に積み込み推進剤として燃焼室で燃焼させ一気に吹き出し、その反動で推進力を得て飛び出して行く事で真空の宇宙でも推進力は衰えないのです。
「Image Credit:カガクのじかん」 - ロケットの推進力は超加速装置。
ロケットの推進力は爆発的なパワーを出す事が出来ます。この推進力を利用し地球の重力を振り切らないと行けません。
ちなみに、地球の重力を振り切り一気に宇宙に飛び出すのに必要な速度は秒速11キロ以上なのですが、その前に地球を周回する軌道に乗らないとならず、そのためには周回する高度によって異なりますが秒速約8キロの速度が必要になります。つまり、そこまでの速度に到達するにはロケット推進のチカラに頼る必要があるのです。
宇宙=無重力ではない!
宇宙旅行で一番の楽しみと言えるのが、無重力状態を楽しむ!事ではないでしょうか?例えば私たちが良く目にするのが、国際宇宙ステーション(ISS)の船内外で宇宙飛行士たちが浮遊している姿が印象に残っていると思いますし、もし私たちが宇宙旅行をした場合もあのような無重力状態を体験する事は出来るでしょう。
「Image Credit:iStock」
しかし、忘れてはならないのが「質量がある場所には必ず重力も存在する。」という事です。
つまり、私たちが乗るであろう宇宙船の船内も質量があり、何より地球の外に出たとは言え、地球自体に大きな質量がありますのでそのままの状態で宇宙に出たとしても地球の重力に捕らえられ、無重力どころではなくスグに落下してしまいます。
では何故、宇宙飛行士たちは無重力で浮遊している事が出来るのでしょうか?
その理由は前記もしましたが「軌道に乗っている」からに他ならず、秒速8キロの速度で地球を周回する事は同時に地球に対する遠心力が働いており、この遠心力が落下しようとする地球の重力を打ち消し、地球を周り続ける自由落下状態になる事で無重力が生まれているのです。
「Image Credit:宇宙航空研究開発機構 宇宙環境利用ガイドブックより」
宇宙に行ったら被ばくするリスクもある!?
太陽からの光と熱の恵みを受け私たち地球の生物は生きて行く事が出来ていますが、同時に太陽は危険な存在でもあり、私たち生物にとって有害な放射線も放出しています。しかし、その放射線から地球自らが出す磁場が守ってくれる事で私たちは地上で安全に暮らす事が出来ています。
「Image Credit:太陽からの放射線から地球を守る磁場(NASAより)」
上画像↑のように地球低軌道上では磁場の中に居ますので大きな問題がはありませんが、仮に月旅行等、地球の磁場の外に出るとなった場合は有害な放射線を容赦なく受ける事になってしまうでしょう。
また、地球の軌道上には「ヴァン・アレン帯」と呼ばれる360度ドーナツ状に地球を取り巻く強烈な放射線溜まりが存在し、月に行く途中と帰りには否応なしにヴァン・アレン帯を通り抜ける必要が出て来ます。
「Image Credit:Wikipedia」
もちろん、宇宙旅行を主催する企業は放射線対策も万全にし私たちを月旅行に連れて行ってくれるでしょうが、それでも被ばくするリスクがゼロだとは限りません。
もし、いつか月に行ける時が来た場合、自分は危険な放射線の中に突入する!という事も十分理解し、それに備え覚悟もする必要もあるのかも知れません。
大気圏突入時に燃える原因は空気摩擦ではない
宇宙旅行を楽しみ地球に帰る時、大気圏に再突入しますが、そのとき船体の表面が高温状態になり燃えるような現象が起きてしまいます。これは、宇宙船が秒速数キロという超高速で大気に突っ込む事で起きる空気との摩擦熱だと思っている人が多いと思います。ですが、これは間違いです。
「Image Credit:NASA」
この時、宇宙船が超高速で大気に突っ込む事は間違いではなく摩擦熱による熱もありますが、それは全体の1%ほどにしか過ぎず、そのほとんどは超高速によって空気抵抗を受ける宇宙船の前方部分に、強烈な圧力がかかり空気が圧縮され熱が発生する事によるものです。
また、その時に衝撃波も発生し「ソニックブーム」と呼ばれる激しい爆発音のような音が発生する事も良く知られています。
以上、少し長くなってしまいましたが、他にも宇宙旅行に行く時に知っておきたい豆知識はまだまだあります。とは言っても今の時点で”宇宙旅行なんて夢物語”かも知れません。
そんな”夢”でもいつかは実現すると思えば、楽しみも増えて来るのではないでしょうか?