西暦2030年代以降において、人類は前人未踏の地・火星への有人探査、そして移住計画を実行しようとしています。
それはSF映画の話ではなく、実際に計画され着々と準備も進められている現実の話で、計画通りに行くと、今後10~20年以内には人類は火星の地に立つということになるのです。

しかし、人類が火星に行くには数々の難しい問題を解決しないといけないのも事実であり、果たして人類は難しい問題手をクリア出来、本当に人類は火星に行けるのでしょうか?
そして、その先にある火星移住計画は実現するのでしょうか?

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火星はどこまで地球に似ているのか?

誰かが「火星は地球に良く似ている星だ!」と言っていましたが、これについては異論があります。
確かに火星は、他の太陽系天体の中ではもっとも環境が地球に似ているかも知れませんが、ただ、火星が地球と似ている部分はわずか2つだけしかありません。
それは自転周期が地球の24時間とほぼ同じことと、自転軸が地球と似た角度で傾いている(地球:約23度、火星:約25度)ため四季があるという事ぐらいです。

その他は、地球とはとても似つかない全くの異次元世界が火星なのです。

「Image Credit:NASA」
では、地球と火星の違いとは何なんのでしょうか?

地球と火星の違い

  • 地球から平均で約8,000万キロも外側を公転している事で、地球は太陽系のハビタブルゾーンの中に位置するが、火星はハビタブルゾーンから外れている。

    「Image Credit:高校資格.com
    この距離は地球との気温の差を決定的にしており、年間の平均気温はマイナス40度以下となる極寒の世界を創り出しています。
    さらに、距離が離れているこいとによる公転周期も大きく異なり、地球の1年が365日なのに対し火星の1年は687日もあることになります。
  • 火星の大きさは地球の約半分で質量は10分の1ほどしかありません。

    「Image Credit:大きさは地球の半分ほどしかない火星(Wikipediaより)」
    地球に比べるとかなり小型の惑星なのが体火星で、これにより地球との大きな重力の差が生まれ地球の3分の1ほどしかなく、体重60キロの人が火星に行くと20キロほどになってしまうということになります。
  • 大気圧は地球の100分の1以下。

    「Image Credit:火星の薄い大気(Wikipediaより)」
    火星に大気があるいと言っても地球の大気圧の約0.75%しかありません。当然ながら、この大気圧の中では生身で火星の大地に立つことなど到底不可能です。
そのほか、大気大気組成も地球とは大きく異なり、大気成分の96%は二酸化炭素で酸素はほとんど存在しません。
さらに決定的な違いは、火星には磁場がほとんど存在しないことです。
地球には強力な磁場が存在するため、これにより太陽風や宇宙から飛んで来る有害な放射線を遮断してくれる効果があります。

「Image Credit:気象庁」
一方、磁場のない火星では大地に容赦なく放射線が降り注ぎ、その結果、生命存在には不向きな不毛の地が広がっているのです。

「Image Credit:火星全体を覆う赤茶けた不毛の大地(Wikipediaより)」
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着々と準備が進む有人火星探査計画

地球とは似ても似つかない不毛の地・火星。
しかし、人類はこの火星に本気で行こうとしており、その準備は着々と進んでいます。
まず、火星に行くためのロケット開発。
現在NASAは退役したスペースシャトルに代わり、宇宙飛行士や大型貨物を宇宙に送り出すことが出来る大型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」を開発中」です。

「Image Credit:Wikipedia」
次に、火星に行くための次世代型宇宙船の開発。
現在、主に月との往復を目的に開発されている有人宇宙船「オリオン」。
これは、将来、火星有人探査用宇宙船のベースとなることも目的とされている宇宙船だという事です。

「Image Credit:NASA」
また、火星までの航行には少なくとも片道半年以上かかる長距離航行のため、オリオンに火星までの往復燃料を積んだ機械船と、宇宙飛行士の居住棟をドッキングさせた巨大な宇宙船で火星に向かうことが想定されます。

「Image Credit:有人火星探査船イメージ(SF映画「オデッセイ」より)」
さらに問題なのは、約半年の航行で火星に到着してもすぐには地球に帰還出来ない事になります。
何故なら、地球~火星の行き来には、地球と火星が接近するタイミング(約2年)が必要となるため、往復の航行帰還約1年と火星での滞在期間2年を合わせると、最低でも約3年間は地球に戻れない事になるのです。

危険が伴う火星有探査

人類を火星に送るといった壮大な計画とロマンはありますが、この計画成功の道のりは、かなりの危険を伴うことが懸念されています。
まず、火星までの航行もかなり危険で強力な磁場で守られた地球圏を抜けると、そこは人体にはとても有害な宇宙放射線が吹き荒れる場所になり、その危険な宇宙空間を往復3年以上航行しなければならないため、宇宙船や船外活動をする宇宙服は、宇宙線を完全に防御出来るモノを確実に開発しないといけないででしょう。

さらに、約3年の長い宇宙生活で、宇宙飛行士はどう精神状態を正常に保つか?これも大きな課題となり、単純に考えただけでも火星有人探査に選ばれるべき宇宙飛行士は、強靭な精神力を持つ人物に限られると思います。
そして無事に火星に到着したとしても、どれだけ安全に火星の地に降り立ち、火星の自然環境を熟知した探査を行い火星を離れる事が出来るか?
これは、技術的な課題も含め、危険を回避するために何度もシュミレーションを行う必要がありますし、このシュミレーションにも巨額の費用がかかることは間違いないでしょう。

「Image Credit:火星有人探査想像図(Wikipediaより)」

何故人類は火星を目指すのか?

ここで単純な疑問としてあるのが、危険を承知でそして10兆円以上とも言われる巨額を投じて火星に行く必要があるのでしょうか?
その大きな命題の一つとして挙げられるのが、これから宇宙進出をして行くであろう人類にとって、地球から近い惑星である火星進出は、絶対に通過しなくてはならない道だという考えがあるとの事。
また、火星はかつて生命が生存していた可能性もあり、その痕跡を探すことも探査目的のひとつで、さらには将来的に火星へ人類を移住させる構想もあるとされていますが、火星に人類を移住させるにはクリアしなければならない課題も多く、放射線が降り注ぐ火星で水や食糧を確保する自給自足の生活が可能なのかどうかも確かめる必要があるでしょう。

そして、地球の3分の1しかない低重力下で長期間生活した場合、人間のカラダにどんな異変が起こるのか?
もし、火星を「第二の地球」として捉え移住をするのであれば、火星はまだ謎の多い星であり課題も山積みで、それらを全てクルアしなければとても人類が住めるような場所ではないのかも知れません。
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