「2029年。小惑星アポフィスが地球に接近!」とにわかに信じ難いニュースがネットを賑わせているようですが、これがもし胡散臭いフェイクニュースだとしたならブラックジョークとして笑い飛ばして無視するのですが、これが信頼のある大手ニュースでも取り上げていることもありチョット笑えない!?かも知れません。
仮に、もし本当に小惑星が地球に接近し衝突ともなれば未曾有の災害が発生する可能性もある一大事です。果たしてこのニュースは本当なのでしょうか?
その真偽と、小惑星アポフィスが地球に接近した後どうなるのか?さらに専門家の予測はどうなのか?等について調べてみました。

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小惑星アポフィスとはどんな天体なのか?

今、ちょっとした話題になっている小惑星「アポフィス」。
この小惑星が2029年4月13日に地球に大接近するとネットを中心にウワサになっているようで、しかもこの日は不吉な迷信のある13日の金曜日らしいのです。

正直、こんな情報ならオカルト的なデマで信憑性はないかも知れないのですが、でもこれを発表したのがあの米航空宇宙局(NASA)と言うのですから、単純にデマ話として笑い飛ばす事はちょっと難しいかもしれません。
そんなNASAによると小惑星アポフィスは、軌道半径が一部地球の公転軌道とカブる「アテン群」と呼ばれる地球近傍小惑星のひとつで、その中でも地球に接近する確率が高い潜在的に危険な小惑星だと考えられています。

「Image Credit:アテン群小惑星・アポフィスの公転軌道(AstroArtsより)
アポフィスの大きさは直径約335メートルで、質量は約7,200万トンあると推測されており、アポフィスの名前はエジプト神話に出て来る太陽をのみ込もうとするヘビ神に由来していると言います。

もし小惑星アポフィスが地球に衝突したらどうなる?

ところで、直径300メートル以上で7万トン超の小惑星が地球に衝突したらどうなるのでしょうか?
直径335メートルと言えば、東京タワーと同程度の大きさです。
つまり、こんな大きな物体が秒速数十キロという超高速で地球の大気圏に突入して来るワケですから、このとき発生するエネルギーは凄まじいモノで、計算上での破壊力は広島型原子爆弾の10万倍にもなるとの事です。
これがもし、東京都心に落下したとするなら、東京23区と千葉、埼玉の都市部、そして横浜方面まで完全に崩壊してしまうでしょう。

また、小惑星が陸地ではなく海に落下したとしても被害は甚大で、大平洋に落下した場合も沿岸部には数十~100メートル級の津波が押し寄せ、東日本大震災とは比較にならないほどの大きな被害が出てしまう事が予想されます。

「Image Credit:いらすとや」
いずれにしても小惑星アポフィスが地球に衝突すれば想像を絶する被害が出てしまう事は確かで、残念ながら今の人類のチカラではこの危機を回避する事は不可能で、出来る事と言えば危険を事前に察知し、少しでも被害を抑えるために避難の対策を取る事以外にないでしょう。

本当に小惑星アポフィスは地球に衝突するの?

2029年4月。小惑星・アポフィスの地球大接近。この情報はデマではなく事実のようです。
ですが、結論を先に言うとアポフィスはかなり地球に接近しますが、地球の引力に捕まり落下するまでには至らないとの事です。

2029年4月13日前後に地球に接近、通過すると推測されている小惑星・アポフィス。
最接近時の距離は何と!約3万キロで、私たち人間の距離感覚では遠く感じる距離ですが、天文レベルでの距離感では落ちるか?落ちないか?のスレスレの距離になります。

「Copyright ©:NASA Video All rights reserved.」
なお、最接近時のアポフィスは大西洋上空に到達すると見られていて、このとき、肉眼でも明るい光点として観測出来る可能性があると言います。
ただ、最接近時が大西洋であれば日本からの観測は難しいようで、また、それが昼間であれば尚の事で肉眼で見る事は困難でしょう。

それでも小惑星・アポフィスの地球大接近は、天文ファンにとっては絶好の天体ショーになる事は期待出来、人類にとってもまたとない貴重な経験で、今後の小惑星による地球防衛にとって利用できる科学知識が得られる機会になるかも知れないとされています。
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今後起きる可能性のある小惑星地球衝突にどう備えるのか?

小惑星・アポフィスの地球衝突は避けられそうですが、まだまだ地球周辺には接近・衝突の危険がある天体が相当数あると考えられています。
現在、人類がその数を確認出来ているのは2万個ほど(2019年現在)で、それ以外に確認出来ていない天体は想像を出来ないほどの多さだと言います。

つまり、いつ地球に接近し衝突する危険がある天体があるかは、わからないのが現状のようなのです。

事実、2013年にロシア・チェリャビンスク州に落下した隕石は突然の事でしたし、つい最近(2018年12月12月8日)もベーリング海に広島型原爆の10倍以上ある隕石が落下しています。
これらの隕石落下は、幸いな事にいずれもそれほど大きな被害は出ませんでしたが、地球に甚大な被害を及ぼす天体がいつ出現するかはわかっていません。

ちなみに現在発見されている、地球に被害を及ぼす危険性のある潜在的に危険な小惑星(PHA)は以下の図のようになっており、科学者たちは日々これらの天体の追跡を行っています。

「Image Credit:地球周辺にある潜在的に危険な小惑星(PHA)の軌道図(NASAより)」
これを↑↑みれば、地球に小惑星が落ちて来ないのが不思議なくらいの数にも思えますが、実際はもっと多いワケで、常に地球は小惑星落下の脅威に晒されていると言っても過言ではないでしょう。
しかし、この脅威に対し人類はまだ監視を続けるのが精一杯。というより、これが現在出来得る最大の防御なのです。

今後の対策としてはいくつか考えられており、人工衛星を目標物に衝突させ破壊もしくは軌道を変えたり、ヤルコフスキー効果という太陽光が当たる天体の熱放射で軌道がどう変わるのかという研究も行われています。
また、2135年に地球に最接近すると推測される小惑星・ベンヌにNASAの探査機オサイリス・レックスが実際に行って調査を行っています。

「Image Credit:小惑星ベンヌの調査を行っているNASAの探査機オサイリス・レックス(NASA GODDARD SPACE FLIGHT CENTERより)」
また、今回ご紹介している小惑星アポフィスにも探査機を送る計画が検討されており、目的はアポフィスの地球接近を防ぐ事ではなくこの小惑星の正確な軌道を調査する事。

2029年にアポフィスが地球に接近し衝突は避けられても、今後地球に衝突しないという保証はないわけで、それを明確にするためにも詳しい調査が必要との事のようです。
ただ、この計画が実行に移された場合、探査機の調査によって小惑星の軌道が変わってしまわないか?という懸念もある事は事実。
地球に最接近する事で、調査の大チャンスは訪れますが、人類の手によって墓穴を掘らないよう細心の注意が必要のようです。
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