太陽系に存在する天体の中、というよりおそらくは宇宙全体においても、生命溢れる地球は奇跡的な天体なのかも知れません。

そんな奇跡の地球に最も近い環境を持っていると言われているのが火星なのですが、ただそれは、必ずしもそこに生命が存在するということに繋がるワケではありません。

しかし以前から、火星には生命が存在し、なおかつ文明を持つ火星人もいるとまでウワサされて来ました。

でもそこには大きな誤解があり、そこから火星人存在説に繋がった経緯があるようです。

果たして、その誤解を生んだ事とはどんなことだったのか?
そして本当に火星に生命はいないのでしょうか?




火星は地球のすぐ外側を周る惑星で、とても明るく望遠鏡で観測すると赤く見える幻想的な天体です。

そのため古来から神話の対象にもなっていて、その赤く見える外観から血や炎を連想させる事で、ローマ神話における軍神「マルス」にちなんで「マーズ(英語名)」と名付けられるようになりました。

火星は何故赤く見える?

火星が赤く見えるのは、もちろん血や炎に要因するモノではありません。

その赤く見える原因になっているのは、火星の地表の多くに酸化鉄が含まれているためで、言わば錆が地表全体に広がっていると考えても良い天体です。

さらに火星には大気が存在していますが、地球のように厚い大気でなく希薄なため、地球から見ると火星の荒涼とした酸化鉄の大地がむき出しで見えています。


「Image Credit:Wikipedia」

このため、昔から火星は赤い星として知られて来ました。

昔は何故火星人が居ると信じられていたのか?

人類はこれまで何度も火星に無人の探査機を送り調査を行っています。

その調査結果において、現時点では火星人はおろか、生命そのものが見つかっていません。

しかし、つい数十年前まで火星には知的生命体がいると多くの人に信じられていました。


「Image Credit:Gakken キッズネット」

それはいったい何故なのでしょうか?

そこには、昔の人の宇宙に対する知識不足による単純が誤解があったようです。

火星の模様による誤解

観測技術がまだよく発達していない時代。
火星を望遠鏡で覗くと、何やら線状の模様を確認することが出来ました。


「Image Credit:AstroArts」

その模様を見た当時の天文学者が、イタリア語で「Canali」(溝または水路)と表現したところ、間違えて「Canal」(運河)と英訳されてしまったため、世界中で「火星の運河」と広まってしまい、「運河があるなから火星にはそれを造れる知的生命体による文明が発達しているのでは!?」と考えられ、ここから火星人存在説が信じられるようになったとの事です。

Sponsored Link


火星人がテーマのSF小説が大ヒット

1893年にイギリスの作家H・G・ウェルズが発表したSF小説「宇宙戦争」が大ヒット。



この小説により、当時の人々に「火星には火星人がいる」というイメージが、さらに強く植え付けられる事になったようです。

SF小説「宇宙戦争」のドッキリラジオ番組

SF小説「宇宙戦争」の物語を信じ込んだ人々に対し、実際に火星人がいるかのように仕掛けたラジオのドッキリ番組が放送されています。

そのラジオ番組が放送されたのは1938年のアメリカ。
ハロウィン特別番組として、生放送で火星人の地球侵略がはじまったとウソの中継番組を放送したところ、その放送を聴いていた人達が本当に信じてしまい、パニックに陥ってしまったという記録が残っています。

なお、当時の実際のラジオ放送がYouTubeで公開されていましたのでご参考までに。

「Copyright ©:phonographjp All rights reserved.」

実際の火星はどんなところなのか?

現在ではNASAをはじめ、日本や欧州宇宙機関(ESA)、ロシア等、多くの国々が積極的に火星の探査を行っています。

その結果、火星には運河などは存在せず、火星の地形が溝のように見えていただけの荒涼とした無機質な惑星であることが判明しています。


「Image Credit:NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS」

もちろん現在では、火星人など居ない事は世界中に浸透していますが、昔の人は火星人を恐怖の対象として思い込んでいたようです。


「Image Credit:1897年H・G・ウェルズの小説『宇宙戦争』表紙(Wikipediaより)」

しかし、最新の火星調査では水の存在も確認されており、またかつての火星は温暖で地表を川が流れていたという痕跡も見つかっています。

水があり川が流れていたとなれば、後は生命の痕跡を探すこととなるのですが、現在のところそのような痕跡は見つかっていません。


「Image Credit:かつてはアガトダエモン運河と呼ばれていたマリネリス峡谷(国立科学博物館より)」

今後、さらなる無人探査も含め有人での火星探査もはじまる予定です。
これにより、もっと深く火星の謎が解明されて行くことと思います。

そうなれば、もしかしたら太古の昔に本当に火星人が居たかも知れないという痕跡も見つかるかも知れませんね。