2015年に人類で初めて冥王星に訪れたNASAの無人探査機「ニューホライズンズ」。
ニューホライズンズは、これまで謎に包まれていた冥王星の真の姿をハッキリと捕え、私たちに驚きと感動を与えてくれた事は記憶に新しいところです。
そんなニューホライズンズの冥王星探査の集大成と言うべき、高精細画像を編集しリアルな動画で公開され話題を呼んでいます。
それはまるで、冥王星がスグ側にあって上空を遊覧飛行しているような映像なんです。
いくつかのサイトでもこの動画は紹介されていますが、今一度、ニューホライズンズが冥王星でどんな探査を行ったのか?を振り返った上でご紹介してみたいと思います。
冥王星とはどんな天体?
かつては、太陽系第9惑星として知られていた冥王星ですが、現在は準惑星として分類され、冥王星はちゃんとした惑星として見なされなくなってしまいました。でも何故、冥王星が惑星ではないのでしょうか?
それは冥王星の大きさと質量が大きな要因であり、観測技術の発展で20世紀の後半から冥王星と似たような大きさや質量の天体が次々と発見され、さらに冥王星は衛星である月よりも小さい事から、2006年に開かれた国際天文学連合総会で正式に冥王星は準惑星として定義されることとなりました。
「Image Credit:地球(左)月(右上)冥王星(右下左)冥王星の衛星・カロン(右下右)(Wikipediaより)」
ちなみに、大きな楕円での公転軌道(公転周期247.7年)を持つ冥王星の地球から距離は、最短(近日点)で約45億キロ。最長(遠日点)で約75億キロと遠く、地球からその全貌を捕えること困難な天体ですが、ニューホライズンズの探査が成功した事でその真実が明らかとなって来ました。
ニューホライズンズの冥王星探査の軌跡
冥王星を含む太陽系外縁天体を探査する目的で打ち上げられた、NASAの無人探査機「ニューホライズンズ」は2006年に打ち上げられ、約9年の歳月をかけ冥王星軌道に到達し、そこから約1年半に渡り冥王星を観測。様々なデータを地球に送信して来ました。「Image Credit:ニューホライズンズと冥王星、衛星カロンの想像図(Wikipediaより)」
ニューホライズンズによって判明した冥王星の真実はたくさんありますが、代表的なモノとして
- 冥王星には薄く青い大気がある。
- 予想以上に複雑な地形。
- 特徴的なハート形をした窒素の氷河の大地(大きさ約1,000キロ)。
- 内部に水で出来た氷の海が存在する可能性。
- カロンを含む冥王星の衛星をハッキリと捉える。
冥王星の探査を終えたニューホライズンズの旅はまだまだ続き、次の探査目標は冥王星からさらに16億キロも外縁にあるカイパーベルト天体「アロコス」に2019年1月に到達し、この天体でフライバイを実施しています。
「Image Credit:ニューホライズンスが撮影した小惑星アロコス(Wikipediaより)」
アロコスを後にしたニューホライズンスは、その後もカイパーベルト天体を探査しながら、探査計画を地球外知的生命体へ宛てたデジタルメッセージを送信しようというプロジェクト「ワン・アース・メッセージ」に切り替え、太陽系の外へ旅立つ予定となっています。
冥王星を間近で体験できるリアル映像
冥王星探査に成功したニューホライズンズが撮影した、100点以上もの画像データを使って高精細画像に加工編集した冥王星、及び衛星・カロンの上空飛行映像が公開されています。この映像は、科学者たちがニューホライズンズのデータを基本に加工したモノで、CGが使われていますが、実際の冥王星の姿をよりリアルに再現しています。
これまで公開されて来た冥王星の姿は表面的で、山や渓谷の立体感がわかるモノが少なかったですが、この加工映像によりその姿を浮き彫りにしてくれリアルに伝わるモノがあります。
冥王星は太陽から遠く離れているため、動画のように明るくハッキリと見えるとまでは行かないかも知れませんが、それでもいつか我々が本当に太陽系外縁天体を訪れる日が来るとしたら、間近で見る冥王星とカロンの姿は、この動画に近いカタチで見えるのかも知れません。