リング(環)を持つ天体と聞くと、真っ先に思いつくのが土星ではないでしょうか?
ですが、太陽系にはリングを持つ天体は土星だけでなく、他にもいくつも天体が存在が確認されており、それは意外と多いのでは?という推測もあるようです。

そんな推測がある中で発見されたのは、準惑星として初めて環が確認された太陽系外縁天体ハウメア。
今回は、この準惑星・ハウメアの情報を中心に環を持つ天体について調べてみたいと思います。

Sponsored Link

環(リング)を持つ惑星

巨大なリング(環)を持つことで知られている太陽系の第六惑星・土星。

「Image Credit:Wikipedia」
土星のリングは視覚的にもハッキリと見えてそれでいて美しく、それ故にこのリングは誰もが知っているほど有名なモノで、リングの成分は小さな塵や氷等が大半で、大きいものでも10メートルほどの粒子で形成されています。
しかし、リングを持つ天体は土星だけ!と思っている人も多いようで、土星ほど見事なリングではありませんが木星・天王星・海王星の大型惑星は薄いリングを持っていることが判明しています。

「Image Credit:(左)木星と環、(中央)天王星と環、(右)海王星と環(Wikipediaより)」
これらの惑星のリングは、肉眼ではほとんど確認できないほど希薄のためあまり知られていないのが現状です。

リング(環)を持つ天体は巨大惑星だけではなかった事実

これまで、土星や木星といった巨大な重力を持つ惑星にのみにリングは存在すると考えられて来ましたが、近年の観測技術の進歩により小惑星や準惑星にもリングを持つ天体が存在することが確認されています。
そんな小天体として初めてリングが発見されたのが、土星と天王星の間の軌道にあるケンタウルス族に属する「カリクロー」。
カリクローは直径が300キロにも持たない小惑星で、周囲を主に氷で構成されたリングが取り巻いていることが2001年に確認されています。

「Image Credit:氷の環が取り巻く小惑星・カリクローの想像図(Wikipediaより)」
次にリングを持つ小天体ではないか?と考えられているのが、これもケンタウルス族に属する小惑星「キロン」。
キロンは直径が170キロほどで、彗星と小惑星の特徴を併せ持つ天体だとされています。

「Image Credit:小惑星キロンの想像図(ESOより)」
ただ、キロンは彗星の特徴を持つと考えられる天体だけに、ガスや塵のジェットが噴出している可能性もあり、それが環のように見えているのかも知れないという推測もあり、現時点(2017年)ではそれがキロンのリングであるとは確定はしていないようです。
Sponsored Link

準惑星で初めて環(リング)が発見された「ハウメア」

準惑星「ハウメア」は、2003年に発見された冥王星軌道に近い軌道を公転するエッジワース・カイパーベル天体の一つです。
ハウメアは形状が卵形をしており、直径が2,000キロ弱、衛星も2つ従えていることが判っており、この天体が持つリングは、天体の破片を思われる小さな岩石や氷から出来ていると考えられ、そのリングの幅は70キロほどもあることが判明しています。

「Image Credit:準惑星「ハウメア」と環の想像図(IAA-CSIC/UHUより)」

リング(環)を持つ天体は意外に多い可能性

土星や木星等のように巨大な重力を持つ天体なら判りますが、準惑星や小惑星など重力が小さな天体でさえもリングを持つ事実が判明した以上、太陽系の天体には意外と多くのリングを持つ星が存在するのでは?という予想が出てきており、これまでリングが発見された天体は太陽系外縁部に属しており、リングを持つ天体の条件がそこにはあるのではないか?という調査目的も今後の探査対象に挙がって来るのでは?ともされています。

まだほどんど調査がされていない太陽系外縁部。
冥王星探査で大成功をおさめた探査機ニューホライズンズも、さらに深部の太陽系外縁部探査を行っています。
また、そこには太陽系第9番惑星の発見も期待されていますので、もし9番目の惑星が存在したとしたらリングが存在する可能性も大きく、そこにはどんな美しい環があるのか?も気になるところです。
Sponsored Link