木星の衛星エウロパは生命存在本命?特徴的な模様の正体は塩
太陽系で、地球以外に生命が存在する可能性がある天体はいくつか候補があり、
その中のひとつで、かなり可能性が高いとされているのが木星の衛星・エウロパ。
人類はこれまで探査機の調査で得たデータや、
地上からの観測でエウロパの分析を行っており、
その分析結果の中で、非常に興味深い情報が得られ注目となっています。
それは、エウロパ表面にある特徴的な黄色い模様の正体が”塩”であった事。
「エウロパに塩があった!」自体驚きの結果ですが、
でもこれって何を意味しているのでしょうか?
探査機の観測データから得られたエウロパ表面の塩
人類はこれまで6機の探査機を木星圏に送っています。その中で1979年にボイジャー1号、2号。
更には、1995年~2003年までガリレオが木星圏に訪れ、
エウロパの観測を詳しく行っています。
特にガリレオは、エウロパ表面の分光観測を行っており、
その分析から地表のタラ地域と呼ばれる黄色いエリアに、
塩化ナトリウム、いわゆる”塩”が多く存在している事が判明しています。

画像参照:探査機ガリレオが撮影したエウロパ(Wikipediaより)」
上↑2枚は同じエウロパの画像ですが、
右側が微妙な色合いを強調し、良くエウロパの画像として紹介されるモノですが、
本来、自然な色合いに近いのは左側で、
右・左の同じ位置の左半球側に黄色い領域が確認出来ます。
これがタラ領域と呼ばれるエリアで、
ここに塩化ナトリウムが豊富に存在しているとの事です。
ご承知のとおり、塩化ナトリウムは地球の海にも豊富に含まれています。
つまり、これが意味する事は、
エウロパの地下に存在すると考えられている海も、
地球と同じような海水である可能性が出て来たワケです。
何故エウロパの地下に海があると言えるのか?
光と熱の恵みを与えてくれる太陽から7億キロ以上も離れている木星の衛星・エウロパ。これだけ太陽から離れていると、太陽から届く熱量も非常に少なく、
木星圏は極寒の環境のため、エウロパの表面温度はマイナス180度と厚い氷に覆われた世界です。
しかし、その厚い氷の下(1,000m以上)には液体の海が広がっていると考えられており、
その海こそが地球の海と同じような成分ではないか?と考えられているのです。

「画像参照:エウロパの地下に広がる海のイメージ図(Wikipediaより)」
でも、何故エウロパの地下に液体の海があると言えるのか?
理由は木星の強い重力による潮汐力の摩擦熱でエウロパ内部に熱エネルギーが蓄積され、
その熱エネルギーで氷が溶けて海を形成している可能性が高いと考えられているのです。
しかも、液体の海が存在する可能性は極めて高く、
2012年にハッブル宇宙望遠鏡が、エウロパの南極付近から噴き出す水蒸気らしきモノを発見。
これが、地下の海から噴出している間欠泉ではないか?と推測されています。

「画像参照:spacetelescope」
海があっても生命がいる証拠はあるのか?
残念ながら、現時点ではエウロパの海に生命がいる証拠は見つかっていません。しかし、今回確認された”塩”の存在により、その可能性は高まっており、
さらにこの塩化ナトリウムは重要な意味を持ち、
海底での熱水活動が活発である事を示唆しているそうです。
もし、エウロパの海に熱源があれば、
熱水を好むバクテリアや藻等が生まれ、
そのバクテリアや藻を餌とする小さな生物。
そして、その生物を餌とする大きな生物も誕生しているといった生態系が、
エウロパの地下で繁栄しているかも知れません。

「画像参照:地球の熱水噴出孔に集まる生物(www.nasa.govより)」
ただ、気になるのはエウロパの海の塩分濃度がどれくらいあるのか?
例えば、塩分濃度が地球の海に似ていたとすれば、十分可能性はあるでしょうが、
塩分濃度が高過ぎれば、生命存在には向いていない事も考えられます。
10年以内にエウロパでの生命存在の有無が確定する?
木星の衛星エウロパの地下に液体の海があり、しかもその液体が地球の海のような存在だったとしたら、
まさにエウロパは地球外生命体発見の大本命という事になります。
そんな興味深いエウロパは、今後の宇宙探査の最優先ターゲットでもあり、
NASAは2020年代にエウロパに探査機を送る「エウロパ・クリッパー」を計画しています。
エウロパ・クリッパーの探査目的は、
当然ながらエウロパに生命存在の可能性があるか探る事。
探査機はエウロパ上空(周回軌道上)から生命活動に必要不可欠な、
液体の水・有機化学物質・水素分子等のエネルギー源の存在を確かめに行きます。
エウロパ・クリッパーの探査では、直接生命の存在を確認する事は出来ませんが、
この探査で、生命存在の確実性が高まった場合は、
エウロパの厚い氷を掘削し、直接海の中まで探査する計画をしているとの事
しかし、厚さ1,000メートル以上あるとされるエウロパの氷をどのように掘削して海まで到達させるか?
技術面ではまだ確立されていないため、
私たちが本当の地球外生命体に遭遇できるまでは、
かなりの時間が必要になるのかも知れません。
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