「スペースコロニー」という言葉を一度は聞いた事があるかも知れません。
これは、人類が宇宙で暮らすために造られた人工の居住地で、現時点ではSFやアニメの世界でしか描かれていない架空の建造物に過ぎません。

そんな架空の居住地をNASAが「宇宙で暮らすプロジェクト」として真剣に取り上げ進行中で、しかも宇宙空間に8,000人も住める居住地を構想しているとかで一部で話題になっているようです。

NASAが実現しようとしているこのプロジェクトとは、いったいどんなモノなので、何故人類は宇宙で生活しないといけないのでしょうか?

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スペースコロニーとは、どんな施設なのか?

人類が宇宙で生活できる居住空間として提唱されたのがスペースコロニー構想。
しかもこの構想はかなり以前(1969年)に提唱されており、以降、これを基に映画やアニメを含めたいくつかのSF作品がつくられ、日本人の私たちにもガンダムワールドに登場するスペースコロニーに一番馴染みがあるかと思います。

「Image Credit:スペースコロニーの想像図(Wikipediaより)」
つまり、スペースコロニーとは現実的な世界の建造物ではなくあくまでも架空のモノなのですが、実際に提唱されたスペースコロニー構想を調べてみると実現可能ではないのか?と思えるほど具体的で、人が宇宙で住むには理想的な空間のようにも思え、と言うのもスペースコロニーは地球の重力と遠心力、そして月の重力の3点釣り合っているポイントで重力が非常に安定しており、ここにスペースコロニーを建設する事で人類が恒久的に居住出来る空間が確保できるとされている事等が現実味があるように思えるのです。

「Image Credit:地球軌道上にあるL1~L5までのラグランジュ点(Wikipediaより)」
では、その具体的な構想のスペースコロニーとはどんな施設なのでしょうか?
いろんなタイプのコロニーが提唱されている中で、ガンダムの劇中にも登場する一番メジャーな「シリンダー型のコロニー」を例にとって解説してみたいと思います。

スペースコロニーの構造(シリンダー型)

スペースコロニー構想は元々はアメリカの物理学者オニール博士らが1969年に提唱したモノで、将来人類が宇宙に定住するなら惑星ではなくて、宇宙空間に巨大な人口居住地を建設した方が安全で効率が良いと考え出されたことから始まります。
そんなスペースコロニーで、もっとも多くの人々を収容できると考えられているのがシリンダー型の建造物です。

このコロニーの大きさは直径約6キロメートル・長さが30キロメートル以上の円筒形の巨大な建造物で、これを回転(約2分間で1回転)させることで生じる遠心力で、構造物の内側に地球と似た重力を人工的に作り出すことで、人やその他の動植物が住める環境(人口数百~1千万万人が住める空間)が生まれるという施設です。

では、具体的にシリンダー型のスペースコロニーの構造はどのようなモノなのか?

「シリンダー型スペースコロニーの外観」

「Image Credit:スペースコロニー・アート
    • ①「居住区」
      この円筒形の内側に街や森を創り、数百万人以上が暮らせる場所を確保します。
    • ②「ドッキングベイ・制御センター」
      コロニーの出入り口(港)と、コントロールセンターがあり、またこの部分は中心部ということもあり、遠心力が働いていないため無重力空間でもあります。
    • ③「開閉ミラー」
      太陽光を反射するミラーが付いており、これを開閉する事で日光の調節、昼と夜を作り出しています。
    • ④「農業プラント」
      コロニーに住む人たちの食糧を育てる農業プラント。
      完全密封型で、食物に適した環境を自由に作り出せ、害虫もいないため無農薬で作物を作ることが出来ます。
「シリンダー型スペースコロニーの内部」

「Image Credit:Wikipedia」
シリンダー型スペースコロニーの内部に入ると頭上に街や森が見えるという、地球に住み慣れた人にとっては異様な光景が広がっていることでしょう。
しかもこの空間に、大都市並み人口が生活出来るというから驚きです。

ただ、ガンダムでも語られていましたが、全てが人工的に造られた空間だと、住民には通常の光熱費以外に空気の使用料金も徴収される義務があるとかで、これも地上に住む人たちにとっては意外なところかも知れません。
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NASAで進行中の宇宙で暮らすプロジェクト

さて、現実の話に戻しますと。実はこのスペースコロニー構想、架空の話ではなく実際に実現に向けて動き出していると言います。
しかも動いているのはあのNASAのようなのです。

NASAが構想しているのが「スペース・ビレッジ・ワン」というプロジェクト。
このブロイジェクトは、最初から都市型の巨大スペースコロニーを建造するのではなく、宇宙ステーションの発展型とも呼べるモノで最大8,000人を収容出来る施設との事で、また、建設する場所もラグランジュ点ではなく、月よりも離れた太陽を周回する地球と並行する軌道に設置すると言います。
だた、構造はシリンダー型のスペースコロニーと似ており、見た目は円筒形ではなく巨大なコマのような形状で、これを回転させる事で内壁に人口重力を生み出しそこで生活するという構造のようです。

「Image Credit:3Dプリンターで作製した「スペース・ビレッジ・ワン」の断面模型(RODUCTIONMANAGER.COMより)」
この「スペース・ビレッジ・ワン」、中央部分から太陽からの光を照射、施設内に昼と夜を作り出す事が出来、また構造物の緊張と歪を安定させるために伸縮させる事が出来、外周を拡大・縮小できるようになっているとの事です。
なお、居住区は内壁にある谷のような部分には、ここに住宅はもちろんの事、森や川、池等も造る事が出来ると言います。
ただ、この「スペース・ビレッジ・ワン」は、まだコンセプト・設計の段階で、実際に実現するにはまだまだ先の話のようですが、このようなコンセプトをNASAが進行しているという事は、スペースコロニー計画は少なくとも現実味があるワケで、もしかしたら数十年以内には実現する可能性はあります。

何故、移住するのが他の惑星でなくスペースコロニーなのか?

宇宙空間にこのような巨大構造物を建設するという事は、技術もさることながら莫大な費用もかかる事は必須となる事が予想されるのですが、それならば何故、もともと土地がある月面や火星に居住地を造らないののでしょうか?

「Image Credit:火星植民の想像図(Wikipediaより)」
ご存じの方も多いとは思いますが、実はスペースコロニー計画以外に月面基地や火星移住の計画はあります。
しかし、月や火星に人を永住させるとなると、そこには大きな問題が生じて来ます。
それは、月や火星には地球と同じ重力を造る事が出来ないという事で、地球上に住む人間及び他の動植物は地球の重力環境に適合して進化をしている事で、地球より重力の弱い月や火星で生活するとなると、地球で適合した身体に異変が起こるという事態を引き起こす可能性が十分あると考えられます。
そんな事態を避けるためには、人工的に地球と同じ重力を作り出せるスペースコロニーが最も良いのでは?という考え方もあるようです。

そもそも人類は宇宙に居住する必要性は何なのか?

人類が宇宙で生活するには、かなりの技術と危険と背中合わせのリスクがあることは間違いないでしょうし、そもそも「生まれ育った地球を離れて宇宙で暮らしたい!」という人もそれほど多いとは思えません。
ならば、何故人類は宇宙に住む必要性があるのでしょうか?

人類が宇宙で生活する理由として一番大きいと考えられるのが、爆発的な人口増加による地球環境の破壊と飽和があります。
私たち日本では人口減少が社会問題化していますが、地球規模で見ると世界人口は年々増え続けており100億人に迫る勢いです。
こうなると深刻化して来るのが環境破壊と、人口飽和による食糧事情の問題であり、今現在においては、あまりそのような危機は感じていませんが、このまま人口増加が進むと数十年後には必ず危険な状況に陥って来るでしょう。
そのような危機を回避するために、一つの手立てとして考えられているのがスペースコロニー計画なのかも知れません。
もちろん、増え過ぎた人口を宇宙に移すとなれば、コロニーも1つや2つでは足らないでしょうし、何より宇宙に住みたがらない人たちを説得することは並大抵の事ではないでしょう。

未来の地球が、このまま人口が増え続けるのか?
それとも人口増加が止まり、減少に転じるのか?はわかりませんが、増加が続く公算が強い現状では、やはりスペースコロニー計画を含めた人口分散、緩和対策を考えて行かなくては未来はないのかも知れません。
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