ここ数年、注目となっている星があります。
それが冬の星座として有名なオリオン座にある1等星「ベテルギウス」。
ベテルギウスは冬の大三角としても有名で、冬の星として代表的なベテルギウスが今瀕消滅の危機にあります。
つまり、もうまもなく星としての寿命を終え、その末路である超新星爆発のカウントダウンの状態で注目となっているワケです。
果たして、ベテルギウスはいつ超新星爆発を起こすのか?そして太陽系、地球への影響はあるのか?今回はこのことについて少し調べてみました。

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日本最大級で2mの大口径を誇る光学望遠鏡「なゆた望遠鏡」がオリオン座の1等星「ベテルギウス」が、異常に膨れ上がった映像をとらえています。

「Image Credit:ESO and P. Kervella」
星が膨張するということはどういうことなのか?そしてこれはいったい何を意味するのか?天文ファンならずとも非常に興味のあることではないでしょうか。

ベテルギウスが見える場所

ベテルギウスを探すのはとても簡単。非常に見つけやすい星ですので、望遠鏡なんか無くても簡単に見つけることが出来ます。
その理由は星に詳しくない人でも、ほぼ皆んなが知っているであろう冬の代表的な星座”オリオン座”にあるからです。
ベテルギウスはそのオリオン座の”左肩”の部分に位置する明るい星ですのですぐにわかります。

「Image Credit:Yahoo!きっず図鑑」
そんな目立つ星であるオリオン座のベテルギウスが、今まさに星の一生を終えようとしています。
最新の観測によると、ベテルギウスはこれまでの2~3倍に膨れ上がっていて、近い将来超新星爆発を起こすのではと推測されています。

超新星爆発とは何?

”超新星”と書くと新しい星で星の誕生のことかと思ったりもしますが、星の一生を終える瞬間を超新星とも言います。
しかし、何故”新星”と言うのかににつてはのちほど解説しますが、まずは超新星爆発についてお話します。

「Image Credit:iStock」
超新星爆発とは、熱核融合で輝く星(恒星)の核融合反応が止まった時の重力崩壊で起こる大爆発の事です。
この超新星爆発は、我々の太陽には該当せず、太陽の8倍以上の質量を持つ恒星が超新星になると言われています。
恒星は、熱核融合(水素やヘリウムが燃料)によって外に膨らもうとする重力と、星自体の強力な内向きの重力が絶妙なバランスを保って星が形成されています。
しかし、核融合の燃料もいつかは尽きてしまいます。
核融合の水素やヘリウムといった燃料が無くなると、次に核融合の燃料となるのが水素やヘリウムよりも重い元素(炭素、窒素、酸素)などです。
より重い元素が核融合を起こすことでバランスが崩れてしまい星は膨張を始めます。
つまり、ベテルギウスはまさに今この膨張の状態だと思われ、膨張を続けている現在では直径が太陽の1000倍を超えているとの事。
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ただ、膨張もいつまでも続きません。
膨張の要因になっている燃料(元素)も長くは燃え続けることは出来なく、いづれは核融合反応はストップします。
そうなると核融合で外向きに働いていた重力が無くなり、今度は内側に働くの重力で一気に星の中心に落ち込みます。
そして、その衝撃波で大爆発が起きるということになるのです。
◆参考動画:【超新星爆発の瞬間(イメージアニメ)】
しかし、最初に”星の一生を終える”こといいましたが、新星という名前が意味するのは、この爆発は”星の始まり”でもあります。
爆発により散らばった物質が、長い時間をかけてまた重力干渉により集まって行き新しい恒星系を形成して行きます。
つまり、星は連鎖をしながら誕生と死を繰り返していることになります。

ベテルギウスの超新星爆発の時期は?気になる太陽系への影響はあるのか?

ベテルギウスは観測を始めてからの40年間で2~3倍まで膨れ上がっています。
そのため、星としての限界、臨界点を超え近々超新星爆発を起こすと言われています。
ただ、近々とはいってもそこは星の寿命で天文学的な時間の計算になってしまい、我々人類のモノ差しでは図りきれない部分があり、爆発は明日かも知れないし1万年後かも知れないのが現状です。
でも、もしベテルギウスが爆発したらどうなるのか?地球から見たベテルギウスはどうなるのかをシュメレーションをした動画が制作されています。


「Copyright©:YouTube nonaka214 All rights reserved.」
動画のように、もしベテルギウスが爆発したら凄まじい明るさで天空を照らすこととなるのではと推測されます。
そして太陽系、地球への影響はあるのかという心配がありますが、現時点では詳しくはわからないとありますが、ただ、ベテルギウスと地球との距離や約640光年離れています。
この距離は、秒速30万キロの光の速さで640年もかかる距離にありますから、かなり遠いとは思うかも知れませんが、天文学的な考え方でいうと近距離になると言います。
しかし、現在の観測技術での計算によると近距離であっても、超新星爆発で影響が及ぶ空間は、爆発の半径50光年以内の範囲と推定されるそうです。
そのため、640光年離れた地球なら影響がないと思われるのですが、専門家によると何とも言えないとの事。
このような見解だと少し心配かも知れません。

類は過去に超新星爆発を経験していた

実は、人類史上で超新星爆発を経験した記録が残っていることをご存じでしょうか。
それは今から約1000年前の1054年。地球から約7000光年先で起こった”カニ星雲”の超新星爆発がそれです。

「おうし座・かに星雲」

「Image Credit:Wikipedia」
この時の超新星爆発を中国では”客星”と呼ばれ、当時は約2年間輝き続けかなり明るく見えたといいます。
この時は7000光年離れていたということもあり地球に影響はなかったと言いますが、今回のベテルギウスとの距離は530光年。かなり近いと言っても良いかも知れません。
いつ爆発してもおかしくないというベテルギウス。
しかし、光の速さで640年かかるということは、現在我々が見ているベテルギウスは640年前の姿になります。
ですので、もしかしたらもう既に超新星爆発を起こしていてその光景をまだ見ていないだけかも知れません。
そして、ベテルギウスの爆発で地球に影響がなかったとしても、オリオン座や冬の大三角形も消滅してしまうことを忘れては行けません。
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