宇宙に無数に存在する銀河。
私たちの銀河系(天の川銀河)もそうですが、中心が明るく輝いているイメージがあるかと思います。
そんな明るい銀河の中心領域って何があるのか?そして中心部はどうなっているのか?と、少なからず疑問を持っている人はいると思います。
今回、その疑問に答える研究結果が発表され話題に!
やはり、銀河の中心には星が溢れていて、しかも歴史の古い星もたくさん存在し、それらの星の誕生・形成についても新たな観測でわかって来たようです。
一般的な銀河の構造
私たちの太陽系がある銀河系は「天の川銀河」と呼ばれ、2,000億個以上の星(恒星)が集まる「棒渦巻銀河」と呼ばれる構造をしています。「Image Credit:棒渦巻銀河・エリダヌス座NGC1300(Wikipediaより)」
この棒渦巻銀河は宇宙では極一般的な銀河とされ、構造は円盤状になっているディスクと中心部の明るい領域をバルジと呼び、バルジ領域から帯状に伸びる渦巻腕(渦状腕またはスパイラル・アーム)。そして、ディスク部分を大きく球状に囲む銀河の外側の領域・ハローには球状星団が点在しています。
「Image Credit:ESO/NAOJ/NARO」
そして今回のテーマである銀河中心の明るい領域・バルジですが、この領域にについて少し触れてみたいと思います。
星が密集し銀河の中心で明るく膨らむ・バルジ
銀河の中心付近に凸レンズ状で膨らむバルジは、主に棒渦巻銀河やアンドロメダ銀河等の渦巻銀河で見られる特徴的な領域です。「Image Credit:Wikipedia」
このバルジは星が密集した領域であり、その密度は1立方光年(一辺が1光年の立方体)あたり1,000から10万の恒星が集まっていると考えられており、一方、同じ銀河内でも中心部から約2万6,000光年離れた外縁部に位置する私たちの太陽系は1立方光年の範囲内には太陽しか存在せず、一番近い恒星であるアルファ・ケンタウリでも約4.2光年離れており銀河中心部がいかに星が密集してるのか?わかるかと思います。
「Image Credit:国立天文台」
ちなみに天の川銀河の円盤・ディスクは約10万光年あり、中心部のバルジは約1万5,000光年の広さを持っています。
銀河バルジの中にあるブラックホールと古い星々
銀河の中心領域には星が集まっているのと同時に、銀河自体を構成する強い重力場として超大質量ブラックホールが存在する事がわかっており、天の川銀河の中心にも太陽質量の約400倍以上と考えられるブラックホールが存在しています。この超大質量ブラックホールを「いて座A*(いてざエースター)と呼び、いて座A*を中心に半径5光年の範囲内に推定で約1~2万個ものブラックホールが存在していると考えられています。
「Image Credit:チャンドラX線観測衛星が撮影した銀河中心部(NASA/CXC/SAO)」
またバルジは、銀河創成期の早い段階で小さな銀河同士が多数衝突・合体して形成されたモノと考えられており、密集している星(恒星)たちも比較的古い天体が多く全体の8割以上が年齢80億歳以上の恒星ではないかと推測されています。
銀河中心では惑星も次々に生まれている?
銀河の中心では星が密集し、数多くのブラックホールも存在していると考えられますが、同時にその周りには惑星を形成する材料となる大量の塵やガスも存在していると考えられており、惑星もまた数多く存在し、中心付近はまさに恒星や惑星等で密集した領域になっているとの研究結果も発表されています。「Image Credit:銀河中心付近の惑星系の想像図(鹿児島大学より)」
銀河中心に惑星が多く存在しているとなれば、これらの惑星に生命が誕生する可能性はあるのか?という疑問も出てくるかも知れません。
この疑問に対し専門家は「生命が誕生する可能性はある。」としながらも、近くにあるブラックホールの影響で強力な電磁波が出ている可能性があり、また恒星も古い天体が多い事で、私たちの太陽とは異なる光のスペクトル型を持っているため、生命が居たとしても地球のような生命体とは異なる生物になる確率が高いとしています。
銀河中心付近で見られる特異な天体「電波アーク」
銀河中心付近には、他では見られない強力な磁場持つ天体・電波アークがあります。「Image Credit:銀河中心付近の電波アーク(Zadeh et al.)」
電波アークは銀河面に垂直な細長い弧状の構造をしており大きさは約40光年もあり、ここには強い磁場とともにX線放射も確認されおり、高エネルギー電子と太陽の百万倍と推測される質量の低温のガス雲が衝突する事で発生しているのでは?と考えられていますが、現時点ではまだ謎に包まれているようです。