私たちが住む太陽系が属している銀河(天の川銀河)の直径は約10万光年という、とんでもない大きさなのですが宇宙にはまだまだ巨大な銀河が存在しています。
ここでは、宇宙最大の銀河で最も明るい銀河の紹介と、そもそも銀河とは何なのか?について解説します。

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まずは私たちの住む天の川銀河を知っておこう

私たちは直径10万光年という巨大な銀河の中にいます。
それが天の川銀河という、おそらくは棒渦巻銀河であると考えられています。

ですが、何故”おそらく”と言うのでしょうか?
それは、私たちが天の川銀河の中にいるため誰も見る事が出来ないからであり、そのため天の川銀河はどんなカタチをしているのか?と科学者たちが観測と研究を重ねた結果で、おそらくは棒渦巻銀河ではないか?という結論に達したのです。

「Image Credit:棒渦巻銀河「NGC1300」(Wikipediaより)」
巨大な天の川銀河の中にある星(恒星)の数は2,000億個以上と考えられており、私たちにとっては巨大過ぎる太陽でさえも2,000億個の中の1個に過ぎない事になるのですが、そんなとんでもなく巨大な天の川銀河は、最近の研究で天の川銀河の本当の大きさは10万光年ではないという事がわかって来ています。

天の川銀河の真の大きさ

直径約10万光年の天の川銀河。
それは、1秒間に地球を7週半周る秒速30万キロの光が、銀河の端から端まで10万年もかかってしまうほどの広大さなのですが、しかし、10万光年というのは属に銀河と言われる円盤ディスクに限っての事であり、実は、銀河の全貌だと思っていた円盤ディスクは銀河全体のほんの一部に過ぎなかったのです。

「Image Credit:天の川銀河の構造(すばる望遠鏡H.P.より)」
銀河の本当の大きさは、円盤ディスクの遥か外側に広がるハロー領域までを含んでおり、銀河の中心からハロー領域の端までの距離は約52万光年もある事が最近の研究でわかってきました。
そのハロー領域の中には、現在150個ほど確認されている球状星団や矮小銀河が存在しており、これら全ての天体までを含めたのが真の天の川銀河だと言えます。
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巨大な天の川銀河でさえも足元にも及ばない宇宙最大の銀河

宇宙には大小合わせて数兆個の銀河が存在していると考えられており、そんな銀河の中で現在発見されている最も巨大な銀河が、地球から約10.5億光年も離れた場所にあるIC 1101という楕円銀河で、その大きさは直径400万~600万光年もあり、星(恒星)の数はなんと100兆個もあると考えらている超巨大銀河です。

「IC 1101」に比べると巨大過ぎると思っていた天の川銀河など足元にも及ばず、それどころか天の川銀河の倍以上の規模を誇るアンドロメダ銀河や、最近、中心に太陽質量の65億倍もの超大質量ブラックホールが観測されたM87銀河でさえも足元にも及ばないとんでもないスケールの銀河です。

「IC1101銀河と天の川銀河の大きさ比較図」

「Image Credit:imgur.com
この銀河、大きさもそうですが質量も桁違いで天の川銀河の100倍はあるとされるモンスター銀河。
何故、このような巨大な銀河が誕生したのか?については謎ですが、おそらくは、銀河同士が衝突を繰り返した結果このように巨大化したのではないか?と推測されています。

宇宙で最も明るい銀河

現在見つかっている銀河で最も明るいとされているのが、地球から約125億光年~つまり宇宙誕生(ビッグバン)から約10億年後に放った光が地球に届き、その明るさは太陽の300兆倍を超えているとされています。
そんな銀河の名前は「WISE J224607.57-052635.0」。

「Image Credit:WISE J224607.57-052635.0銀河(Wikipediaより)」
高光度赤外線銀河(ELIRG)に分類されるこの銀河の明るさの正体は、恒星による輝きではなく銀河中心にあるクエーサーの輝きによるモノで、クエーサーの特徴は地球から極めて遠くにあり、尚且つ宇宙で最も明るい天体として知られ、宇宙創成期頃に莫大なエネルギ-が供給された事により誕生したと考えられておりその中心には超大質量ブラックホールが存在していると考えられています。
つまり、WISE J224607.57-052635.0銀河がこれほどまでに明るく輝くエネルギー源となっているのがブラックホールであり、ブラックホールの周りを高速で回る大量のガスや塵が摩擦で数億度にも及ぶという超高温に加熱される事で凄まじい明るさで輝いているとされています。
ちなみにWISE J224607.57-052635.0銀河の中心にあるクエーサーは、太陽の100億倍の質量をもっているといいます。
なお、WISE J224607.57-052635.0銀河の中心にある超大質量ブラックホールが、何故、宇宙誕生してからわずか10億年ほどで誕生したのか?の謎については、まだ未解明のようです。

天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突で巨大銀河が誕生?

宇宙一巨大な銀河IC1101や宇宙一明るいWISE J224607.57-052635.0銀河等は、銀河同士が衝突して誕生したモノと考えられていますが、私たちの天の川銀河も今後さらに巨大化する可能性を秘めています。
その理由は、天の川銀河もいつかは他の銀河と衝突する可能性があるという事。
ここでいうところの”他の銀河”とはアンドロメダ銀河の事で、現在この2つの銀河の距離は約250万光年も離れていますが、時速40万キロで接近しつつあり約45億年後に衝突する運命にあるとされています。

「天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突シュミレーション動画」

「Copyright ©:VideoFromSpace All rights reserved.」
シュミレーションでは2の銀河の衝突は真正面からぶつかるのではなく、端同士が軽くこする程度でぶつかり、やがて互いの重力で合体融合するモノと考えられています。
ちなみに、現在のアンドロメダ銀河は天の川銀河の倍の規模を持っていますが、この規模になるに当たり少なくとも1回は他の銀河と衝突した過去があると考えられており、これからまた天の川銀河と衝突となると、事実上私たちの銀河はより規模の大きいアンドロメダ銀河に吸収さてしまう事が予想されます。

となると、45億年後とは言え地球そして太陽系はどうなってしまうのか?と少し心配になったりもしますが、そこは45億年後の遥か未来の話です。
この頃は、太陽も晩年で寿命を終えようとしている時期だと考えられ、たぶん銀河の衝突が無くても、45億年後の地球は生命が住めない星になっている事でしょう。
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