夏のこの時期。外に出て星空を眺める機会も多くなり、天の川も幻想的な輝きを魅せてくれ、そんな天の川を誰もが一度は目にして魅了されたのではないでしょうか。
しかし、私たち人類の祖先が見ていた天の川はこんなモンじゃなかったらしいのです。
それは、もっと明るく幻想的に輝き圧倒されるような美しい星空の光景を見ていたのではないか?といったロマンチックな研究結果が発表されています。

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現代で見る事が出来る最大限に美しい天の川

天の川とは、夜空を見上げるとまるで川が流れているように見える光る星の帯で、観測条件さえ良ければ肉眼でもハッキリと美しく見る事が出来、星空の代名詞とも呼べる幻想的な光景です。
また、日本では「天の川」として例えられていますが、ギリシャ神話では”乳”に例えられ「Milky Way(ミルキーウェイ)」と呼ばれています。
実際、私たちが肉眼で天の川を観測する場合、晴天で街明かり等の光を遮る障害物等が無い時に視力の良い人でこのように見えると思います。

「Image Credit:iStock」
特に夏と冬の時期の天の川は、南北に頭の上を越える位置に来るためより幻想的で美しい星の帯を眺める事が出来ます。

何故天の川は光の帯のように見えるのか?

天文・宇宙に詳しくなくても私たちの住む地球は太陽系の中にあり、その太陽系は2,000億個を超える星の大集団である天の川銀河(銀河系)の中にある事はご存じだと思います。
ただ、銀河と言えば一般的にこんなカタチ↓↓をイメージするかも知れません。

「Image Credit:天の川銀河の想像図(iStockより)」
しかしこれは銀河を外から見た場合の事であり、夜空を見上げて見える天の川の光の帯は私たちが銀河系の中にいるからこそ見える光景なのです。
そんな天の川銀河の中にある私たちの太陽系は、銀河系の中心から約2万6,000光年の位置にあります。

「Image Credit:銀河を横側から見たイメージと太陽系の位置(Wikipediaより)」
つまり私たちは、天の川を目印にして銀河の内側を見ている事になるのですが、銀河の中には太陽を含め数千億個の星がギッシリと詰まって明るく見えるハズなのに、私たちが眺める事が出来る星の集団である天の川はボンヤリとしか見えません。
それは何故なのか?
理由は、見た目は星がギッシリと詰まっているように見えますが実際は星と星の間隔は広く、ほとんどの星の間隔は1光年以上は開いており、また、地球から銀河の中心方向に目を向けてもその間に光を遮る様々な物質があるため、それが視覚的な障害となり本来は明るいハズの銀河の中心方向がボンヤリとしか見えていないのです。
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銀河の中心にあるモノとは?

この記事の本題に入る前に知っておかなくてはならない事。それは、2,000億個以上の星の集団を従えている銀河の中心には何があるのか?という事です。
私たちの天の川銀河に限らず、ほとんどの銀河の中心には想像を絶する巨大な大質量ブラックホールがある事がわかっており、天の川銀河の中心にも「いて座A*(いてざ・えーすたー)」と呼ばれる太陽質量の約400万倍以上にも及ぶ超大質量ブラックホールがあります。

「Copyright ©:European Southern Observatory (ESO) All rights reserved.」
私たちの地球が太陽の周りを1年かけて回っているように、太陽もまた巨大ブラックホールの周りを2億年以上かけて銀河の中を駆け巡りながら回っているのです。

350万年前の人類の祖先は光輝く天の川の幻想的光景を見ていた!?

単純に考えると350万年前と言えば、今のような星空の光を遮るような文明の灯り等なく、また今よりずっと空気も澄んでいたと思いますのでその頃の夜空は眩いばかりに美しかったのでは?と想像出来ます。
さらに350万年前に、銀河の中心にある巨大ブラックホールに大規模な水素雲が落下し、猛烈なフレア爆発を起こしていたという痕跡を発見したという研究結果が発表されています。
つまり太古の時代、今よりもずっと星空は綺麗だった事に加え350万年前は、銀河中心で起こった巨大フレア爆発によって天の川がより明るく照らされ、輝いて見えていた可能性があるというのです。

「Image Credit:350万年前の夜空の光景イメージ(NASA, ESA, G. Cecil (UNC, Chapel Hillより)」
この巨大フレア爆発によって、夜空にぼんやりと幻想的な光の雲を作り出したと考えられており、それは幻想的で美しい光景だったのかも知れません。
当時、アフリカの大地で誕生したとされる人類の祖先は、その地からこの光景を眺めていたのかも知れませんね。
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