太陽系外惑星を発見するために大気圏外に設置された、ケプラー宇宙望遠鏡が奇妙な天体を発見したことが話題になっています。
それは、地球から遥か遠くにある恒星系に、惑星としては説明のつかない巨大な物体があるのではないかと言うのです。
それはいったい何なのでしょうか?
もしかして、スターウォーズに登場する宇宙人が建造した人工の天体・デススターなのか?非常に気になるところですが、その正体とは?
ケプラー宇宙望遠鏡が発見した謎の巨大物体
2009年~2018年まで運用されたケプラー宇宙望遠鏡は、530,506個の恒星を観測し2,662個という惑星を検出するという大きな成果を残してくれています。ケプラー宇宙望遠鏡が、太陽系外惑星を探査するのに使ったのが「トランジット法」呼ばれる検出方法です。
この方法は、恒星の前を物体が横切るときに発生する減光現象を観測する事で惑星を検出する方法です。
「Image Credit:トランジット法の概念図(T.M.Brown 2003, Nature, 421, 488より)」
地球から約1,480光年離れた場所にある恒星KIC8462852にも観測の目を向け、トランジット法で横切る天体を観測していたところ不規則な減光が発見されました。
通常、恒星を横切る惑星は公転しているため一定期間恒星の前に現れ減光するのですが、その天体は極めて不規則に減光し、主星のKIC8462852自体もこの謎の物体により20%も減光していると言います。
「Image Credit:Wikipedia」
恒星の光を20%も遮る物体とは何なのか?その正体が巨大な惑星だったとしても、不規則に減光するのはおかしいのでは?と、この不思議な現象に対し科学者も答えを導き出せず困惑しているとの事です。
憶測を呼ぶ謎の巨大物体
不可思議な減光をしている謎の巨大物体。何故、このような現象が起こるのかは判明していませんが、不規則だということは彗星や小惑星群が横切ることで起こっているのか?とも推測もあり、また、この恒星が太陽よりひと回り大きいF型主系列星(太陽はG型主系列星)である事が、少し現実離れした推測を生み出す事になります。それは、太陽と良く似た恒星系なら人類のような知的生命体、もしくは、それ以上に文明が進んだ知的生命体による巨大なスペースコロニー群が原因ではないかとの事。さらには、スターウォーズで登場するような巨大な人工天体・デススター説まで飛び交う事態までになったそうです。
謎の巨大物体の正体は判明するのか?
しかし、依然として正体のわからないKIC8462852を横切る謎の巨大物体。その理由は、木星のような巨大な惑星でさえ減光率は1、2%なのに対し、この謎の物体は20%も減光をしているということは、普通に考えれば、とてつもなく巨大な物体が横切っているということになり、知的生命体が造った建造物というのも考えにくく20%も減光出来る小天体の彗星や小惑星も考えにくいとの事。また、一説には、この物体がダイソン球ではないか?という考えもあります。
ダイソン球とは、人類の科学力の遥か先を進歩している知的生命体が恒星のエネルギーを最大限に利用するために、恒星全体を覆ってエネルギーを集めてしまう、人類の英知を遥かに超えるテクノロジーを持つ文明の構造物と考えられています。
もし、その物体がダイソン球だったとしたら、不規則で20%も減光するのも説明がつくと言うのですが・・・。
「Image Credit:ダイソン球のイメージ図(Kevin Gill)」
我々の想像を超えた科学文明をもつ知的生命体はいるのか?
現実的に考えて、ダイソン球のような人智を超えた超科学の建造物を造れるような知的生命体は宇宙に存在し得るのでしょうか?この事について、肯定も否定も出来ないところが現状のようです。
また、多くの科学者は人類以上の科学力を持つ異星人は必ず居るだろうと考えています。
それは、私たち人類が存在していることが何よりの根拠であり、広大な宇宙に科学文明が進んだ知的生命体が人類だけとは考えにくいというのが科学者たちの考えです。
そしてさらに、知的生命体が科学力を進歩させる年月の数百年や数千年は、宇宙の時間の流れからすれば、ほんの一瞬にしか過ぎません。
例えば、ダイソン球のような超科学の建造物を、今の我々では想像できないにしても、人類より、数百年や数千年進んだ文明を持つ異星人がいたとしたら、そんな建造物を造ることはたやすいことかも知れません。
もし、今後の調査で謎の巨大物体が人工物だったとしたら、大変な衝撃になると思いますが、それが特異な自然物体だったとしても、人類の宇宙観測史に衝撃を与える発見になることは間違いないでしょう。