コロナ禍の中、いつもより盛り上がりに欠けると思われる2020年のクリスマスですが、しかしこのクリスマスは、宗教的には天文のビッグイベントになりそうです。
それは、キリストの誕生を告げたとされる伝説のベツレヘムの星がクリスマスに現れるかも知れないからです。
その謎を解くカギとなるのが、太陽系の2大巨大ガス惑星・木星と土星の大接近にあると言います。
400年ぶりに大接近する木星と土星
地球から7億5,000万キロ(平均)離れた木星と15億キロ(平均)離れた土星。木星と土星は隣り合っていますが、距離は7億キロ以上とかなり離れていますが、この2つの惑星が2020年のクリスマス前後に大接近します。
しかもこの接近は400年ぶりとの事で非常に貴重な年だとも言えます。
「Image Credit:木星(左)と土星(右)(Wikipedia)」
木星も土星も巨大ガス惑星で、木星の大きさは地球の約11倍。土星は木星より少し小さく地球の約9倍の大きさがあり、そのため地球からの距離は離れていても肉眼でも比較的明るく見え、木星はマイナス2.7等級で、土星は0.7等級の明るさで見る事が出来ます。
そんな比較的明るく見える木星と土星ですが、この2つの惑星が大接近する事で地球からは同じ方向に見え、まるで重なっているかのように見る事が出来るといいます。
木星と土星が超接近する会合周期は一生に一度きり!
木星の公転周期は12年。土星の公転は30年です。この2つの惑星が同じ方向に並ぶ会合周期はおよそ20年に1度で、この間隔で言うとそれほど珍しい事ではないのですが、木星と土星の公転軌道がわずかに傾いているため、会合してもそれほど接近して見える事は出来ません。
しかし、2020年12月の場合は、木星と土星の軌道が見かけ上交差するあたりで会合するため超大接近という珍しい現象が起こります。
ちなみに、この会合は見た目上約0.1度間隔で、前回ここまで接近したのは約397年前で江戸時代以来となります。
『参考動画:2020年12月 木星と土星の超大接近(宵空の見え方)~アストロアーツ / AstroArts Inc.より』
そして、次回ここまでの大接近が起こるのは約60年後という事ですので、ほとんどの人がこれを見れるのは一生に一度きりって事になるでしょう。
クリスマスに起こる大接近はベツレヘムの星の再来か?
「ベツレヘムの星」ってご存知でしょうか?およそ2,000年前、イエス・キリストの生誕地とされるベツレヘムの地でキリストが誕生した直後、誰も見た事の無い星が見えた!との伝説が残る星の事で、木星と土星の大接近がクルスマスの時期に起こると言う事で海外では「ベツレヘムの星の再来か?」とウワサされているそうです。
「Image Credit:Wikipedia」
ですが何故、木星と土星の大接近がイエス・キリストの誕生を告げる「ベツレヘムの星」と言われるのでしょうか?
その理由は、キリスト誕生前の紀元前7年、木星と土星は融合して見えるくらいの大接近を3度も繰り返した事に由来すると言われているためだとか!?
ただこれは正確性はなく、あくまでも推測に過ぎない事で、他にも上画像にあるようにハレー彗星がベツレヘムの星の正体だという説もあり、また紀元前2年に起きた水星・金星・火星・木星の接近であるとする説、超新星出現等、諸説あるようです。
ですが、今回の木星と土星の大接近がクリスマス前後に起きるという事は単なる偶然?というより、それなりのロマンを感じる事も出来るのではないでしょうか?
木星と土星の大接近が見える方角と時間
木星と土星の大接近の見頃は、残念ながらクリスマス前になります。見頃は2020年12月21日の日の入りから約1時間後で、南西の空の低い位置で見る事が出来ます。
「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」
そして最も見頃なのが、かなり遅い時間にはなりますが、2020年12月22日の午前3時頃。この時に木星と土星は最も接近します。
ただ、この大接近時には日本では見る事が出来ません。
何故なら、このとき木星と土星は地平線の下に沈んでいるからです。
となると、やはり日本での観測のおすすめは12月21日。日の入り後直後という事で、比較的見やすい時間帯にもなります。
何より、この天体イベントは400年ぶりで、次回は60年後だという事を考えると、絶対見ておくべきではないでしょうか!?