ここ最近、世間を騒がすほど話題となる天体ショーは見られていませんが、2022年以降に一大天体イベントが観れそうな予測が出ています。
それは連星である2つの恒星が衝突合体し、巨大な1つの新星が誕生し赤く輝くらしく、肉眼でもハッキリと観測出来るほど明るく、さらに街灯りの強い都市部でも観測出来ると言います。
果たして、一大天体イベントとなり得る新星誕生とはいったいどういう現象なのでしょうか?
星の誕生とは違う新星の意味
「新星」と聞くと、新しい星の誕生か?と思うかも知れませんが、ここでいうところの「新星」とは変光星のことをそう呼びます。変光星とは、何等かの要因で劇的に増光や減光をする現象を起こす恒星の事であり、ここでご紹介する新星は連星~つまり隣り合う2つの恒星が衝突することで、大幅に増光して見えることを指します。
このような増光することで、新しい星が誕生したように見える現象を天文用語で「新星」と呼んでいます。
ちなみに、似たような言葉で「超新星」というのがありますが、それは太陽の8倍以上の質量を持つ恒星が一生を終えることで起きる重力崩壊の事で、反動で大爆発が発生し一時的な増光が観測される「超新星爆発」となる現象です。
2022年に観測出来る新星とは?
私たちの太陽系から約1,800光年離れた場所に「KIC9832227」という連星があり、この連星は大きい方の恒星が太陽の1.4倍ほどの大きさがあるとの事で、アメリカのカルヴァン・カレッジの研究チームが、近接する恒星同士が衝突融合し、爆発的に増光した赤い変光星を肉眼でもハッキリと輝いて見ることが出来ると予測しており、その現象が2022年頃以降に起きると報告しています。新星が肉眼で見える明るさは絶大で、全天で最も明るく見える、おおいぬ座の一等星・シリウスよりも明るく、2等星ほどの光度で見えるとの事です。
新星となる連星「KIC9832227」の場所は白鳥座方向で、夏の星座として南の方角に見ることが出来ます。
「Image Credit:YAHOO!JAPANきっず図鑑」
研究チームの予測によると、本来のKIC9832227は地球から1,800光年の距離があるため肉眼では見ることの出来ない12等級ほどの暗い星であり、これが近接する恒星同士が互いのガスで繋がり、見た目はピーナッツ状の天体になっているといい、その影響で公転周期が速まっており、このまま行くと2022年頃には衝突し融合、結果、高輝度赤色新星に変貌するとの事です。
「Image Credit:衝突融合前の連星イメージ(ASTROPEEPS.COMより)」
高輝度赤色新星とは?
高輝度赤色新星とは?Wikipediaに掲載されている情報をまとめると。連星が衝突融合して生まれる爆発現象をいい、2つの恒星が融合する事で熱融合反応が一時的に加速され、爆発的に輝く現象が起こるものと考えらていますが、その光度は超新星爆発ほどは明るくはないとされています。なお、これまでにも何度か高輝度赤色新星は観測されて来ていますが、KIC9832227ほど近距離で起こる高輝度赤色新星は稀で、そのため一大天体ショーとなり得るほどの明るさで観測出来るとの事です。
「Image Credit:高輝度赤色新星(いっかくじゅう座V838星)(Wikipediaより)」
2022年の連星融合天体ショー~でも実際は?
2022年以降とされている連星合体ですが、研究チームによるとこの現象が起こるのは誤差は±7カ月とされています。この天体を観測・研究しているチームは、連星が衝突するタイミングを綿密に計算して予測をしていますが、やはり大きな時間幅がある天文的時間レベルで考えると、必ずしも2022年頃に起きるとは限らない可能性はありますし、もしかしたら、それはもっと先の話で数十年後、それとも数千年先に起こるかも知れません。
でも、2022年頃を期待して、天体衝突という一大スぺクタクルショーを是非見たいものです。
2022年頃に夜空に大きく輝く赤い星。天文に詳しくない人でも、簡単にそれを見つけることは出来るでしょう。
ちなみに、地球からKIC9832227までの距離は約1,800光年。
KIC9832227から発せられる光が地球に届くまで1,800年かかるワケで、2022年に地球で観測出来るとなると日本の歴史でいうところの弥生時代には、既にKIC9832227は高輝度赤色新星になっていたということになります。