地球と火星の接近は約2年2カ月毎に訪れる事をご存じでしょうか。
それは、地球や火星といった太陽系惑星が、それぞれ異なる周期で太陽を公転する事によって、惑星どうしの位置関係が変化する事で起きる周期的現象の1つです。
そのため、この約2年毎に訪れる火星接近は、天文ファンはもとより普段天体を観測する機会ない一般の方にも身近に火星を感じることが出来る大チャンスでもあります。

ただ、2年毎に火星が接近すると言っても、いつそのチャンスがやって来るのか?は一般の方にはわからないと思います。
ここでは、普段あまり天体観測に興味のない初心者の方にも理解しやすいように、火星の観測方法について解説します。

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何故、地球と火星が接近するのか?

こんな事を説明しなくても誰でもわかる事ですが、地球の1年は約365日でそれは同時に地球が太陽の周りを1周する公転周期を意味し、当然ながら、地球以外の惑星も公転周期があり、火星は地球のスグ外側を公転する惑星で約687日の公転周期があります。
こうした公転周期の違いが、互いの位置関係に影響し接近と離隔を繰り返す事になり、地球と火星が最も接近した時の最短距離は約5,800万キロとかなり接近し、逆に最も離れた時は3億キロ以上にもなってしまいます。

「Image Credit:自然科学研究機構 国立天文台
基本的に地球から火星を肉眼で観測する事は出来るのですが、唯一見る事が出来なくなるのは、火星が地球から最も離れた時であり、その時火星は太陽の後ろ側に隠れてしまいます。
それでも火星は1年を通して観測出来、東から南の方向の夜空に赤い星がひと際輝いて見えるでしょう。

「Image Credit:YouTube」
また、地球はほぼ真円に近い公転軌道(離心率:0.0167)を持っていますが、火星はやや楕円軌道(離心率:0.0934)を描いており、そのため2年2カ月毎で訪れる地球と火星が接近時の距離は毎回異なってしまいます。

「Copyright ©:国立天文台 All rights reserved.」
なお、火星が太陽に近い時(近日点)に地球に接近するタイミングを「大接近」
火星が太陽に遠い時(遠日点)に地球に接近するタイミングを「小接近」と呼びます。

接近する火星の簡単な観測方法

気になるのは、今回、そして次回以降の火星接近はいつになるのか?と思います。
これについては、国立天文台が公開している具体的でわかりやすい情報がおすすめです。

「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」
こちらの情報を参考にしますと、2033年以降は地球と火星の位置関係に恵まれ、ほぼ大接近に近い状態で観測出来そうです。
また、これはあくまでも最接近日の情報ですので、この日でないと赤く大きく輝く火星を見れないというワケではなく、最接近日の前後3カ月間ほどはマイナス1等以上の明るさで見えますので、天気の良い日の夜空(東~南方向)を見上げれば赤く輝く火星の姿をリアルタイムで堪能する事が出来るでしょう。
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ちなみに、接近時の火星はスマホでも綺麗に撮影する事が可能で、実際、スマホでどのように見えるのか?の参考資料として、2018年7月31日にタレントの中川翔子さんがスマホで撮影され、公開されていましたので画像をお借りしました。

「Image Credit:中川翔子さんのTwitterより
しかし、それでも夜空を見上げても火星がどの星なのかわからないという人は、便利なアプリがありますのでそれを使ってみてはいかがでしょうか?
それは「星座表」という無料で使えるアプリです。

「Image Credit:星座表アプリ
このアプリをスマホにダウンロードし起動し、夜空の見たい方向にかざすだけでスマホ画面に星空の情報を表示してくれます。
●参考サイト:【星座表-iPhone版】
●参考サイト:【星座表-Android版】
また他にもおすすめの星座アプリはたくさんありますので、コチラを参考にしてご自分に合ったアプリをダウンロードしてみるのも良いか?と思います。
●参考サイト:【星座アプリのおすすめ10選】

「Image Credit:smartlog.jpより

そもそも火星ってどんな星なのか?

最後に、火星とはどんな惑星なのか?について少し触れてみたいと思ます。
まず、火星の大きさは画像でご覧いただいてもおわかりなように地球よりかなり小ぶりで、地球の半分ほどの大きさしかありません。

「Image Credit:Wikipedia」
また、火星には大気はありますがかなり希薄で地球の1%ほどしかなく、重力は地球の3分の1程度で地表付近の平均気温はマイナス40度。これが火星の基本的な環境です。

「Image Credit:Wikipedia」
火星は別名「Red Planet(赤い惑星)」と言われるほど惑星全体が赤く染まったように見え、その正体は地表に酸化鉄(赤サビ)が多く含まれているためだと考えられています。

「Image Credit:NASA」
大気は薄く気温も極端に低い。赤く染まった不毛な大地の火星。常識的に考えれば、とても生物が生息出来る環境ではありません。
しかし、人類はそんな火星に対し大きな興味を持っており、この地に数多くの探査機を送り込んでおり、2030年代には有人火星探査も計画しています。

「Image Credit:有人火星探査イメージ図(NASA)」
人類が火星に興味を持つのは、この惑星が地球から近いという事もあるのですが、環境が地球に似ているという事が最も大きな理由と言えます。
これまで無人で実施して来た火星の探査で多くの発見があり、火星には水(氷)が存在し、かつて(数十億年前)は、温暖な気候で地表を水が流れていたことも解明されつつあり、もしかしたら生命の痕跡が見つかるかも知れません。
つまり、この事を確かめるためには実際にこの地に人が行き詳しく調べる必要があり、さらに調査結果次第では、将来の人類移住地になり得るかも知れないという、大きな期待があるからではないでしょうか。
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