2020年と言えば、日本人にとっては東京オリンピックの年で、大いに盛り上がる事が期待されますが、私たち天文ファンにとっての2020年一大イベントは、小惑星・リュウグウの探査で大成功を収めた「はやぶさ2」が地球に帰って来る事かも知れません。
そんな2020年。はやぶさ2地球帰還以外にどんな天文ショーの目玉があるのか?と調べたところ、水星・金星・火星、そして木星と土星の5つの惑星観測に”大接近”という興味深いワードが見つかりました。
まずは知っておこう。2020年は「はやぶさ2」が地球に帰って来る年!
今回のテーマ”2020年天文ショーの目玉”とは主旨が外れているとは思いますが、宇宙に関する2020年の目玉には違いないので、まずはご紹介します。「Image Credit:JAXA宇宙航空研究開発機構」
2019年。小惑星・リュウグウで探査を行い2回のタッチダウン(表面接地)に成功し、そのうち2回は、弾丸をリュウグウ地表に打ち込み人工クレーターを作製して地下サンプルを採集するという前代未聞の超難関ミッションにも成功。
つまり、予想以上とも言える大成果をあげたワケで、その「はやぶさ2」が小惑星・リュウグウのサンプルを持って地球に帰って来ます。
現在(2019年末)地球帰還フェーズを実行中の「はやぶさ2」は、予定どおり行けば、2020年末には無事に地球に帰って来るでしょう。
2020年天文ショー最大の目玉?火星大接近
さて、本題の「2020年天文ショーの目玉」に戻りますが、ここで一番の目玉と言えるのが火星の地球接近ではないでしょうか?地球も火星も太陽を公転する惑星です。
地球(公転周期365日)と火星(公転周期687日)は、その公転周期の差で近づいたり離れたり、火星よりも公転周期が速い地球は、約780日(約2年2カ月)毎に火星に追いつき(接近)し、そして追い越して行くというサイクルを永遠に繰り返しています。
この事で起きるのが約2年に1回訪れる「火星の地球接近」です。
しかし、毎回火星が地球に大接近するワケではなく、接近するタイミングによって大接近なのか、それとも中接近、小接近なのか?に分かれてきます。
その理由は、上動画↑をご覧いただければわかるように、火星の公転軌道は地球のようなほぼ真円を描く軌道ではなく楕円軌道で公転している事にあります。
この楕円軌道により、地球が火星により近い位置で追いつくか?それとも離れた位置で追いつき、追い越していくか?で火星の見え方が変わって来るのです。
というワケで2020年の火星は大接近なのか?そうではないのか?ですが、以下↓↓の図を見ればおわかりいただけるかと思います。
「Image Credit:国立天文台」
前回の2018年、火星は地球に5,759万キロまで接近し「火星大接近」と大きな話題になりましたが、
2020年もそれに匹敵するほどの大きさで観測する事が出来ます。
2020年に地球が火星に最も近づくのは10月6日で距離にして6,207万キロで、明るさはマイナス2.6等級とかなり大きく見えるでしょう。
地球に接近した火星が見える方角は東~南にかけて。
夜空を見上げれば、赤く大きく輝く星がハッキリ見えますので、誰でも簡単に火星を探す事が出来るでしょう。
この火星が良く見える時期は、最大接近の10月6日前後約2カ月間。かなりの長い期間は火星観測が楽しめる事でしょう。
水星を初めて肉眼で見る人が続出?
地球に最も近い惑星は最も明るく見える星のひとつで、明け方に見える「明けの明星」。日没直後に見える「宵の明星」としても有名。つまり、地球より太陽に近い金星は常に太陽がある方角に見える事で、太陽が地球の裏側にある夜間は見る事が出来ないのです。
そしてその金星よりもさらに太陽に近い水星はもっと見え辛く、水星自体も非常に小さい天体のため、肉眼で観測するにはかなり困難。
そんな観測難易度の高い水星を肉眼で見た事のある人は少ないのではないでしょうか?
というワケで観測困難な水星の観測チャンスが2020年に訪れます。
それは水星よりも遥かに観測しやすい金星が水星に大接近する事で、水星が見つけやすくなります。
そのチャンスがやって来るのが5月22日の日の入り直後。
地平線(水平線)から約10度の低い空になりますが、西の空に明るく輝く金星の姿。そしてそのすぐ傍らにマイナス0.6等級の明るさの水星を見る事が出来ます。
「Image Credit:国立天文台」
この時、周りはまだほんのり明るいため、他の星はあまり見えないと思いますので、水星と金星の姿を見つけるのは容易いと思いますが、水星はすぐに沈んでしまいますので日の入り後30分後くらいまでが観測の限界になるでしょう。
木星と土星が大接近!望遠鏡で観測しよう
地球の遥か外側の公転軌道を持っている木星と土星。そのため、木星と土星が接近するのは20年に一度。そのチャンスが2020にやって来ます。
しかも今回の接近の離隔は6分と非常に近く、木星と土星がほとんど並んだ配置で観測出来るため、肉眼で見るより望遠鏡で観測すれば2つの巨大惑星を一気に見ることが出来るでしょう。
「Image Credit:天体望遠鏡で見た木星(左)と土星(右)(YouTUBEより)」
木星・土星の最接近日は12月22日。夕方の南西の夜空に昇り夜半まで観測する事が出来るでしょう。