神秘的で夜空を彩る光の芸術とも称されるオーロラを「一度は見てみたい。」と憧れる人は多いかと思います。
しかし、オーロラはそう簡単に見れるワケではなく天気や宇宙の気象等、様々な条件が揃わないと見る事が出来ない非常にレアな自然現象なのです。

そんなレアなオーロラは日本ではほとんど見る事が出来ないため、海外、それも高緯度な地域に行って観測するしかないのですが、それでも確実に見れるかどうか?ある意味「運」次第かも知れません。

とにかく、観測の難易度が高いとされるオーロラ。直接見ることは出来なくても今の時代はインターネットで自由にいろんなオーロラを閲覧というカタチで見る事が出来ます。
ここでは、そんなオーロラ鑑賞疑似体験が出来るサービスと、極めてレアなオーロラもご紹介したいと思います。

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オーロラの原理を知っておこう

オーロラは、太陽からやって来る太陽風という高密度荷電粒子(プラズマ粒子)によって引き起こされる天文現象のひとつです。

「Image Credit:Wikipedia」
太陽風は生物にとっては有害な放射線であり、人類文明にとっても電子機器やインフラに障害を与える危険な存在なのですが、幸いなことに地球にはこの太陽風から守ってくれる磁気圏が存在し、そこから発生する磁場がシールド(壁)のような働きをしてくれているのです。
この磁気圏は、地球の両極(北極・南極)から発生し磁場となり地球全体を覆っているのですが、太陽活動が活発な時等、時として地球の夜側にある磁場の隙間から太陽風のプラズマ粒子が地球の磁気圏深くまで流れ込んで来てしまいます。その時に地球の大気上層部と太陽風のプラズマ粒子とが衝突し放電・発光現象を引き起こし、それが私たちがオーロラと呼んでいる極地近くで観測出来る美しくも幻想的な光の帯の正体なのです。

「Image Credit:auroranavi.com

「Copyright ©:NASA Video All rights reserved.」
空に光輝くオーロラの事を、もしかしたら「虹の仲間」と思っていた人もいるかも知れません。
ここで解説したようにオーロラと虹は全く違い、地上から80~500キロという私たちが宇宙と呼んでいる高度で発生しているためオーロラは一種の天文現象なのです。

オーロラの種類

鮮やかでカラフルなオーロラは、赤や緑、ピンクなどの色で輝いていますが、その発光色の原理はプラズマ粒子が衝突する大気層の成分の違いで色が変化して来ます。
なお、前記で少し触れた「虹」は、太陽光で大気中の水蒸気が反射した波長により色が連続的に分かれて見えますが、オーロラの場合は太陽風のプラズマ粒子が衝突した地球の上層大気の成分で色が決まります。
その地球の上層大気成分はこのようになっています。
  • 赤色 高度約200~500キロ:この層の主な大気成分は「酸素
    大気最上層部で発光するのは赤色。この領域の大気密度が低い事と高い高度で発光するという事もあり、地上からはぼんやりと淡い赤色で見えるのが特徴ですが、このオーロラは時として低高度でも観測される事があります。

    「Image Credit:Tobias Billings」
  • 緑色 高度約100~200キロ:この層の主な大気成分も「酸素
    この高度でも発光する成分は酸素ですが、大気最上層部より衝突するプラズマ粒子のエネルギー量が高いため緑色に輝き「光のカーテン」と呼称されるのはこの高度で発生するオーロラが代表的です。

    「Image Credit:Wayne Barsky」
  • ピンク色 高度約80~100キロ:この層の主な大気成分は「窒素
    窒素が多く含まれたこの高度ではピンク色の発光色となりますが、この低高度まで届くプラズマ粒子のエネルギーは太陽フレアが発生した時等、太陽活動が活発な時に発生しやすいオーロラだとされています。

    「Image Credit:Zoltan Kenwell」

紫色に光る珍しいオーロラ

通常、オーロラは緑や赤といった色で光ります。
しかし、最近になって紫色で光る非常に珍しいオーロラが確認され話題になっています。

「Image Credit:The Aurora Named STEVE
この紫色に光るオーロラは「Strong Thermal Emission Velocity Enhancement」略称で「STEVE」と名付けられ、発生するメカニズムは、加速して高温に熱せられたプラズマ粒子が地球の電離層に衝突することによって作用し発光しているらしいとの事です。
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自宅で楽しめるインターネット版オーロラ鑑賞

オーロラを見たくても北欧やアラスカ、カナダなど遠くて寒い地域に行かないといけないし、そもそも行ったとしても確実にオーロラを見れる保証もない。
といった理由からか?実際にオーロラを見た事があるって人はそれほど多くなく、オーロラ見る事こそが貴重な体験になっています。

そんな貴重な体験であるオーロラ鑑賞ですが、インターネットを使えば自宅で簡単に見る事が出来るサービスがあります。
そのサービスがコレ↓↓です。

「Copyright ©:William Briscoe Photography All rights reserved.」
この動画を開き、画面左上のコントローラーを操作すれば、見たい方角360度の視野でオーロラ観測を疑似体験出来ます。
ちなみにこの映像は、アラスカ・フェアバンクスで撮影されたモノらしいです。

それでも直接オーロラ見たい方へ

当たり前ですがネットでオーロラ見ても、やはり本物には到底勝てません。
では、実際にオーロラが見える地域へ行って本物を堪能したい!と考えている方は、人気エリアはある程度限定されていますが、時期や旅費等を考慮して出掛けてみるのも良いのではないでしょうか?!

「Image Credit:Wikipedia」
上↑↑アニメーションでもわかるように、オーロラは太陽からのプラズマ粒子が大気と反応する領域、オーロラ・オーバル(もしくはオーロラ・ベルト)に位置する高緯度地域に名所が点在しており、その北半球の地域をガイド図で表すと以下のようになります。

「Image Credit:オーロラウォッチングガイド」
この中で日本人観光客に人気のあるのは、日本から距離的にも近いアラスカのフェアバンクスやカナダのイエローナイフなどです。
なお、南半球にもオーロラ・オーバルはありますが、その部分は海、もしくは南極大陸に該当するため実質的にオーロラが観測出来るのは北半球に限定されるようです。

オーロラ観測ツアーは天気と発生タイミングが重要

オーロラは季節に関係なく一年中見る事は出来ますが、一年中とは言っても時期的なタイミングはあります。
例えば、
夏場だと高緯度地域は昼の時間が長くなるので観測には不向きかも知れませんし、さらには日照時間や天気だけではなく、太陽の活動期を狙って出かけないとオーロラが発生してくれない場合があります。
そんな太陽活動が活発な時期は太陽表面に黒点が多い時がオーロラ観測にはベストな時期であって、黒点情報は「SWC宇宙天気情報センター」で知る事が出来ます。

また、もっとお手軽なのはオーロラ発生予報サイトを利用する事。
そんなサイトで信頼性が高いのが、アメリカの宇宙予報センターSWPAC(Space Weather Prediction Center)からの情報を活用している「Aurora Forecast.」というサイトです。
Activity Image
「Image Credit:「Aurora Forecast.」
「Aurora Forecast.」は30分単位でオーロラ発生予報が発信されており、現地に行ったときに非常に重宝する情報になるとの事です。
なお、これにはスマホアプリもありiPhoneやiPadで利用する事が出来ます。
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