太陽が誕生しておよそ50億年。その寿命はほぼ半ばに来ているとされており、人間の年齢で言うと40代の働き盛りと言えます。
ですが、今は元気で働き盛りの太陽も、いつかはいつかは”年老いて”その寿命を終える時が来ます。
そんな年老いたときの太陽ってどんな状態になるのでしょうか?そしてどうやって一生を終えて行き、その時、私たちの地球はどうなってしまうのでしょうか?

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太陽はどうやって誕生したのか?

今から約46~50億年の昔、星の誕生となるガス星雲(分子雲)の中心部で大量に凝縮したガス塵が巨大な重力場となり、周りの物質を次々と取り込んだ事で星の原型が誕生し、それは超高圧で超密度な状態となり、その凝縮された高圧の中で熱核融合反応が起こり原始の太陽が誕生しました。
原始太陽が誕生したその後、太陽を取り巻くガスや塵が各所で集まり惑星や衛星を形成していき、約数十万年という短い期間で太陽系の原型が出来上がって来たとされています。

「Image Credit:原始太陽系の想像図(NASAより)」
原始太陽系では、無秩序な状態で散らばる塵やガス、それによって形成された微惑星たちが衝突・融合を繰り返し、長い年月を経て最終的に4つの地球型惑星と4つの巨大惑星が残り、現在の太陽系が出来上がったと考えられており、活動が落ち着いた初期の太陽の輝きよりは暗く、その明るさは現在の70%ほどしかなかったと言われています。

太陽は今どんな状態にあるの?

初期の太陽は今よりだいぶ暗かったのですが、そこから約1億年毎に1%くらいずつ明るさが増して行き、地球に生命が誕生し活動が活発化する10億年前頃には、現在に近い明るさになり状態も安定して来たとされ、そんな太陽の安定したエネルギー供給の恩恵を受ける事で、私たちの地球には生命が育まれそして進化を続けて行く事が出来ているのです。

「Image Credit:日立キッズ」
すなわち、単純に考えると太陽が主系列星の状態である以上、太陽系は今の状態を維持して行く事が出来ると言えるのですが、しかしながらいつまでも太陽は主系列星の状態を続けて行けるワケではなく、いつかは燃料である水素が枯渇してしまいます。
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明るさを増し続ける太陽の影響で起こる事

安定したエネルギー代謝を続ける主系列星の太陽ですが、それでも少しずつ明るさを増し続け、同時に太陽が放出する熱量も増して来ます。
それはつまり、私たちの地球生命が太陽から受ける恩恵は、そう長くは続かないという事を意味しており、今から約5~6億年後には地球上から生物が姿を消してしまい、10億年後には地球は完全に干上がってしまうのでは?と考えられています。
そう!それはまさに、今の火星のような状態に地球が変貌してしまうかも知れないのです。

「Image Credit:Wikipedia」

晩年の太陽は現在の300倍まで膨張する!?

燃料となる水素がいつ枯渇するのか?は明確にはわかっていないですが、現在の太陽は安定したエネルギーを放出出来る主系列星の状態の年数の半分を経過したモノと考えられており、おそらくは数十億年後(50億年後?)の未来、燃料である水素を使い切り主系列星の状態が終わりを告げ、次の段階であるヘリウムが核融合を起こす次の段階が始まって行きます。
いわゆるこれが太陽の晩年である終末期となり、太陽は徐々に膨張していき赤色巨星の段階に入り、最終的に視直径が現在の太陽の半径(約70万キロ)の約200~300倍まで巨大化すると考えられています。

もし晩年の太陽が現在の300倍の大きさになった場合、半径は2億キロを超え、現在の太陽と地球の距離である1AU(約1億5,000万キロ)をゆうに超える大きさになってしまい、地球は完全に太陽に飲み込まれる事になります。

「Image Credit:Viewpoint」
赤色巨星と変貌した太陽ですが、その密度は薄、表面温度も2,000~3,000度まで下がってしまい、太陽はやがて外層が弾けガスや塵が宇宙空間に飛び散る運命にあるといい、そして外層が剥がれた中心部に白色矮星が姿を現します。
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寿命が尽きた太陽のその後

今から約50億年後以上の未来、太陽があったその場所には白色矮星が姿を現します。
白色矮星は”太陽の残骸”ですが、地球程の大きさしかないにも関わらす質量は太陽と同程度で、超高密度で超高温な天体。既に核融合反応は停止していますが、原子の破壊で電子が縮退した物質で構成された白く輝く天体で、一部では”ゾンビ星”とも呼ばれている特異な天体です。

「Image Credit:白色矮星の想像図(右上)(Giuseppe Parisi)」
そしてさらに白色矮星となった太陽の周りには、宇宙空間に放出されたガスや塵が取り囲む惑星状星雲が形成されると考えられています。

「Image Credit:惑星状星雲(Wikipediaより)」
太陽から飛び散ったガスや塵が形成する惑星状星雲の大きさは推定で1光年以上で、中心部には白色矮星が鎮座し、その周りを高温のヘリウム(上画像↑↑の青い部分に相当)、ヘリウムの外側はイオン化された酸素(上画像↑↑の緑色の部分に相当)、一番外側がイオン化された窒素(上画像↑↑の赤い部分に相当)が取り囲んでいる状態へと変化して行きます。

惑星状星雲となった太陽ですが、それで終わりではなく、宇宙空間に飛び散ったガスや塵といった太陽の残骸は、再び重力のチカラで集まって行き、また新しい星の誕生へと繋がる材料となって行く事になるのです。
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