以前からその存在が示唆されている太陽系第9惑星プラネット・ナイン。実在する可能性が高いとされながらも、なかなか見つからず「本当にあるの?」と疑問の声も多く挙がる中、このほどプラネット・ナインの候補天体が発見されたかもとの情報が・・・
ただ、現時点では可能性の段階で完全な候補天体ではないようですが、これが確定ならプラネット・ナイン発見へ大きく前進する確率が高くなるのではないでしょうか。
未知の惑星「プラネット・ナイン」の仮説とは?
このサイトでも何度も取り上げて来た太陽系第9番目の惑星「プラネット・ナイン」存在の仮説。ご存じのように現在の定義では太陽系には地球を含んだ8つの惑星しかありません。(かつて、9番目の惑星とされていた冥王星は2006年に惑星から除外され準惑星へ)しかし、十数年前から8番目の惑星である海王星よりも遥か外側に、未知の惑星「プラネット・ナイン(Planet Nine)」が存在しているのではないかとの仮説が立てられるようになり、専門家たちはこの仮説を信じ躍起になってこの未知の惑星探しをしています。
では、何故このプラネット・ナイン存在の仮説が立てられるようになったのか?そのきっかけは、太陽系外縁部のエッジワース・カイパーベルトにあるいくつかの小惑星が、何か巨大な重力の影響を受けたかのような偏った軌道を持っていた事に始まりました。
動画でも解説があるように、6つの太陽系外縁天体の公転軌道の近日点(太陽に最も接近する地点)が空間的に同じような方向に偏って集まっており、この偏りに影響を与えているのが何か強い重力を持つ天体ではないか?
これが直接的な根拠になり、プラネット・ナイン存在説が一気に浮上するようになったのです。

「Image Credit:Caltech/R. Hurt(IPAC);[Diagram created using WorldWide Telescope.」
プラネット・ナインが実在するならどんな惑星なのか?
実在すると示唆されるプラネット・ナインですが、いったいそれはどんな天体(惑星)なのでしょうか?まず、推定される大きさですが、地球の3倍以上はあるとされ質量は地球の7~17倍程度の天王星や海王星に似た巨大氷惑星ではないかと考えられています。

「Image Credit:Wikipedia」
次に公転軌道と公転周期ですが、太陽から約700〜1,000億キロの距離を1~2万年かけて公転しているものと見積もられています。つまり、地球よりもかなり巨大な惑星が、太陽からとてつもなく離れた距離を公転しているのではないか?との事なのです。
プラネット・ナイン候補の天体を発見か?
地球よりも遥かに巨大な惑星ではないか?と推測されている未知の惑星プラネット・ナインですが、この惑星が公転していると考えられている場所は、極端に遠く太陽の光などほどんど届かない暗黒の領域です。しかも惑星は太陽のような自ら光を放つ恒星とは違い、その位置を教えてくれる手段はほとんどなく、赤外線で観測出来る可能性は辛うじてあるものの、目で見るといった可視光で観測出来る可能性は極めて低く、尚且つ、あまりにも遠く離れている事でほとんど動きがなく、高性能の望遠鏡で観測したとしても、それが太陽の周りを回っている天体である事を証明する事は非常に困難なのです。
「Image Credit:iStock」
見つける事が困難な中、台湾の研究者らのチームが、赤外線天文衛星「IRAS」が1983年に観測したデータと、日本の赤外線天文衛星「あかり」が2006年に観測データの同じ太陽系外縁部の領域を分析した結果、プラネット・ナインがあるとされる、太陽からの距離が約700〜1,000億キロ・質量が地球の7~17倍という条件に対応する天体の候補が1つ見つかったと発表。
しかしながら、まだそれは確信が持てる情報ではなく、見つかった候補と言うべき天体のデータは圧倒的に不足しているため、まだまだこれから追跡し詳細なデータ集めが必要との事。
ただ、これまで全く痕跡すら見つけ出す事が出来なかったのに対し、データ不足とは言え、今回のこの候補発見のニュースはとても大きく、もしかしたらプラネット・ナイン発見のニュースが世界中を駆け巡る日も近いかも知れません。