地球は、多種多様な生命が生存・繁栄・進化を続ける極めて稀な天体で、私たちが知る限り今のところ宇宙のどこにも地球のような星は見当たりません。
しかし宇宙には、そんな地球の繁栄を脅かし兼ねない危険な天体がたくさん存在すると言います。
果たして危険な天体とは何なのか?今回は地球の近くに存在する危険な天体を独断で3つほど挙げ、その危険性について掘り下げてみたいと思います。
奇跡の星「地球」はいつも危険に晒されている?!
まずは、私たちが住む地球の事を簡単に知っておこうと思います。地球は太陽系において、主星である太陽に近過ぎもせず遠過ぎもしないハビタブルゾーンに位置する唯一の惑星です。
「Image Credit:Wikipedia」
さらに地球は大きさや質量、密度等も丁度良く強い磁場に守られ、公転・自転周期等、生命繁栄にとって様々な好条件に恵まれまさに奇跡の星と呼べるべき天体です。
そんな地球は生命が誕生したと言われる38億年前以降、小惑星や彗星の衝突等、幾度も宇宙からの天変地異に晒されながらも進化と繁栄を続け今日に至っていますが、今後もずっと繁栄を続けていけるかは誰にもわかりません。
もしかしたら地球の近くにある危険な天体によって、突然破滅の時を告げられるかも知れないのです。
地球の近くにある危険な天体①:りゅうこつ座イータ星
最初に危険な天体として挙げるのは、地球から約8,000光年離れた場所に位置する「りゅうこつ座イータ星(イータ・カリーナ)」です。「Image Credit:APOD Videos」
8,000光年も離れているのに危険な天体?と思われるかも知れませんが、この距離はそれ程離れているワケではなく宇宙レベルではご近所とも言える距離であり、そんな”ご近所”にあるイータ・カリーナは、質量が太陽の100倍程もある連星系を成す巨大な恒星です。
このイータ・カリーナは恒星としては末期を迎えており、非常に不安定な状態で増光と減光を繰り返し超新星爆発間近と考えられています。
もし今後イータ・カリーナが超新星爆発を起こした場合、地球に危険なガンマ線バーストが降り注ぐ可能性があるそうです。
ですが、イータ・カリーナが超新星爆発を起こすのはおそらくですが数百万年先だとされていますので、ガンマ線バーストで予想される地球の被害(オゾン層破壊による大量絶滅)は今のところ心配はなさそうです。
地球の近くにある危険な天体②:オリオン座ベテルギウス
冬の代表的な星座であるオリオン座は、誰もが知ると言うと大袈裟になりますが超有名ですのでご存じの方も多いでしょう。そしてオリオン座を形成する星の中で最も有名なのがα星ベテルギウスです。
「Image Credit:Wikipedia」
ベテルギウスの質量は太陽の10倍~20倍程と考えられており、この恒星もまたイータ・カリーナ同様に末期の状態にあり超新星爆発を起こす可能性があるとされています。
しかしベテルギウスは、イータ・カリーナよりも圧倒的に距離が近く地球から※約550年ほどしか離れていません。
(※ 以前は、地球からベテルギウスまでの距離は630光年~650光年とされていましたが、最新計測によりずっと地球に近い事がわかり約550光年と訂正されています。)
つまり、もしベテルギウスが超新星爆発を起こしたとしたらイータ・カリーナ以上の被害が地球に及ぶ可能性も?!
でもご安心を!
ベテルギウスの場合、地球はガンマ線バーストの軸線上から20度ほど外れており被害は避けられるとされています。
「Image Credit:サイエンスZERO(NHKより)」
ただ安心とは言っても、人類はこれ程まで近い距離での超新星爆発を経験していませんので、実際は起こってみないとわからないのが現状で、尚且つ、ベテルギウスが超新星爆発を起こす可能性があるのは数年~数万年後と予想の幅が広く、ハッキリとわかっていないのも不安要素ではあります。
地球の近くにある危険な天体③:グリーゼ710
最後にご紹介するのが、地球から約63光年の距離にある恒星・グリーゼ710(GL710)です。このグリーゼ710は、質量は太陽の0.6倍程のK型主系列星で、私たちの太陽と同じように熱核融合活動が安定している恒星です。
「Image Credit:Wikipedia」
現在グリーゼ710は、ヘび座の方角から時速5万キロの速度で太陽系に向かって来ており、今から130万年後には太陽から2兆3,000億キロの距離まで接近すると見られています。
とは言っても、2兆3,000億キロというとかなり遠いと感じるかも知れません。
しかし、これは太陽系の最外縁部にあるオールトの雲(Oort Cloud)」の中まで到達する距離であり、これによりオールトの雲が大きな影響を受ける可能性があります。
「Image Credit:THE SOLAR SYSTEM WIKI」
オールトの雲は”彗星の故郷”とも呼ばれており、この領域には彗星の素となる大小様々な氷や岩石の天体が無数に存在すると考えられています。
そのようなオールトの雲に、もしグリーゼ710が侵入するとどうなるのでしょうか?
おそらくですが地球には直接的な影響はなかったとしても、グリーゼ710の重力がオールトの雲の彗星たちの軌道を変えてしまい、多くの彗星が雨のように太陽系の内側にやって来て、そのうちのいくつかが地球に衝突するかも知れません。
なお、このような恒星が太陽に接近した事例はあり、今から7万年前にもショルツ星という太陽質量の0.15倍程の小さな連星系の恒星が太陽から0.8光年という距離まで接近して来たそうです。
「Image Credit:José A. Peñas/SINC」
このとき何が起こったのかは現時点では不明ですが、現在も地球生命が繁栄を続けていますので、少なくとも壊滅的な被害は起きなかったと思われます。
ですがグリーゼ710はショルツ星より質量が遥かに大きな恒星です。
その事を考えれば、ショルツ星接近と同じような状況にはならない事も考えられます。
いずれにせよ、イータ・カリーナ、ベテルギウス、グリーゼ710も遥か未来になってから脅威となるかも知れない天体ではありますので心配する必要はないですが、他にもいつ地球にとって突発的な脅威が襲って来ないとは限りません。