地球(太陽系)に一番近い恒星系に、地球と似た環境なのかも知れない惑星が見つかったのは2016年の事でした。
そのため、地球に近ければ将来人類の移住先候補か?と期待されていたのですが、発見以降調査が進められて行くに連れドンドンとその期待が薄れて行っています。
やはり、地球に一番近い太陽系外惑星に、生命が生きられる星があると言うのは都合が良過ぎる事なのでしょうか?

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地球に一番近い太陽系外惑星とは?

私たちの太陽系近隣には、多くの恒星系が存在しており、そんな近隣の恒星系で最も太陽系に近いのがケンタウルス座アルファ星系です。
この恒星系は太陽系からわずか約4.3光年しか離れておらず、ケンタウルス座α星A、ケンタウルス座α星Bとプロキシマ・ケンタウリという3つの恒星で形成されている3重連星であり、ちなみに、ケンタウルス座アルファ星は地球からだと南半球で見え肉眼では1つに見える一等星です。

「Image Credit:Yahoo!キッズ図鑑」
そして今回の話題の主役になるのが、3連星のうちで最も小さく暗い恒星プロキシマ・ケンタウリで、この天体の大きさは太陽の約7分の1で質量は8分の1しかなく、表面温度も太陽の約6,000度に比べるとかなり低く3,000度以下という赤色矮星に分類される恒星です。

「Image Credit:Wikipedia」
赤色矮星プロキシマ・ケンタウリには現在3つの惑星が発見されており、そのうちの1つ「プロキシマb」という惑星は地球の1.27倍の質量を持っており、おそらくは地球と同じ岩石惑星だと推測されています。
また、「プロキシマb」が注目される最大のポイントは、主星である赤色矮星プロキシマ・ケンタウリから水が液体の状態を保てる距離・ハビタブルゾーンに位置していると考えられているため「プロキシマb」には生命が存在する可能性があると期待されているのです。

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第二の地球として人類の移住先に期待?!

3連星であるケンタウルス座アルファ星系でも、最も太陽系に近いプロキシマ・ケンタウリまでの距離は4.246光年。
つまり、プロキシマ・ケンタウリは太陽系に一番近い恒星として知られているのです。

そんなご近所の恒星に生命がいる可能性がある惑星があるとなれば、将来人類が第二の地球として移住先になるかも知れません。
尚、2009年に公開され大ヒットしたジェームズ・キャメロン監督のSF映画「アバター」の舞台はアルファ・ケンタウリ星系であり、映画では、未来の人類が生命がいるアルファ・ケンタウリ星系の星に進出し、開拓を行う設定になっています。
となれば、アバターの世界が現実になるのか?と期待が高まったりもするのですが、残念ながら、仮に「プロキシマb」が生命が住める惑星だったとしても地球からでは距離が遠過ぎ、約4光年の距離が近いというのは、あくまでも天文レベルでの距離であり、実際に行くとしたら、現在の人類が持つ最新の科学力で宇宙船を建造したとしても「プロキシマb」までは数万年以上かかってしまうでしょう。
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プロキシマbの生命存在は絶望的!?

惑星「プロキシマb」について現在わかっている事は、地球に似た大きさを持つハビタブル惑星である事だけです。
この惑星の調査は今も続いており今後はもっと詳細が明らかになるでしょうが、現時点での情報からすると「プロキシマb」が地球にそっくりである可能性は低く、生命存在に適した環境ではない可能性が高いと言います。
その大きな理由は、惑星の性質ではなく主星である赤色矮星のプロキシマ・ケンタウリにあるといい、この恒星は質量が太陽の8分の1しかないのにも関わらず、太陽に匹敵する高エネルギー放射線を放出しています。
と言うのも、太陽系のハビタブルゾーンが地球と太陽の距離約1億5,000万キロに対し、質量の小さいプロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーンはかなりのい近距離であり、「プロキシマb」との距離はわずか700万キロしか離れていません。
つまり、このような近い距離で太陽と同等の高エネルギー放射線を浴びているとしたら、生命にとってはとてつもなく過酷な環境となり、生命存在は絶望的と言ってもいいかも知れません。

「Image Credit:NASA, ESA and D. Player」

さらに絶望的?!太陽フレアも強大だった!

私たち地球の主星である太陽は比較的穏やかな活動をしており、そのおかげで地球の生命は安全に暮らす事が出来ています。
しかし、温度が低く質量も小さい赤色矮星の多くは激しく活発な活動をしている恒星が多く、プロキシマ・ケンタウリもまた活発な活動をしている赤色矮星だと考えられています。

実際、プロキシマ・ケンタウリの最近の観測において、太陽で起こっているフレア(表面爆発)が異常なほど巨大な爆発を起こしている事が確認されています。

「Image Credit:S. Dagnello, NRAO/AUI/NSF」
では、いったいどれだけ巨大な太陽フレアなのでしょうか?
2019年5月1日の観測データによると、プロキシマ・ケンタウリから放出された紫外線量は通常の14,000倍で、太陽で発生するフレアの100倍以上もの超巨大フレアが観測されたそうです。
しかもこの巨大フレアは頻繁に起こっていると考えられており、この観測結果からして、プロキシマ・ケンタウリは非常に活発な活動をする赤色矮星である事が判明しており、「プロキシマb」は至近距離で強烈な爆風(太陽フレア)を浴びている事になってしまいます。
となると、いくら「プロキシマb」がハビタブルゾーン圏内に位置していたと言っても生命にとっては致命的である可能性があり、もしかしたら生命存在どころではなく強烈な太陽風によって大気そのものが剥ぎ取られているかも知れません。
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