※ 小惑星探査機「はやぶさ2」は2020年12月に無事地球に帰還しました。
日本中、そして世界中に成功が期待されているJAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」。
はやぶさ2は、目的地の小惑星まで往復約52億キロという距離の旅をして地球に帰還する予定です。
52億キロというと遥か遠い天体まで旅をして戻って来るようなイメージがありますが、実ははやぶさ2の目的地の小惑星「リュウグウ」は、地球のすぐ近くを周回する小惑星なんです。
でも何故、地球から近い小惑星なのに数十億キロの旅を2年半もかけて旅をしなくてはならないのでしょうか?

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はやぶさ2の総飛行距離は約52億キロで、目的地である小惑星「リュウグウ」までは約3億キロの距離にあるとメディアやネット情報でも言われていますが、実はこの小惑星は地球近傍小惑星と呼ばれる部類に属し、地球に接近する小惑星です。
では何故リュウグウが3億キロ離れた小惑星というのかについてですが、それはリュウグウが不安定な楕円軌道で公転していて、その楕円軌道が最も地球から離れた遠地点の距離を言っているに過ぎません。

小惑星「リュウグウ」がはやぶさ2の目的地に選ばれた理由

はやぶさ2の目的地の小惑星「リュウグウ」は、地球と火星の間の軌道を約1年4カ月の公転周期で周る直径が900メートルほどの小さな天体です。

「Image Credit:ファン!ファン JAXA!
前回の「はやぶさ」のミッションは、探査機が他の天体に行きサンプルを採取して帰って来ることが目的。
言うなれば、はやぶさが行って帰って来れればミッションは成功というころで、最もその往復ミッションが行いやすい天体として選ばれたのが小惑星「イトカワ」でした。
はやぶさのミッションが成功したことで、次は具体的な天体探査を行うべく開発された「はやぶさ2」
はやぶさ2の目的は、単に他の天体に行き帰って来るのではなく、生命の起源を探るため、有機物や水を含んでいるとされる小惑星「リュウグウ」へのサンプル採取&往復ミッションが課せられることになったのです。
ちなみに小惑星「リュウグウ」はC型小惑星と呼ばれ、これんび分類される小惑星は炭素系の物質が多く含まれるとされ、そんなC型小惑星の中でも比較的探査機を送りやすい軌道を有する小惑星として「リュウグウ」が選ばれた理由でもあるようです。
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はやぶさ2は何故小惑星「リュウグウ」まで2年半もかかるのか
小惑星「リュウグウ」が太陽に最も近づく近日点距離は地球公転軌道の内側、直線距離では地球にかなり接近します。

そんな近い小惑星(地球近傍小惑星)に行くのに何故、難億キロという距離を飛び2年半の歳月がかかってしまうのでしょうか?
理由は小惑星「リュウグウ」があまりにも小さい天体のため、リュウグウの引力を利用出来ないから。
つまり、大きな天体である月や火星などは強い引力を持っているため、探査機をその星の引力を利用して接近させたり軌道に乗せたりすることは出来ますが、ほとんど引力の無い小天体だとそれが出来ないため、探査機を少しずつ目的の天体に近づけて行きランデブーする必要があるためで、リュウグウに、はやぶさ2をベストなタイミングでランデブーさせるために2年半かかるというワケです。
◆参考動画:【「はやぶさ2」軌道シーケンスCG】

はやぶさ2が小惑星「リュウグウ」に到着した時のミッション

リュウグウのような小天体に探査機をランデブーさせるのは至難の業。緻密な計算に基づいた高度な技術が必要になります。
そんな高度な技術でリュウグウにたどり着いたはやぶさ2のミッションは、ただ小惑星のサンプルを採取するのではなく、太陽系における生命の起源を探るためにリュウグウに眠る有機物質を採取しないと行けません。
そのため、地表からでは有機物質を採取出来る可能性が少ないため、リュウグウの地中を掘削し、その中のサンプルを採取する必要があるため、以下の動画ような方法でサンプルを採取します。

「Copyright ©:JAXA宇宙航空研究開発機構 All rights reserved.」
このサンプル採取方法は初の試み。果たして上手くいくのか?楽しみなところです。
前人未到のはやぶさ2のミッsジョン。成功すれば2020年末に地球に帰還予定です。
そして、日本の高い技術を世界中に知らしめることができ、今後の人類の宇宙探査の飛躍に大きく貢献出来るようになるでしょう。
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