小惑星「リュウグウ」に到達した日本のJAXAが開発した小惑星探査機「はやぶさ2」。
「はやぶさ2」がリュウグウで行うメインのミッションは、小惑星の地表にタッチダウンしサンプル採取し地球に持ち帰る事です。
しかし、リュウグウでこのミッションを行うにはかなり厳しい場所でした。
それでも難しいミッションを行わなくてはならない「はやぶさ2」。
果たして無事にタッチダウンを成し遂げ、地球に小惑星のサンプルを持ち帰る事が出来るのでしょうか?

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惑星探査機「はやぶさ2」のタッチダウン・ミッションとは?

「はやぶさ2」の主な探査目的は、太陽系で生命が誕生した起源を知ろうという試みがあります。
そのため、生命のカラダを創る素となっている炭素であり、その含有量の多い炭素質コンドライトからなる、C型小惑星であるリュウグウが探査目標として選ばれた経緯があります。

「Image Credit:小惑星リュウグウにランデブーするはやぶさ2の想像図(JAXAはやぶさ2プロジェクトより)」
そんな調査対象の小惑星に接近し上空から探査をする方法もありますが、それでは詳細な分析は難しいため、より目標に接近して調査する必要があります。
そこで考え出されたのが「小惑星サンプルリターン」。
つまり、調査目標の小惑星表面にタッチダウンしサンプルを採取する方法であり、この手法は、NASAなども行っていますNASAなども行っていますが、基本的に表面(地表)のサンプルを採取する事に留まっています。
しかし、表面のサンプルでは長年、太陽風や宇宙線に晒され続け劣化・風化していると考えられるため、思うような情報が得られない可能性があります。

そこで考え出されたのが日本独自のサンプルリターン手法。
これは、小惑星の地表に人工的な穴を掘り(人工クレーターを造る)、宇宙線に晒されていない新鮮な地下サンプルを採取する事でいた。

この具体的な方法についてはJAXAが動画で解説しています。


「Copyright ©:JAXA宇宙航空研究開発機構 All rights reserved.」
初めての試みであるこのミッションに、多くの人たちは期待を寄せていますが、実際に「はやぶさ2」が訪れた小惑星リュウグウは、このサンプルリターンを行うにはかなり不向きな場所でした。

岩塊だらけの小惑星リュウグウ

小惑星探査機「はやぶさ2」が地球を旅立ってから1,302日。ついに目標の小惑星リュウグウに到達しました。
しかし、当初の考えでは、炭素質のC型小惑星は水分も含まれているハズでしたが、同じC型小惑星であるリュウグウには水分が含まれている形式は無しで、それどころか、今回行うタッチダウンで必要な広く平らな領域は無く、表面は人工クレーターを造るには邪魔になる岩塊だらけだったのです。

「Image Credit:岩塊に覆われた小惑星リュウグウの表面(JAXAはやぶさ2プロジェクトより)」
※ 参考サイト
小惑星リュウグウのCGモデル(マウスホイールを動かして全体を見る事が出来ます。)

予想外?のリュウグウの状況にスケジュール変更を余儀なくされたJAXAは、タッチダウンの決行を延期。その間、タッチダウンを行うための着陸地点の検討を綿密に行う事となりました。
そして第1回目のタッチダウン(2019年2月中旬)地点に選ばれたのが、直径60メートルに渡り岩塊が少ない「L08」という領域の「L08-B」という地点に候補地が決まりました。

「Image Credit:はやぶさ2の第1回タッチダウン候補地点(JAXAはやぶさ2プロジェクトより)」
この場所は、「はやぶさ2」が安全にタッチダウン出来る事を考慮した上で選定され、少なくとも、探査機本体や太陽電池パドルがぶつかってしまうような障害物が無い領域だそうです。
ただ、当初の計画では直径100メートルの場所を想定していましたが、この「L08-B」という地点で、広さがわずか20メートルほどしかなく、タッチダウンを成功させるには非常に難しい精度での誘導制御が必要になって来ます。
ですが、JAXAは何度もリハーサルを行っており、この最も重要で難しいタッチダウン・ミッションに自信を持っているとの事です。
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小惑星リュウグウに付けられた日本童話にちなんだ名称

直径700メートルほどの”そろばんの玉”のような形状をしている小惑星リュウグウ。
「はやぶさ2」がリュウグウに到着して、その全貌が明らかになったワケですが、JAXAの「はやぶさ2」運用チームは、この特徴的なリュウグウの主要地形各所に名称を付けるべく、国際天文学連合(IAU)に命名の提案を行い、このほど正式に承認されたそうです。

その命名された地形が全部で13箇所。その多くが日本の有名な童話から名付けられています。

「Image Credit:JAXA」
ちなみに、今回命名された所がどんな場所なのか?
をご説明すると。
【小惑星リュウグウの主要地形名称(正式)】
 地形名称  場 所 由来となった物語(童話)
① リュウジン尾根 赤道リッジ 浦島太郎
② ウラシマクレーター リュウグウ最大のクレーター 浦島太郎
③ サンドリヨンクレーター 赤道リッジの外にある最大のクレーター シンデレラ
④ コロボッククレーター 赤道リッジ上の典型クレーター コロボック(ロシア)
⑤ ブラボークレーター 赤道リッジ上の典型クレーター ブラボーと巨人(オランダ)
⑥ モモタロウクレーター リュウグウで4番目に大きいクレーター 桃太郎
⑦ キンタロウクレーター リュウグウで5番目に大きいクレーター 金太郎
⑧ キビダンゴクレーター リュウグウで6番目に大きいクレーター 桃太郎
⑨ トコヨ地溝 リュウグウ最大の溝状凹地 浦島太郎
⑩ ホウライ地溝 リュウグウで2番目に大きい溝状凹地 浦島太郎
⑪ オトヒメ岩塊 リュウグウ最大の岩塊 浦島太郎
⑫ カタフォ岩塊 リュウグウの本初子午線の基準となった岩塊 ケイジャン民話(アメリカ)
⑬ エジマ岩塊 リュウグウ形成史の鍵を握る岩塊のひとつ 浦島太郎
なお、上図↑にある「トリニトス」は、2018年9月21日に「はやぶさ2」から分離・投下された小型探査ローバー「MINERVA-II1」の着地地点。

「Image Credit:小型探査ローバー「MINERVA-II1」(JAXAはやぶさ2プロジェクトより)」
と、「アリスの不思議の国」は、2018年10月3日に「はやぶさ2」から分離・投下された小型着陸機「MASCOT」の着地地点。

「Image Credit:小型着陸機「MASCOT」(ファン!ファン!JAXAより)」
この2つは非公式でニックネームだという事です。
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